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1章
9年越しの再会(2)
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「あら!私ったら、ソニアの事を紹介していなかったわ。」
手をぱちりと叩き、シルヴィアはソニアの方へ向く。そして、ゴードンに向き直り
「ゴードン、こちらは私の侍女のソニアです。私よりも私の事を分かってくれるとても優秀な侍女ですの。
彼女は私が小さい頃からお世話してくれて、本当に良くしてくれるの。
侍女を一人だけ連れて来ても良いとの事だったから、迷わず彼女しかいないって、思って。
彼女は本当に素晴らしいの!何が素晴らしいかってそれは「ソニアです。宜しくお願い致します。」
シルヴィアの話を遮ると、ソニアは両方の口角を上げシルヴィアに問う。目は笑っていない。
「シルヴィア様?」
「何かしら?」
「此処はどちらですか?」
「レイフォード様のお屋敷よ、ね?」
「はい、レイフォード様のお屋敷です。そのレイフォード様のお屋敷のどちらに私共は居ます?」
「…レイフォード様のお屋敷の玄関前ね。」
「その通りです。私が何を言いたいかもう分かりましたよね?」
「…はい、ごめんなさい。ゴードン、中を案内していただけるかしら?
レイフォード様もお待たせしている筈だから、謝りに行きたいから、お会いできるかしら?」
シルヴィアに言われてハッとする。ゴードン。
いつまでも玄関前でレイフォードの妻となる伯爵令嬢を屋敷内に招かずいたのだ。
シルヴィアに対しての誓いをしたばかりなのに、執事としてあるまじき失態だ。
「シルヴィア様をいつまでもこのような場所に留まらせてしまい、大変申し訳ございません。
すぐにシルヴィア様のお部屋にご案内致します!」
慌てた様子で屋敷の玄関の扉を開ける、ゴードン。
中へシルヴィアを促すと、目に見えて落ち込んだ様子のシルヴィアがそそくさと中へ入る。
続いてソニアも中へ入るかに見えたが、扉を開けたまま頭を下げているゴードンの前で止まり
シルヴィアには聞こえない声でゴードンに呟く。
「シルヴィア様は、普段はほわほわしている方ですが、気分が高揚すると途端に饒舌になり、周りが
あまり良くお見えでなくなるのです。
なので、ゴードン様は悪くありませんので、お気になさらず。
シルヴィア様に初めてお会いになる方は、ほとんどあのペースに巻き込まれますので。
ゴードン様も早めに慣れた方がいいですよ。」
主人に対してこんな発言をする侍女も初めて出会うのだが、とゴードンは思った。
「ご進言ありがとうございます。貴女も私の事はゴードンとお呼びください。これから同僚となるわけですから、畏まった関係では円滑に業務が出来ませんので。
私も貴女の事をソニア、と呼ばせていただきます。」
礼を戻し、ソニアを見る。ソニアは何故かにっこりと笑って
「貴方はまともな様で安心しました。
味方は多い方が良いですからね。
最も単騎でも私は構いませんでしたが。」
ゴードンは口元を引き攣らせ、僅かに微笑するのに精一杯だった。
ソニアは知っているのだ。主人であるレイフォードの素行を。
でなければ、こんな黒く染まった笑顔を見せないだろう。
単騎とはなんだ?騎士か何かなのか彼女は。侍女のはずだが。シルヴィア様は侍女と紹介したのだから、
侍女で間違いないだろう。
本能的に彼女に逆らっては命の保障がないだろうと感じた。
ゴードンが考えあぐねている間に、ソニアはシルヴィアの側でゴードンが来るのを待っていた。
ゴードンは頭を横に振り、
(私は何も見なかった。ソニアの笑みも黒くなど無かったのだ。)
現実逃避をした。
それが、後々自分の頭を悩ます問題になる事は、分かっていたが、敢えて考えないようにした。
手をぱちりと叩き、シルヴィアはソニアの方へ向く。そして、ゴードンに向き直り
「ゴードン、こちらは私の侍女のソニアです。私よりも私の事を分かってくれるとても優秀な侍女ですの。
彼女は私が小さい頃からお世話してくれて、本当に良くしてくれるの。
侍女を一人だけ連れて来ても良いとの事だったから、迷わず彼女しかいないって、思って。
彼女は本当に素晴らしいの!何が素晴らしいかってそれは「ソニアです。宜しくお願い致します。」
シルヴィアの話を遮ると、ソニアは両方の口角を上げシルヴィアに問う。目は笑っていない。
「シルヴィア様?」
「何かしら?」
「此処はどちらですか?」
「レイフォード様のお屋敷よ、ね?」
「はい、レイフォード様のお屋敷です。そのレイフォード様のお屋敷のどちらに私共は居ます?」
「…レイフォード様のお屋敷の玄関前ね。」
「その通りです。私が何を言いたいかもう分かりましたよね?」
「…はい、ごめんなさい。ゴードン、中を案内していただけるかしら?
レイフォード様もお待たせしている筈だから、謝りに行きたいから、お会いできるかしら?」
シルヴィアに言われてハッとする。ゴードン。
いつまでも玄関前でレイフォードの妻となる伯爵令嬢を屋敷内に招かずいたのだ。
シルヴィアに対しての誓いをしたばかりなのに、執事としてあるまじき失態だ。
「シルヴィア様をいつまでもこのような場所に留まらせてしまい、大変申し訳ございません。
すぐにシルヴィア様のお部屋にご案内致します!」
慌てた様子で屋敷の玄関の扉を開ける、ゴードン。
中へシルヴィアを促すと、目に見えて落ち込んだ様子のシルヴィアがそそくさと中へ入る。
続いてソニアも中へ入るかに見えたが、扉を開けたまま頭を下げているゴードンの前で止まり
シルヴィアには聞こえない声でゴードンに呟く。
「シルヴィア様は、普段はほわほわしている方ですが、気分が高揚すると途端に饒舌になり、周りが
あまり良くお見えでなくなるのです。
なので、ゴードン様は悪くありませんので、お気になさらず。
シルヴィア様に初めてお会いになる方は、ほとんどあのペースに巻き込まれますので。
ゴードン様も早めに慣れた方がいいですよ。」
主人に対してこんな発言をする侍女も初めて出会うのだが、とゴードンは思った。
「ご進言ありがとうございます。貴女も私の事はゴードンとお呼びください。これから同僚となるわけですから、畏まった関係では円滑に業務が出来ませんので。
私も貴女の事をソニア、と呼ばせていただきます。」
礼を戻し、ソニアを見る。ソニアは何故かにっこりと笑って
「貴方はまともな様で安心しました。
味方は多い方が良いですからね。
最も単騎でも私は構いませんでしたが。」
ゴードンは口元を引き攣らせ、僅かに微笑するのに精一杯だった。
ソニアは知っているのだ。主人であるレイフォードの素行を。
でなければ、こんな黒く染まった笑顔を見せないだろう。
単騎とはなんだ?騎士か何かなのか彼女は。侍女のはずだが。シルヴィア様は侍女と紹介したのだから、
侍女で間違いないだろう。
本能的に彼女に逆らっては命の保障がないだろうと感じた。
ゴードンが考えあぐねている間に、ソニアはシルヴィアの側でゴードンが来るのを待っていた。
ゴードンは頭を横に振り、
(私は何も見なかった。ソニアの笑みも黒くなど無かったのだ。)
現実逃避をした。
それが、後々自分の頭を悩ます問題になる事は、分かっていたが、敢えて考えないようにした。
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