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第五話 それは幸せの始まり……。sideヴォリス
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俺の恋人は、皆に愛されている。
初めてヒクトを認識したのは、俺が国王軍の騎士として辺境都市に来た際に国境の砦に行く前に催された宴の席だった。
辺境領の都市は、隣国からの突撃でも領民への被害が抑えられるよう、国境から少し離れており、その国境の砦もかなり大きく、常に厳戒態勢で守られている。
そこの更なる警備のため派遣されてきた国王軍を歓待する席で、ヒクトは領主の末息子として、大人しく静かに微笑んでいるだけだった。
辺境伯には六人子供がおり、その四男が彼だった。
煌びやかな衣装を身にまとい母親譲りの綺麗な顔をした、どこか儚げな印象で口数も最小限に、華を添えるためだけにいるかのような存在と言えた。
だから気が付かなかった。
交代警備で数日後砦から戻って来た翌日、辺境伯の城ではなく、街なかにある領民が利用する役場の前を通り掛かった。そこから出てきた違和感なく平民の服を着ていた青年。髪は無造作が過ぎ、少し猫背で、眠そうな目をしているのをすれ違いざまに視認するのはもう癖で、大まかな人相は勝手に蓄積されていく。
ただ俺の脳は目から入って来た情報を自覚なく分析し、二度見をさせた。それでも思い出しはしなかった。
そしてどうしても気になる人物が誰とも分からずに後を付けて、正体を知る。
彼は軽い足取りで歩いて市場で方々で声を掛けられ、小言も混じるそれらに反発したり軽く謝ったりしていた。栄養のあるものを食べる様にと八百屋で果物を貰って齧ったり、屋台で串を貰って歩きながら食べている。
どこからどう見てもただの町の気のいい青年である事は一目瞭然で、そして誰も彼が領主の息子であることを忘れているのか、そもそも知らないのか。そんな雰囲気だったから、違和感の原因が本当に分からなかった。
ただ役場に戻った彼が副所長代理兼顧問という聞きなれない役職で働いていて、他の役人に聞けばすぐ教えられた。
それから数が月。
国境の砦に派遣された国王軍全員が留まれるわけもないために、交代で城下街とを定期的に行き来していた。
城下街に来る度に、ヒクトについて聞いた。
領主の愚息と明るいトーンで気軽に領民は口にする。
それを本人がいる場所で平気で聞かせていて、ヒクトも本気で怒ったりもせず笑って誤魔化すでもなく、冗談めかして怒るふりで笑わせたり、領主の息子でなければ路頭に迷っていただろうとしみじみ言ったりして、そんなことないと励まされていたり。
俺はそんな風景をただ眺めていた。
辺境領に駐軍し始めた当初、事前に聞かされていた通り、領内の反発は大きいと言って過言でなかった。
辺境伯は王の意を汲んでいるからこそ受け入れに了承しているが、汲んでも尚の辺境軍と、そして市民は中枢の思惑を知らないのはもちろん、政治的な様々な兼ね合いを理解できるとも限らないからこそ目に見えて歓迎はされなかった。
その上、この辺境領の市民は他所の領とは違い、この地の持つ役割が根付いている。
長く緊張状態にある隣国が攻め入ってくる可能性が如何なる時もあるということを。
だからこそ、国王軍が来るという意味を辺境領の民が分からないわけがない。
不穏な噂の信憑性が増し、街は緊迫感に包まれていた。
そのため国王軍の制服を着ている俺に快く話してくれる市民はおらず、私服であろうと見知らぬ顔だというので不審がられ簡単にヒクトについての詳細を知るのは難しかった。
ただ役人は違う。内心はどう思っていようが、俺の身分が正しく伝わっているが故に聞けば答えが返ってきた。
辺境伯のご子息の中では、一番の出来損ないで問題児だったと。
王都の学園でも中ほどの成績でしか卒業できず、成人してからも兄弟たちのように活躍もせず、領都の役場で平民のように生活しているだけ。
役人はそう穏やかな表情で言った。
緊張状態のはずが、役人たちはそれほど心配している様子はなく、当初国境の街だからそんな状況にも慣れているのかと思っていたのだ。
その中で、ヒクトはただ酒場で愚痴っていた。
