処刑され逆行した悪役は悪人になる

白雪慧流

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幼少期編

味方は一人でも増やすべき、これ本当

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 馬車に乗り、王宮に入る。いつものようにバステンが出迎えるかと思えば、別の執事服を着た男性が現れた。
 ん? と首を傾げるとニコニコと男性はする。王宮に仕える使用人にしては珍しい態度だ。

 俺が普段教育に入るのは、王子宮と呼ばれる離宮の一つ。第一王子は王太子宮、ほかの王子は王子宮と別れているのだ。
 王子宮は、第二王子の領域のため、あまり俺によい顔はしない。主が蔑ろにしている婚約者だ、当たり前である。だから、こうニコニコされると返って怖い。

「新しく王子宮付きとなりました。モートンと申します」
「カルム殿下の婚約者、バーナード公爵家、メルア・バーナードだ、よろしくモートン」
「はい、テネクリタから頼まれてますから」
「え……?」

 んん? テネクリタから? あまりにもアホな顔をしてしまったのか、モートンは屈託なく笑い、事情を説明してくれた。
 モートンはどうやら影の一人らしい。テネクリタとは数少ない同期で、自分が同行できないからと頼まれたそうだ。

「王子宮には、貴方様の味方はおりませんでしょう? なので、私が入りました」
「それは、陛下又は王太子殿下も許可を?」
「えぇ、ついでに私は王太子殿下側の影となります。弟が婚約者を蔑ろにしていると聞けば、対策したくもなりましょう」

 知り合いが公爵家の護衛をしており、俺に世話になっていると聞けば、王子宮に派遣してくれたらしい。
 ふむ、王太子殿下はまともそうな人物だな。キャロの事もあるし、いつか接触はしてみようと思っていたが。

「そうか、なら遠慮なく頼らせてもらう」
「はい、私としても急に消えたテネクリタを救いあげてくださったメルア様には感謝しています。影は死と隣り合わせ、生きている同胞は貴重ですから」

 その同胞を、国家を揺るがす詐欺に加担させようとしているのだが……まぁいいか。
 モートンは確かに頼りになるだろう。ただし、王太子殿下にも監視されていると思った方がいいか。

 ま、味方を増やしておいて損は無い。成行きではあるが、前回よりよっぽどマシな道筋は辿っているだろう。
 王宮、授業部屋の扉を開ける。さて、ここからは淑女の演技といこうか。
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