超科学

海星

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モルモット

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    「野良魔術師自体が少ないんだけどね。

    親が魔術師じゃない人に基本的にコネってあんまりないのよ。

    そんな野良魔術師希望者を大量に推薦入学で入学させてたのが『科学研究室』って訳。

    私は科学研究室の一芸入試で入学したんだけど、一般入試で入学したような顔をして、化学研究室に忍び込んだの。

    菅原さんと同じように『偶然化学研究室を見つけた』って言いながらね。

    私は最初、菅原さんを警戒していたでしょう?

    それは菅原さんが化学研究室に迷いこんできた方法が全くスパイである私と同じだったからよ。

    大宣君は以前に言っていたわね。

    『何で俺はA.Hさんのカリキュラムをこなさなくてはならないんですか?何で洋子先輩のカリキュラムは見つからないんですか?』って。

    私のカリキュラムは見つからないんじゃない。

    ないの。

    早坂のババアは私にたいしての教育を放棄したの。

    まあ教育なんて元々するつもりなかったのね。

    研究室にいるのは放置された私と、最低限の魔術師としての修行カリキュラムしかこなしていない同級生で早坂のババアの娘で実験動物扱いの葵ちゃんしかいなかったからね。

    化学研究室は元々ババアの旦那の物でババアに教育者としての自覚はなかったのね。

    私は以前に言ったわね。

    『カリキュラムに従っていても大宣君はあんまり強くなれないわよ。大宣君は実戦の中で強くなるしかないわ』って。

    カリキュラム自体が葵ちゃんを何とか形だけ魔術師とするもので、まともな修行カリキュラムじゃなかったからね。

    『実戦の中で強くなれる』という根拠は私が
そうだったからよ。

    まともな魔術教育を受けなければ、敵から学び吸収するしかないの。

    まあ早坂のババアも旦那が死ぬまでは普通の母親だったんだろうし、まともに娘に魔術教育を施すつもりもあったんだろうけどね。

    その根拠として葵ちゃんの血には早坂家の魔術が刻まれているわ。

    ババアは大嫌いだったけど、あのババアも愛する男が殺されて色々と狂ったのね。

    そこは同情するわ。

    まあ私みたいな薄汚いスパイで裏切り者の言う事を信じろ、とは言わないけど早坂のババアの旦那を殺したのが誰かは私は知らないわ。

    私は大学入学と同時にスパイ活動を行っていたけど、それ以前の事は全くわからないわ。

    それじゃおしゃべりはお仕舞い。

    殺り合いましょうか?」洋子先輩は話を切り上げようとした。

    「待ってください!

    どうしても俺達は戦わなくてはいけないんですか!?」大宣は食い下がった。

    「・・・科学研究室陣営に魔術師は私しかいないの。

    ホラ、大宣君のお父様もそうだし『魔術師じゃなくても魔術の研究は出来る』のよ。

    おかしいと思わない?

    科学研究室は毎年沢山の野良魔術師見習いを入学させているのよ?

    質はともかく、魔術師だらけのはずじゃない?

    科学研究室は瑞江さん・・・大宣君のお母様から『科学と魔術の融合』の論文の研究成果を強奪して自分達の物にしようとしているわ。

    それと同時に以前から研究していた二つの事があるの。

     それが『対魔術師用の近代兵器』と『人体改造モルモット』よ。

    近代兵器の射撃実験の的は見習い魔術師だし、モルモットも見習い魔術師よ。

    その結果、科学研究室に魔術師はほとんどいなくなくなるの。

    必要な魔術師は一人だけ。

    『化学研究室にスパイとして潜入する者だけ』で、『潜入する者は存在が発覚次第、自害するか相手を駆除しなければならない』のよ。

    大宣君を駆除しない私はモルモットにならなきゃいけない。

    私は生き残るために大宣君と戦わなくてはいけないの。

    ご免なさい。」
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