そして酔ったヒクトは口々に上がる不満に同意し、息まいて父親に進言してやると宣言した。
同じ酒場に俺がいることは目が合ったことで存在自体は認識していただろうが、挨拶一つなかった。俺の顔を覚えていないのだと思ったが、実は違うと後に分かるのだけれども、この時はまだ、あまり才に恵まれず昼行燈に暮らしている辺境伯の愚息なのだと、噂通りで多少の違和感は抱きながらもそう呆れながら眺めていた。
そして数日後、彼はあからさまに落ち込んでいた。
その理由は酒場の面々から漏れ聞こえる会話で知れた。
兄に怒られたんだろうと。
皆、苦笑を浮かべていた。
ヒクトの兄、つまり次期辺境伯だ。
進言を却下されたのかと思ったが、酒場で騒ぐなと怒られたらしい。
すっかり大人な年齢で、年は離れているが兄に怒られて、それをこんな領民の前でしょげ返っているなんて信じられなかった。
なんて子供なのだろうと。
素行の悪い領主の子息を王都の学園時代からそれなりに見てきたが、その中でもかなり子供のままでいる彼を哀れにさえ思った。
色恋に溺れたり、金遣いが荒かったり、そんな地位に胡坐を掻いている連中よりもただただ子供なだけで、そんな風に精神を成長させる必要もないくらい甘やかされて育ったのだと、同じ領主の息子として怒りも湧かず、ただ子供でいられる彼を憐れみ、羨ましさも感じない程、同情もしなかった。
それなのに、気が付けば彼を観察している自分がいた。
辺境であるのに豊かであるこの地に羨望を持ったのかと、自分の生まれ故郷との差を彼に見ているのだろうかと自己分析しながら、仕事以外は彼を探したり形跡をなぞったり、ついぞや隊長にも不審がられるまでにあからさまになっていた。
そうまでして分かったことがある。
彼の周りにはいつも人がいた。
そしてその中の一人に自分もなっていることに気づく。
観察がいつしか対話になり、気が付けば友人になっていた。
そしてとうとう理解した。
彼がとても優秀であり、それでいて演じることなく調子者でいられる稀有な人物であることを。
酒場で飲みすぎて怒られていたのだって、市民の中だけで溜まるばかりの不満なんかを吐き出させる要素もあれば、そこで具体的に出てきた問題があればヒクトがわざわざ話さなくても上層部に伝わるようになっているのだと分かった。
ヒクト自身はその辺りは意識していないというか、兄上優秀フィルターが掛かっていて、自分が言うまでもなく兄は知っていたと思っているらしい。
けれど実際はヒクトが街にいるという事実が領内の沈静にかなり役立っているのは確実だった。
この辺境領にだけ許された独自の軍がある。
ここは、領を守ることは即ち国を守ることになる。
半端な実力では務まらない。
この辺境軍には、ヒクトの叔父と次兄が所属しており、二人は国内でも屈指の戦闘力とカリスマ性を兼ね備えていた。
その実力を領民が知っているからこそ、当初国王軍がただ摩擦を大きくするのではと拒絶反応があったのだ。
実はヒクトも二人には及ばないが、王都で騎士になれるほどには剣術も馬術も体術も身に着けていた。
ただ辺境軍に入っても活躍できるほどではなかったようだ。
そしてそれは辺境軍のレベルが高すぎるが故であり、街なかで暴漢を捕まえるくらいは容易いのだから、とても一般市民と同じではない。
だから喧嘩の仲裁を頼まれたり、犯罪者を追いかけたり、警備兵のようなこともしている。
逃げたペットを探したり、農繁期に手伝いに駆り出されていたり、定食屋や雑貨店で店番までしている時もあった。
何を生業にしているのかと、うっかり貴族の息子だと忘れる程だったが、実際彼は自分で役所で文官をしていて給料を貰っていた。
それさえ税金からだと、どこか後ろめたそうに言う。
綺麗な字で書類を作っていたから、事務仕事も苦手ではなさそうだったが、一応伯爵家のご子息という立場は平職員では置けないらしく、副所長の下の特別な役職についていた。
そして事務処理のスピードが速いからこそ、時間の余裕があるのだ。
ヒクトは領内のあらゆる情報に精通していて、そして何かトラブルがあれば些細なことでも相談してもらえる信頼を得ていた。
役人たちはそれを分かっているから、ヒクトに副所長代理兼顧問の威厳を出すようにという小言以外は何も咎められることはない。そんな威厳の出し方は分からないとプンスカしながらヒクトは役人たちとも良好な関係であった。
