念願の悪役令嬢に!!

コロンパン

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ランチタイム

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待ってましたお昼休み。
萌香とお昼ご飯。

いそいそと萌香の元へ急ぐ。

「愛良!」

私を笑顔で迎えてくれる萌香。
うう。緊張する。
私は手に持つ布をぎゅっと握る。

「萌香。あの、今日なんだけど・・・。これ・・・。」

私は萌香に差し出したのは・・・。

「これ、は・・・?」

萌香は私の手に持つものを見る。

「作って来たの。い、一緒に食べよ?」

萌香は目を見開く。

「あ、愛良が作って来たの?」

私は頷く。
駄目かな?お弁当嫌かな?

ざわ、ざわ。

周りが騒がしくなる。

え?何で?

「姫様の手作りお弁当・・・?」

「何て羨ましい・・・。」

「俺も食べたい。」

「私も・・・。」

「何故草薙様だけ・・・。」

ひそひそと何かを話しているけど、何を言っているのか聞こえない。
周りを見渡すけど私と目が合うと顔を伏せられる。
ううう。
良い所のお嬢様が作るお弁当なんて不味いに決まってるとか言ってるのかな・・・。

これでも前世では自炊していたから、それなりに作れるのに。
萌香もそう思っているのかな?

私は萌香を窺う。
萌香は・・・!?

瞳が輝いている!!??

「愛良の手作りのお弁当・・・!!」

「う、うん。一応家の人に味を見て貰ったから、味は大丈夫な筈なんだけど・・・。
嫌だったら、カフェテリアでもいいのだけれど・・・。」

「嫌な訳無いからね!!勿論、是非とも、確実に!!食べさせて頂きます!!」

お弁当毎私の手を握り絞める萌香に安堵する。
ああ、良かったあ。

「じゃあ、今日はお天気が良いから、中庭で食べない?」

カフェテリアで注文しない人間が席に着くのも気が引けたので、外へと萌香を誘う。
中庭ならそこまで人の視線も無いだろうし。

「うん!そうね!中庭には丁度桜も咲いてるし、ちょっとしたお花見も出来るしね!!」

萌香は私の手を引く。
ああ!!夢にまで見た女子とのランチ!!
今までは攻略対象としかランチを共にした事無かったから、本当に嬉しい!!

勇気を出して良かった。

口がニヤけそうになるけど、蘇芳に言われた事を思い出してキリリと顔を引き締める。

「・・・愛良?・・・・顔、ぷふ・・、変だよ・・ふふふ。」

笑われた!我慢した顔が余程不味かったらしい。
肩を震わせて萌香が笑う。
だって、嬉しいのに嬉しい顔したら蘇芳の機嫌が悪くなる。

「だって・・・本当に嬉しいの。女の子とお昼ご飯を一緒に食べるの初めてだから。」

「愛良・・・・。」

萌香が私を慈愛に満ちた目で見る。
そして剣呑な目に変わる。

でも、それは私に向けてで無く、私の後ろに向けてだ。

「ホント、どうしようも無いわね。」

「それは、僕の事?」

「それ以外に何があるの?」

「君は本当に遠慮が無いね。」

振り返ると笑顔の蘇芳が居た。
萌香と蘇芳は笑顔で私越しに会話する。
何か・・・急速に距離が近い気がする。
笑顔だし。
いや、いいのよ?
だって、ヒロインとヒーローがくっつくのはストーリー上には何の問題も無いし、私もその覚悟は出来ているつもりだ。
蘇芳が今は私の婚約者でも、蘇芳が私に紡ぐ言葉が今私に向いていたとしても。
それがいずれ萌香じゃなくても誰かに向いたのなら、潔く身を引く。
ゲームの様に邪魔なんかしない。
幼馴染として共に居られるのなら。

胸がきしりと痛むのは寂しいだけ。
そう、寂しい。
何だかんだ言って近しい立場で蘇芳と居たから。
恋情ではないのだ。
恋情ではない。

言い聞かせる様に感じるだろうか。
暗示の様に聞こえるだろうか。
でも、そうしないとゲームの様に振舞ってしまうでしょう?

恋とは人を変える。
恐ろしい。

いや、でも萌香は『たっくん』なる幼馴染が好きなんだよな。
うむむ。
萌香が悲しい思いをするのは嫌だしな。
萌香を応援したくもある。

むう。歯痒い。

「愛良?」

「おーい、愛良?」

はっ!!
思考の沼に沈んでいた。

「な、何?」

二人共が私を見つめていた。

「いや、愛良が何かを考え込んでいたから。」

「そうそう、どうしたの?体調悪い?」

心配してくれてる。

「大丈夫!ちょっと考え事をしてただけだから。」

私は笑う。

「行こ?」

外へ促す様に私は歩き出す。

「あ、愛良待って。」

萌香が後に続く。
今はお昼御飯が先なのだ。




中庭に到着。

私の様にお弁当を作る人は居ない。
皆はカフェテリアでランチだ。

一流シェフの豪華なランチに舌鼓を打つ。
でも、萌香は(ゲーム上だが)一般家庭からいきなりそんなランチには慣れる筈もなく。

草薙家の(それでも豪華なんだよ?)シェフのお弁当を持参し、中庭で食べる。
その内、自分で作る様になる。
そして案の定愛良にそれを発見され、

「庶民出の貧乏臭い匂いが漂うと思ったら、貴女でしたのね?
よくもまぁ、そんな粗末な物を此処へ持ち込んだものだわ。
ああ、臭い。
こんなもの、食べ物でも何でも無いわ!!」

と口汚く罵り、萌香のお弁当をひっくり返す。
ちゃんと誰も居ないのを確認したうえでの犯行だ。
ああ、怖い。

まぁ、今の私はそんなつもりは毛頭ないので、しかも私のお弁当はその愛良が罵る粗末な物だから、
そんな台詞を言えば、頭がおかしいとしか思えない。
どんだけ自分を棚に上げてんだよ!!みたいなね?

「うわあ!!やっぱり桜が満開だね!!」

「ええ。本当に綺麗ね。」

萌香が凄く可愛く私に微笑むから、私も釣られて笑顔になる。
そして何故か萌香が、胸を押さえて蹲る。

「萌香!?大丈夫?」

「だ、大丈夫よ・・・。危うくいけない事を思ってしまったわ・・・。」

いけない事?
よく分からない。

「愛良、気にしないでいいよ。草薙さんは放っておいて、お昼にしよう。」

後ろからの声に体が跳ねた。

「す、蘇芳!?カフェテリアに行ったんじゃないの・・・?」

吃驚したぁ。
蘇芳が付いて来ているとは思わなかった。
だって財閥のご子息なんだから、勿論カフェテリアに行くと思うでしょう?

蘇芳はキョトンとした顔をして首を傾げている。

「何で?」

「な、何でって・・・。」

「愛良の作ったお弁当でしょ?婚約者の僕も食べるに決まっているじゃないか。」

ええ!!??決定事項なの?
いや、そんな決まりないよね?

「え、いや、でも、蘇芳の口に合うかどうか分からないわ。」

「愛良の作った物が口に合わない訳無いよ?」

し、素人の料理ですよ!?

「え、あの、え?」

私がまごついていると、ふうと息を吐いて私の持つお弁当と、実はちゃんと用意したレジャーシートを優しく奪い取り、芝生の上に広げていく。
え?
蘇芳、手際良すぎじゃない?

「さ、愛良。」

よく分からないままシートへ促される。
そして、当然の如く私の隣に腰を下ろす。

「愛良のお弁当を草薙さんにだけなんて事は無いよね?」

はっ!!これはクッキーの時と同じ事なのか!?
ニコリと微笑む蘇芳には、有無を言わせないオーラが漂っている。
お前、いい加減にしろよ?って感情もあるようなないような・・・。

「・・・はい。」

私はそう答える選択肢しかない。
蘇芳も今度は宜しいと眩しい笑顔に変わる。
危ない、危ない。

「ああああ!!もう私を置いて先に食べないで!!」

この空気を物ともせず、入って来てくれる萌香に感謝しかない。
萌香とウキウキランチは叶わず、代わりにドキドキ(ときめきではない)ランチタイムと相成った。
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