転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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先人達は良く言ったものだ。

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前略、冒険者であろう君へ。


どうも、僕です。



君の事だから冒険者になって、
自分よりレベルが高い敵を相手に、どれだけ低レベルで戦えるか、
到底理解できない戦いを挑んでいる事だろう。


残念だが、私はダンジョンをうろちょろして、
完膚なきまでに叩きのめすまで、
ボスに戦いを挑まない主義だ!

ここは君とは相容れなかったね。

君が此処に登録しているだろうと思って、
この手紙を書いてみた。

これを読んだら、至急受付のお姉さんにこの張り紙を持って行きたまえ。

君がどんな姿に転生しているか非常に楽しみだ。
君も私がどんな姿になっているか楽しみにしていてくれ。



君のストーカーより。


追伸、クリスタルは無限だ!










「あー、何であんな文章にしてしまったのでしょうか・・・・。」

私は帰り道に溜息と一緒に後悔の言葉を吐く。

「今更どうしたのよ。」

「いやね、もっと、こう、ちゃんとした文章を書こうと思ったのですが、
書いていた時間が・・・真夜中でして・・・・。」

アリスは私の言いたい事を察してくれた様で、ぽんと私の肩を叩く。

「仕方ないわよ、真夜中は魔物が居るって昔から言われてたじゃない。」

「ですよね・・・。」

中々に痛い文章を書いて自己嫌悪に陥る。
貼り出してしまったものを今更撤回出来ない。
せめてもの救いは、あれを読む事が出来る人間がほぼ居ないという事。


あ、横の人も読んでたわ。

「因みに私は、旦那さん派だわ。」

「え!まさか、アリス、そんな。裏切るつもりですか!?」

「はい?」

アリスは何言ってるんだコイツという顔をする。

「何事も完璧に攻略する方が楽しいじゃないですか!」

「私はそれよりストーリーを早く見たいから、
さっさと攻略する方が良い。」

何て事だ!
こんな所まで夫と同じ考えなんて!

「攻略本見ながら、アイテム、サブストーリーをフルコンプリートしたくないんですか!?」

「うん。攻略本見ながらとか、ストーリーが分かっちゃうじゃない?
ていうか、攻略本出るまで待てないし。」

何て言う夫!?それ。
言い分も同じ、震える勢いだよ!!

「ううう・・・。何故だ・・・。私の家族は攻略本有りきの高レベル、ボスフルボッコ派なのに・・・。」

「人それぞれなんだから、良いじゃない。色んな楽しみ方があるわよ。」

「アリス、実は夫でしたってオチ無いですよね?」

「何回もしつこい!無いわよ!!!」

「いで。」

べしっと額を叩かれる。
また感情の乗らない声を上げる。


「まぁ、後は旦那さんが見てくれる事を祈るしかないわね。
冒険者なんでしょ?ミリアムの予想では。」

こくりと頷く。

「はい、以前転生したら何になりたいって話をした事があるので、
そこから考えが変わっていなければ、間違いなく冒険者になっています。
凄くアグレッシブ人間だったので、色々な場所で冒険したいって言ってましたから。」

「そう・・・。早くロランバルトさんからの連絡があると良いわね。」

アリスが慈愛に満ちた表情で私に笑いかける。
私はもう感極まって、アリスに抱き着く。

「はい!早く夫と会って、とても大切な友人が出来たとアリスを紹介したいです!」

「ちょ、ちょっと街中で抱き着かないでって!」

アリスは暴れるが、お構いなしだ。
私はこの優しく、可愛い大好きな親友を早く夫に自慢したくて堪らなかった。


アリスは諦めたらしく、私の頭をぽふぽふと優しく叩いた。

「私も・・・早く旦那さんに会って、ミリアムとは親友ですって挨拶する・・・から。」


「ア、ア、アリス!!!」

ヒロインのデレは本当に至高。
興奮しすぎて思わず抱き締める腕に力が入ってしまった。

「ぎゃあああ!痛い!痛い!絞まってる!絞まってるから!」

この悲鳴も可愛い顔とのギャップでまた良い。

半分意識が遠退いているアリスに気付いて、
慌てて腕を離した私は、一日アリスに無視されるという拷問に近い仕打ちを受けました。




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