9 / 9
案内
しおりを挟む
出発の直前に電話がかかってきた。
取引銀行らしい。
電話応対している阿倍さんの顔色が悪くなる。
それもそのはず、銀行が支払いを待ってくれないと崖っぷち動物園は終わる。
本当であればこの電話応対は俺がしないといけない。
だが不幸にも阿倍さんは電話に出てしまった。
さようなら阿倍さん、君の尊い犠牲は10分は忘れない。
こうして異世界へ行くメンバーが集まった。メンバーは俺、しじみ、山本さん、石川さん・・・何で石川さん?
石川さんは崖っぷち動物園の総合案内所で働く娘さんだ。
道案内や落とし物の案内や迷子の案内など「客がいて初めて仕事が出来る」のだ。
つまりいつも仕事がない崖っぷち動物園で石川さんは何をしているのだろうか?
「しかし何で石川さん?
いや山本さんだけが家族じゃなくて疎外感を感じないように誰かを誘おうとは思ったけどさ。
だったら動物園経営でアドバイス出来る人の方が良いじゃん」と俺。
「せっかくだから私も行こうかと思って・・・」石川さんは言った。
だから何だよ、その「せっかくだから」って。
流行ってるんだよな?俺も使っても恥ずかしくないんだよな?
どんなメンバーで行くのも構わないけど、今回は斉藤さんも阿倍さんもいけないんだから、実務で役に立つ人選を心がけたい。
「せっかくだから」なんて訳がわからん同行理由ではなく。
「あ、石川さ~ん!」しじみは石川さんとハイタッチをした。
どうやら二人は仲良しらしい、意外なところで繋がりがあるんだな。
「しじみちゃんと私は『同好の士』なの」石川さんが言う。
へー、しじみに好きな物があったんだ。
両親が『人生で最後のチャンスが訪れた、行ってくる』と書き置きし蒸発してから数年が経つ。
ある意味、両親蒸発はニート生活を楽しもうと思っていた俺に就職を決意させたという意味では、親としては正しいのだが、しじみが不憫だ。
なんとか俺は親が残した蓄えと少しの借金で高校を卒業した。
だがしじみは特待生として学費免除され高校に行くしかない。
学業優秀でないと高校すら通えないのだ。
当然しじみは「あれが欲しい」「これが欲しい」などと言った事はない。
俺の夢はしじみの思う贅沢をしじみに経験させ『お兄ちゃんありがとう!』としじみに言ってもらう事だ。
話は脱線したがしじみが何が好きなのか気になる。
もし動物園が儲かり、俺が土産を買えるようになったら、しじみの好きな物を買って帰りたい・・・だからシスコンで悪かったな。
俺は石川さんに聞く。
「しじみの好きな物って何?」
石川さんは驚いたように言う。
「しじみちゃんの大好きなものに『何がしじみが好きか』聞かれて一瞬どうして良いかわかんなくなったわよ!それは答えられないわね、しじみちゃんのストーキング仲間として!」
石川さんが意味不明な事を言う。
ただ一つわかった事がある。
『石川さんとしじみはストーキング仲間だ』
何をストーキングしているのだろうか?
高校が終わるとすぐ崖っぷち動物園に来ているはずでストーキングしている暇はないはずだが。
そして石川さん、しじみを悪い道に引きずり込まないで欲しい。そして働いて欲しい。
取引銀行らしい。
電話応対している阿倍さんの顔色が悪くなる。
それもそのはず、銀行が支払いを待ってくれないと崖っぷち動物園は終わる。
本当であればこの電話応対は俺がしないといけない。
だが不幸にも阿倍さんは電話に出てしまった。
さようなら阿倍さん、君の尊い犠牲は10分は忘れない。
こうして異世界へ行くメンバーが集まった。メンバーは俺、しじみ、山本さん、石川さん・・・何で石川さん?
石川さんは崖っぷち動物園の総合案内所で働く娘さんだ。
道案内や落とし物の案内や迷子の案内など「客がいて初めて仕事が出来る」のだ。
つまりいつも仕事がない崖っぷち動物園で石川さんは何をしているのだろうか?
「しかし何で石川さん?
いや山本さんだけが家族じゃなくて疎外感を感じないように誰かを誘おうとは思ったけどさ。
だったら動物園経営でアドバイス出来る人の方が良いじゃん」と俺。
「せっかくだから私も行こうかと思って・・・」石川さんは言った。
だから何だよ、その「せっかくだから」って。
流行ってるんだよな?俺も使っても恥ずかしくないんだよな?
どんなメンバーで行くのも構わないけど、今回は斉藤さんも阿倍さんもいけないんだから、実務で役に立つ人選を心がけたい。
「せっかくだから」なんて訳がわからん同行理由ではなく。
「あ、石川さ~ん!」しじみは石川さんとハイタッチをした。
どうやら二人は仲良しらしい、意外なところで繋がりがあるんだな。
「しじみちゃんと私は『同好の士』なの」石川さんが言う。
へー、しじみに好きな物があったんだ。
両親が『人生で最後のチャンスが訪れた、行ってくる』と書き置きし蒸発してから数年が経つ。
ある意味、両親蒸発はニート生活を楽しもうと思っていた俺に就職を決意させたという意味では、親としては正しいのだが、しじみが不憫だ。
なんとか俺は親が残した蓄えと少しの借金で高校を卒業した。
だがしじみは特待生として学費免除され高校に行くしかない。
学業優秀でないと高校すら通えないのだ。
当然しじみは「あれが欲しい」「これが欲しい」などと言った事はない。
俺の夢はしじみの思う贅沢をしじみに経験させ『お兄ちゃんありがとう!』としじみに言ってもらう事だ。
話は脱線したがしじみが何が好きなのか気になる。
もし動物園が儲かり、俺が土産を買えるようになったら、しじみの好きな物を買って帰りたい・・・だからシスコンで悪かったな。
俺は石川さんに聞く。
「しじみの好きな物って何?」
石川さんは驚いたように言う。
「しじみちゃんの大好きなものに『何がしじみが好きか』聞かれて一瞬どうして良いかわかんなくなったわよ!それは答えられないわね、しじみちゃんのストーキング仲間として!」
石川さんが意味不明な事を言う。
ただ一つわかった事がある。
『石川さんとしじみはストーキング仲間だ』
何をストーキングしているのだろうか?
高校が終わるとすぐ崖っぷち動物園に来ているはずでストーキングしている暇はないはずだが。
そして石川さん、しじみを悪い道に引きずり込まないで欲しい。そして働いて欲しい。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる