記憶をなくした少女

Ma

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映画館の真実

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ジャンヌ達が向こうの世界に戻ると映画館の形が崩れ始め次の瞬間平安時代の屋敷に変わっていた。
そこに、庭で空を見上げている直衣姿の男の人がたっていた。
そこに、小さな足音が聞こえたので後ろを振り向くと真っ白な一匹の猫が座っていた。

「なぜ、こんなところに猫が?」

そう言って触ろうとするも猫が一歩後ずさりをしてその男の人を見つめていた。

(義高様……貴方と死に別れてからどんなにお逢いしたかったか……、)
(どうしてか、この猫から目を離せられない……っ)

猫が走りだそうとすると、男の人は、思わず猫を抱き上げた。
男の腕の中で猫は大人しく抱かれていた。

(この感じどこかで?)

そう考えると一人の女性の姿が頭の中に浮かんだ。

「思い出した……どうして忘れていたんだろう……、すまない」

そう言って、猫を抱き締めた。
それを聞いたとたん猫の目から一筋の涙が流れた……すると、次の瞬間猫のからだが光だした。
次に目を開けるとそこには、十二単を纏った女性が立っていた。

「義高様……やっとお会いできました。お迎えに参りました。ここは、生と死の狭間の世界……私と共にまいりましょう。」

そう言って義高と言われた男に手を差しのべるもなかなか手を伸ばしてくれない。

「義高様……?」
「怖いんだ、君と離れるのが……、もし、一緒に行ったとしてもまた、会えるかも分からない……不安なんだ。」

そこまで、言うと女性が抱きついた。

「私は、幸せです……私だけ貴方を愛してると思っていました…………でも、貴方も私をこんなにも愛していたなんて、でも、大丈夫です。私は、ずっと貴方の側に居ります。例え離ればなれになったとしても必ず義高様を探しだして見せます。」

そう言うと、義高が涙を流し彼女の方を濡らす。

「それは、こちらのセリフだ私も愛してる、離れたとしても必ず探しだして見せる……だから共に行ってはくれないか…………大姫。」
「その言葉を待っていました。さぁ、足元が光だして私達を導いてくださっています。行きましょう‼️」

そう言って二人は、歩き出した。
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