そして領民や役人だけでなく、家族にもとても愛されている。
家族の誰もが、彼の存在の尊さを認め、そして自由を望んでいた。
初めてヒクトを認識したのは、俺が国王軍の騎士として辺境都市に来た際に国境の砦に行く前に催された宴の席だった。
辺境領の都市は、隣国からの突撃でも領民への被害が抑えられるよう、国境から少し離れており、その国境の砦もかなり大きく、常に厳戒態勢で守られている。
そこの更なる警備のため派遣されてきた国王軍を歓待する席で、ヒクトは領主の末息子として、大人しく静かに微笑んでいるだけだった。
辺境伯には六人子供がおり、その四男が彼だった。
煌びやかな衣装を身にまとい母親譲りの綺麗な顔をした、どこか儚げな印象で口数も最小限に、華を添えるためだけにいるかのような存在と言えた。
だから気が付かなかった。
交代警備で数日後砦から戻って来た翌日、辺境伯の城ではなく、街なかにある領民が利用する役場の前を通り掛かった。そこから出てきた違和感なく平民の服を着ていた青年。髪は無造作が過ぎ、少し猫背で、眠そうな目をしているのをすれ違いざまに視認するのはもう癖で、大まかな人相は勝手に蓄積されていく。
ただ俺の脳は目から入って来た情報を自覚なく分析し、二度見をさせた。それでも思い出しはしなかった。
そしてどうしても気になる人物が誰とも分からずに後を付けて、正体を知る。
彼は軽い足取りで歩いて市場で方々で声を掛けられ、小言も混じるそれらに反発したり軽く謝ったりしていた。栄養のあるものを食べる様にと八百屋で果物を貰って齧ったり、屋台で串を貰って歩きながら食べている。
どこからどう見てもただの町の気のいい青年である事は一目瞭然で、そして誰も彼が領主の息子であることを忘れているのか、そもそも知らないのか。そんな雰囲気だったから、違和感の原因が本当に分からなかった。
ただ役場に戻った彼が副所長代理兼顧問という聞きなれない役職で働いていて、他の役人に聞けばすぐ教えられた。
それから数が月。
国境の砦に派遣された国王軍全員が留まれるわけもないために、交代で城下街とを定期的に行き来していた。
城下街に来る度に、ヒクトについて聞いた。
領主の愚息と明るいトーンで気軽に領民は口にする。
それを本人がいる場所で平気で聞かせていて、ヒクトも本気で怒ったりもせず笑って誤魔化すでもなく、冗談めかして怒るふりで笑わせたり、領主の息子でなければ路頭に迷っていただろうとしみじみ言ったりして、そんなことないと励まされていたり。
俺はそんな風景をただ眺めていた。
辺境領に駐軍し始めた当初、事前に聞かされていた通り、領内の反発は大きいと言って過言でなかった。
辺境伯は王の意を汲んでいるからこそ受け入れに了承しているが、汲んでも尚の辺境軍と、そして市民は中枢の思惑を知らないのはもちろん、政治的な様々な兼ね合いを理解できるとも限らないからこそ目に見えて歓迎はされなかった。
その上、この辺境領の市民は他所の領とは違い、この地の持つ役割が根付いている。
長く緊張状態にある隣国が攻め入ってくる可能性が如何なる時もあるということを。
だからこそ、国王軍が来るという意味を辺境領の民が分からないわけがない。
不穏な噂の信憑性が増し、街は緊迫感に包まれていた。
そのため国王軍の制服を着ている俺に快く話してくれる市民はおらず、私服であろうと見知らぬ顔だというので不審がられ簡単にヒクトについての詳細を知るのは難しかった。
ただ役人は違う。内心はどう思っていようが、俺の身分が正しく伝わっているが故に聞けば答えが返ってきた。
辺境伯のご子息の中では、一番の出来損ないで問題児だったと。
王都の学園でも中ほどの成績でしか卒業できず、成人してからも兄弟たちのように活躍もせず、領都の役場で平民のように生活しているだけ。
役人はそう穏やかな表情で言った。
緊張状態のはずが、役人たちはそれほど心配している様子はなく、当初国境の街だからそんな状況にも慣れているのかと思っていたのだ。
その中で、ヒクトはただ酒場で愚痴っていた。
そして酔ったヒクトは口々に上がる不満に同意し、息まいて父親に進言してやると宣言した。
