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第一話 前編
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ある屋敷に、鳥かごに入れられた一羽の鳥が眠っていた。
鳥は、夢の中で自分の羽を抜かれる夢を見ていた。
「あぁ…この羽じゃあ、もうあの青空を自由に飛ぶ事はできないだろう」
鳥は悲しくなり泣いていました。だけど、飼い主は、鳥の嘆きを美しい鳴き声だと、耳を澄ませて、心穏やかに聴いていました。
***************
時は、大正時代
満月が光輝く夜、鹿鳴館でパーティーが開かれていた。
会場にいる人はみな、鮮やかなドレスや燕尾服を着ている。
その中で、一際目立つ少女が会場を歩いていた。
肌は白く透き通り、髪は飴色の長い髪、瞳は、まるで緑の宝石が埋め込まれているような、鮮やかで美しい色をしている。身に纏った赤いドレスは、さらに彼女の美しさを目立たせていた。
一人の男性が彼女を見つめ閃いたかのように、口走る。
「フランス人形……? いや、彼女の姿はまるで気品のあるアンティーク人形のように美しい」
男性の側にいた女性も納得しながら答える。
「きっと異国の血が流れているのね。彼女の美しさはどこか浮世離れしているわ」
彼女を眺めながら、男女は歩いて去っていく。
「アンティーク人形か……」
人形と呼ばれた少女は、溜息と共に、ぼそり小声で呟いた。
(確かに、私の体には異国の血、フランスの血が少し流れている。でもお父様も、母方のお爺様も日本人だ。日本で生まれ、日本で育っても、やはり見た目は、異国の人と間違われるぐらい日本人らしくない見た目をしている。外に出る度に、毎回容姿の事で悩まされる。)
(今日は、お父様の仕事の取引相手のパーティーに家族で呼ばれたので、断れなかった。
本当は、こんな大勢のいる場所だと、自分の容姿が目立つから嫌だけど、そんな事で断ったらお父様に失礼なので、我慢して参加している)
(何度かパーティーには参加しているけど、やはりこの場所の独特の空気は未だに慣れない)
溜息をこぼしていると、背後から声をかけられる
「暗い顔をしているな、梓」
深緑な色合いの黒髪の青年が彼女に声をかける。
「誠一郎お兄様!」
誠一郎と呼ばれた男は、梓と呼んだ自分の妹に近づく。
「せっかくのパーティーだからな。少しぐらい楽しんでもいいんだぞ」
「はい…。でも、やはり未だに馴染めません」
梓は苦笑いして答えた。
「まぁ、確かに…父さんの仕事相手が開催したパーティーだからな。無理にとは言わないが…。あまり、悩みすぎると、体に良くないぞ」
「それに…せっかく俺が用意したドレスを着ているのに、本人が暗い顔をしていたら、似合う物も似合わなくなる。俺は、梓に少しでもこのドレスを着ている時は笑っていてほしいんだが…難しそうか?」
苦しそうな表情の兄に、梓は慌てて返す。
「そんな!私はこのドレスをとても気に入っておりますわ。お兄様が、私に似合うと思って選んでくれたお気持ち、とても嬉しいです。本当に、ありがとうございますお兄様」
「そう思っていてくれて俺も嬉しいよ。梓」
二人はお互い笑みで返した。その中に、少し色合いの派手な着物を着た美しい女性が近づいてくる。
「あら、誠一郎様。こちらにいらしたのね。ずっとお探ししていましたの」
「貴女も来ていたのか…広子」
広子と呼ばれた女性は、誠一郎に近づくと、彼の片腕に、自分の腕を回して絡めていく。
「えぇ…私も家族で御呼ばれされたので。でも、こうして、婚約者の誠一郎様にお会いできるだなんて…やはり私達は、運命で結ばれているのかしらね?」
広子は笑顔で微笑んだが、誠一郎は鬱陶しげな顔で黙り込む。
「広子様、こんばんは。」
「あら、梓さんもいらしたのね。誠一郎様のお姿ばかり見ていて気付かなかったわ。ごめんなさいね」
