美しさの方程式

MOON WITCH

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episode1

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 ここはいわゆる魔道具雑貨店。ここでは希少といわれている魔女や魔法使いに、使える道具を売る場所。でも、魔女や魔法使いも段々と数が減って行き、今では年寄りばかりと言われている。私の家計も、今では普通の人間しか生まれていないけれど、先祖が魔女だったからここの場所が分かったというわけ。
「ねぇ。ここに住み込みで働かせて欲しいの。」
「えっと…は?」
「いや、特に必要とされてないことは分かっているんだけど、ここ、魔道具雑貨店でしょ?それ知ってる人がバイトする方がそっちも都合いいだろうし。今、家探してるんだよね。だから、お願いします!」
 すごく無理を言っているのは分かっている。分かっているけど、家出をしてしまったからにはしょうがない。だって、親が、どうしても大学行かないなら家を出て1人で生きてみろって言うんだよ!?
 行きたくないものは行きたくないんだからしょうがないじゃない!だからとりあえず、家を出てきてしまった。
「えっと、接客経験は?」
「ない。」
「え、俺お願いされてるんだよね?」
「うん。」
「それで、タメ口&やる気なし?」
「やる気はあんじゃん!接客経験ないけど、そこら辺はパーフェクトにできる自信あるよ!自分で言うのもあれだけど器用な方だし。」
「んー…。」
「住むところ探してるんだよね。人助けすると思ってさ。」
「でも、住み込みってベットとかないし。」
「それは、なんとかする。あー、とりあえず1カ月だけでも試しで雇って、あたしが使えるか判断してよ。」
 自分で言うのもあれだが、私は他人と接する態度は良い。今はタメ口だが、スイッチを入れれば敬語が抜けることはない。それに、無駄にお嬢様っぽい雰囲気を出せる。仕事もデキる女ばりに働ける自信はある。
「じゃあ、試しに1カ月。」
 よっしゃ!!!
「ありがとうございます!」
「お給料は…時給1500円程度ってとこでど?」
「え、そんなに!?…?てか、お兄さんもスイッチ切り始めた?」
「だって、タメ口の年下のバイトの子に気を遣う気にはなれないしね。…あ、名前。俺、髙橋犬茶(たかはしいち)。あんた、名前は?」
「あ、あたしは、城波紫闇(しろなみしあん)。これからよろしくお願いします。」
「よろしく。」
 こんな素性の分からない人間を採用する人間の気は知れないけど、本当に感謝だわ。てか、この人をはじめて見た時、イケメンと思ったことは絶対言わないでおこう。言ったら住まわせてもらえないかもだし。なんか、この人絶対モテた。ファンとか多そう。そのファンと誤解されたら嫌だし。ま、私もモテる方だけど~。それは置いておいて。
「ね、制服とかあるの?」
「あー、女の人用はないかも。」
「じゃあ、自分で作っちゃっていい?」
「え、うん。あー、俺のこれだから、これに似た、黒っぽいやつで。」
「はーい。」
 デザインどれがいいかなぁ。前から服作るのは好きで、実はカフェの制服っぽいやつも考えてたやつがある。
 これ、かな。よし、これで作ろう。
 これをこうしてああしてほい!できた!
「え、お前、魔女なのか!?」
 あ、忘れてた。最初に言っとくべきだったよねこれ。実は私、時代にそぐわない魔女なのだ。祖父母も両親も普通だったのに、何故か私だけ魔女だった。しかももう生まれないと言われているのに。
「あ、ごめんね、言い忘れてた。」
「えぇ、訳アリなのはなんとなく分かってたけど、こうくるとは。このご時世、魔女なわけ?」
「そうなんだよね、私も何でか分かんないんだけど。まぁそういうことで、よろしくね!犬茶店長!」
 流石にアルバイト採用は取り消さない…よね?
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