同じ酒場に俺がいることは目が合ったことで存在自体は認識していただろうが、挨拶一つなかった。俺の顔を覚えていないのだと思ったが、実は違うと後に分かるのだけれども、この時はまだ、あまり才に恵まれず昼行燈に暮らしている辺境伯の愚息なのだと、噂通りで多少の違和感は抱きながらもそう呆れながら眺めていた。
そして数日後、彼はあからさまに落ち込んでいた。
その理由は酒場の面々から漏れ聞こえる会話で知れた。
兄に怒られたんだろうと。
皆、苦笑を浮かべていた。
ヒクトの兄、つまり次期辺境伯だ。
進言を却下されたのかと思ったが、酒場で騒ぐなと怒られたらしい。
すっかり大人な年齢で、年は離れているが兄に怒られて、それをこんな領民の前でしょげ返っているなんて信じられなかった。
なんて子供なのだろうと。
素行の悪い領主の子息を王都の学園時代からそれなりに見てきたが、その中でもかなり子供のままでいる彼を哀れにさえ思った。
色恋に溺れたり、金遣いが荒かったり、そんな地位に胡坐を掻いている連中よりもただただ子供なだけで、そんな風に精神を成長させる必要もないくらい甘やかされて育ったのだと、同じ領主の息子として怒りも湧かず、ただ子供でいられる彼を憐れみ、羨ましさも感じない程、同情もしなかった。
それなのに、気が付けば彼を観察している自分がいた。
辺境であるのに豊かであるこの地に羨望を持ったのかと、自分の生まれ故郷との差を彼に見ているのだろうかと自己分析しながら、仕事以外は彼を探したり形跡をなぞったり、ついぞや隊長にも不審がられるまでにあからさまになっていた。
そうまでして分かったことがある。
彼の周りにはいつも人がいた。
そしてその中の一人に自分もなっていることに気づく。
観察がいつしか対話になり、気が付けば友人になっていた。
そしてとうとう理解した。
彼がとても優秀であり、それでいて演じることなく調子者でいられる稀有な人物であることを。
酒場で飲みすぎて怒られていたのだって、市民の中だけで溜まるばかりの不満なんかを吐き出させる要素もあれば、そこで具体的に出てきた問題があればヒクトがわざわざ話さなくても上層部に伝わるようになっているのだと分かった。
ヒクト自身はその辺りは意識していないというか、兄上優秀フィルターが掛かっていて、自分が言うまでもなく兄は知っていたと思っているらしい。
けれど実際はヒクトが街にいるという事実が領内の沈静にかなり役立っているのは確実だった。
この辺境領にだけ許された独自の軍がある。
ここは、領を守ることは即ち国を守ることになる。
半端な実力では務まらない。
この辺境軍には、ヒクトの叔父と次兄が所属しており、二人は国内でも屈指の戦闘力とカリスマ性を兼ね備えていた。
その実力を領民が知っているからこそ、当初国王軍がただ摩擦を大きくするのではと拒絶反応があったのだ。
実はヒクトも二人には及ばないが、王都で騎士になれるほどには剣術も馬術も体術も身に着けていた。
ただ辺境軍に入っても活躍できるほどではなかったようだ。
そしてそれは辺境軍のレベルが高すぎるが故であり、街なかで暴漢を捕まえるくらいは容易いのだから、とても一般市民と同じではない。
だから喧嘩の仲裁を頼まれたり、犯罪者を追いかけたり、警備兵のようなこともしている。
逃げたペットを探したり、農繁期に手伝いに駆り出されていたり、定食屋や雑貨店で店番までしている時もあった。
何を生業にしているのかと、うっかり貴族の息子だと忘れる程だったが、実際彼は自分で役所で文官をしていて給料を貰っていた。
それさえ税金からだと、どこか後ろめたそうに言う。
綺麗な字で書類を作っていたから、事務仕事も苦手ではなさそうだったが、一応伯爵家のご子息という立場は平職員では置けないらしく、副所長の下の特別な役職についていた。
そして事務処理のスピードが速いからこそ、時間の余裕があるのだ。
ヒクトは領内のあらゆる情報に精通していて、そして何かトラブルがあれば些細なことでも相談してもらえる信頼を得ていた。
役人たちはそれを分かっているから、ヒクトに副所長代理兼顧問の威厳を出すようにという小言以外は何も咎められることはない。そんな威厳の出し方は分からないとプンスカしながらヒクトは役人たちとも良好な関係であった。
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