「いえ、大丈夫です。気にしておりませんわ」
広子と呼ばれる女性は、梓とは正反対な見た目をしていた。
黒髪で黒い瞳、日本人特有の肌色、着物は派手な柄を身に纏っているが、その着物に負けないぐらいの妖艶な色気がどことなく溢れてくる。アンティーク人形と例えられる梓とは、まさに正反対だ。
「あら、梓さん。素敵なドレスをお持ちなのね」
広子の目線は梓の赤いドレスに向けられる。
「こちらは、先日お兄様が今夜のパーティーにと、選んで戴いた物なのです。」
微笑ましく語る梓に、広子は鋭い目線で、婚約者の誠一郎を見つめる
「あら~、そうなの…。私には、このようなお高い物は下さらないのに…。」
「君にもあげているじゃないか…」
「ふふ、まぁこれより遙か値が、お安いような物ばかりじゃないですか?」
「そうだったか?値段を見ずに買っているから分からないな」
「あら?では、私に似合う物を選んでくれたのですか?まぁ、広子、嬉しいですわ」
広子は誠一郎を見て微笑むが、彼は目線を逸らし、何も答えなかった。
「また、失踪事件ですって。今度は黒川さんのご令嬢が失踪したらしいわ」
「数日前にも、確か女学生が失踪したって新聞に載っていましたわ」
「二週間で二人も失踪して新聞に記事が記載されていたのに、警察はただの家出だとして動いていないらしいわ」
「まぁ、親御さんの事を考えると苦しくなるわね」
「無事に見つかれば良いけれど…」
年配の二人のご婦人達の会話が耳に入る。
「なんだか…物騒な話だな。梓、念のため気を付けるようにな」
「はい、お兄様」
「あら、私(わたくし)には、おっしゃってくれないの?誠一郎様」
「あぁ…君もな」
「まぁ、冷たい。妹の梓さんには、一段とお優しいんですのね」
広子の言葉に、より一層誠一郎は不愉快さを滲ませた顔に変わった。
そんな時に、会場の中央ステージに動きが見えた。
「お、そろそろ、櫂人の出番のようだな」
誠一郎は、梓に目線で合図を送った。
ステージの中央では、洋風のスーツを着た一人の青年がバイオリンを持ちながら準備に取り掛かる。
櫂人と呼ばれた青年も少し浮世離れした容姿をしていた。
肌は透き通るほど白く、ライ麦色をした髪を長く伸ばし、頭の後ろで髪を垂れさがるように、紐で一つにまとめている。
瞳は梓と同じように、まるで紫の宝石が埋め込まれているような美しい瞳をしていた。
櫂人はピアニストと、目線で合図し、バイオリンを弾いていく。
ピアノの優しい音色とバイオリンの高貴な響きが、会場にいた全ての人達の視線を釘づけてゆく。
ライトに照らされた彼の髪が、まるで夕日に照らされたライ麦畑を連想するかのように、金色に輝いてなびいていた。
梓は懸命に演奏している実弟でもある櫂人に瞳を奪われて、演奏に心躍ていた。
ピアノとバイオリンの演奏は、名残惜しく終わった。
(やっぱり、櫂人の演奏は何度聴いても素敵だわ。幼い頃に、私が弾くピアノと一緒に演奏した頃より、数段と腕が上がっている。ずっと聴いていたくなる。優しい音色)
梓は櫂人の演奏で先ほどの不安な気持ちは消え去り、会場の外へと足を向ける。
「梓…どこへ行くんだ?」
「すみませんお兄様、少し御不浄へ…。失礼しますわ」
梓は一言誠一郎に告げると、御不浄へ向かった。
ご不浄で用を済ませ、再び会場に戻ろうとした瞬間に曲がり角で、何かとぶつかった。
「きゃっ」
「す…すいません。お怪我はないですか?お嬢さん」
床に尻もちを着いた梓に、男が手を伸ばす。
「すみません。私の不注意ですのに…。」
「いえ、僕も前を見ていなかったので…」
差し出された手に梓は手を掴み、体を起き上がらせる。
梓は初めて、男の顔を見る。
彼は、眼鏡をかけた優しそうな印象の成人男性だった。
ただ、微かに匂う甘い香りと鼻がつんっとする香りが梓は気になった。
(この香り…どこかで嗅いだことあるような?どこだったかしら?)
