超科学

海星

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エネルギー

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    「自分の彼女の母親を大宣君は殺したのよ。

    しょうがなかった事かも知れない。

    だったら自分の大切な人を殺すのも『しょうがない事』って割りきらないとね。

    人殺しに正当な理由なんてないし必要ないの。

    必要なのは『誰であろうと殺せる覚悟』よ」

    かつて「葵ちゃんの母親を殺してしまった」と落ち込む大宣を洋子先輩は叱咤した。

    「理屈はわかってるし覚悟はしたつもりだけど、果たして俺に紗季を殺せるのか?」大宣は呟いた。



    油断や手加減は出来ないししてはいけない。

    紗季は父親は大学で教授をしていた魔術師、母親はその教え子の魔術師というサラブレッドだ。

    その上、魔術師としての修業を全くしていないのに大宣への刺客として洗脳されているという事は強力な魔術が血に刻まれている可能性が高い。

    血に刻まれた強力な魔術は大宣の手に余るものだ。

    「こんなんだったらせめて葵ちゃんも一緒に来てもらうべきだったかも」と大宣は一瞬弱音を頭の中でよぎらせたが「葵ちゃんを二度と危険にさらしてはいけない」とその考えを打ち消した。

    そんな事を思いながら紗季の攻撃を回避する。



    洋子先輩は大宣の事を「戦闘の中で成長する戦闘民族だ」と言った。

    それは定かではないが戦闘の中で逃げる、相手の攻撃を避けるのは本当に上手くなった。

    魔術を満足に使えなかった大宣はステータスを逃げる事に全てふっていた。

    子供の頃からドッジボールで逃げ回り最後まで残っていたのだ。

    子供の時、周囲に言われていた「逃げ回るだけじゃ勝てない。

    攻撃しないと」という言葉が頭の中でグルグルと回っていた。




    しかし妙だ。

    魔術の源には四元素がある。

    よくロールプレイングゲームなどでも使い古されている『火・風・水・土』である。

    これに当てはまらない『ユニーク魔術』もある。

    葵ちゃんが使った『光魔術』などである。

    だが『光魔術』は『土魔術』の変化形であり、光は土魔術で発生する雷と大元は同じ物だ。

    しかも『光魔術』は早坂家の血に刻まれた特別な魔術である。

    紗季は愛人の子であり、父方の家系から血に刻まれた魔術があるわけがないし、早坂家の魔術は葵ちゃんが継いでいる。

    可能性としては和美の家系から何か特殊な魔術を血に刻まれたという考え方もあるが、それは考えにくい。

    和美の得意魔術『魅惑チャーム』は火魔術であり、代々家系に受け継がれた物とは考えにくい。

    和美から紗季に引き継がれた魔術なら和美もその魔術を使うはずなのに、このような攻撃魔術を和美が使っていると聞いた事がない。

    和美が紗季の血にこの攻撃魔術を刻んだのはほぼ間違いないとしても、和美がこの魔術をどこで知ったのかは不明だ。



    紗季が使ってくる魔術がわからない。

    まあ、大宣が知っている魔術などたかが知れているが。



    そうではなくて、魔術は魔術で相殺出来る。

    相殺出来なくても、威力や勢いを減らす事は出来る。

    相殺には二通り方法があり、一つはどんな種類の魔術でも魔術の威力で強引に相殺する方法で、もう一つは相手が使った魔術の弱点属性・・・「火の弱点は水」など・・・で相殺する方法である。

    紗季の使う魔術は弱点属性がよくわからない物であった。

    そして威力が強い。

    強引に相殺して威力を殺そうにも、充分致死量の威力が自分に向かって通ってしまう。

    後ろから声をかけられた。

    「気を付けろ、この魔術の術式は四大元素ではない!」

    その声の方を見ると大輔がいた。

    そう言えば紗季は「和美はいない」と言っていたけれど大輔がいないとは一言も言っていない。

    大輔は大宣に向かって叫んだ。

    「この魔術の術式は科学の産物だ!四大元素以外の物をエネルギーにしている!」

    「四大元素以外のエネルギーって?」と大宣。

    その疑問に大輔は静かに答えた。

    「原子力だ」 
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