「何か?」
男は不思議そうに尋ねる。
「いえ、こちらは大丈夫です。あの、お手を貸して頂きありがとうございます」
「いえ、こうして先に出会えたのも、何かの“縁”なのかも知れませんね」
「え?」
「また、お会いしましょう。お嬢さん」
眼鏡をかけた紳士は、その場から立ち去った。
梓はその紳士の後姿を不思議そうに眺めて、少しの間佇んでいた。
「そうだわ!会場へ戻らないと」
彼女は、再びクラシカルの音楽が響く会場へ足を進める。
すると、その先には、演奏を終えて戻ってきた彼女の弟の櫂人が見える。
どうやら、彼は、実の父親と誠一郎の母親の数子と話していた。
「櫂人、先ほどの演奏は、実に素晴らしかった。先方の方も、お前の演奏を絶賛していてね。また、機会があればよろしく頼むよ」
「はい。僕の演奏で良ければ、喜んで」
男とも女ともいえぬ、中性的な声で櫂人は答える
「ありがとうな、櫂人。すまない、まだ挨拶が終わっていなくて。これで失礼する」
彼の父親はすぐさま、その場を去っていった。
「あら、櫂人さん。まだバイオリンされていたのね」
誠一郎の母親の数子が櫂人へ話しかける。
「数子さん、ご無沙汰しております。“お陰様で”成長しても、声が“こんな風”なものなので、バイオリンのような物しか嗜めなくて。そのおかげで、腕だけは上がりました」
「フン…それにしても、男なのにも関わらず女のように、髪を長くして…みっともない!混血児の考える思考はやはり、理解できないわ!」
「その混血児の血に、貴女の愛する旦那の血も入っているんですよ。悔やむなら、貴女の愛する旦那の不貞を恨んで下さい」
「…フン。」
微笑みながら告げられた彼の言葉に、数子は苦虫を噛み潰したような顔つきで、櫂人を一度睨みつけた後、その場から素早く去っていった。
「フン…糞ババアがっ」
後姿の数子を鋭く睨みながら、櫂人は小声で発する。
「櫂人!」
「あぁ、姉さん!」
名前を呼ばれた方へ櫂人は、顔を向ける。
「お父様と数子様とお話していたのね。どんなお話をしていたの?」
先ほどの会話は、どうやら梓には聞こえていなかったらしい。無垢は顔で、梓は櫂人へ問う。
「いや…ただ“普通に挨拶をしていた”だけだよ」
目を瞑り彼は軽やかな口調で答えた。
「そうなの?なら、良いのだけれど…」
何か腑に落ちない気持ちを隠し、久々に再会した弟の櫂人と話せることに梓は喜んだ。
とある事情により、櫂人とは別々に暮らしている。
梓は先ほどの演奏の感想を伝えた。
「先ほどの演奏、とても素晴らしかったわ!不安な気持ちが消えるぐらい、櫂人の演奏は何度聴いても癒されるの」
梓は笑顔で彼へ見つめる。その顔を見た櫂人は、安堵の顔になり、気持ちが穏やかになった。
「喜んでもらえて良かったよ。まあ、今回は父さんに頼まれて演奏したけれど。僕の演奏を、姉さんも聴くと知っていたから、いつもより頑張れたのかも知れないな」
「そうなの?」
「演奏なんて、誰かのために聴かせたい、喜ばせたい気持ちが多いからね」
「私なんかで役に立つなら、私、櫂人をいつも応援するわ」
梓は微笑みながら返答する。
その姿に櫂人の顔が緩む。優しく息を吐く。
「姉さんのそういう所、嫌いじゃないよ」
櫂人は優し気な瞳で、梓を見つめる。
「そういえば、千代ちゃんは?今日のパーティーには参加してないの?」
櫂人は梓の耳元で、小声で告げる。
「あぁ、千代はその、月のものが来たらしくて、体調が整ってないから、今回のパーティーの参加を見送ったんだ」
「まぁ!じゃあ、今、千代ちゃん。大変な時期なのね。」
梓は不安そうな顔をする。
「まぁ、初めてじゃないしな…安静にしていれば大丈夫だろう」
二人は千代の事を思い出す。天真爛漫の彼女の性格を思い出し、櫂人は頭を抱え、梓は苦笑いをする。
「安静…ね」
「千代の性格じゃ、絶対にしてないな」
「すまない、姉さん。喉が渇いたから少し飲み物を飲んでくるよ」
そう告げると櫂人は、飲み物が配布されている場所へ歩んでいった。
一人残された梓は、クラシカルな演奏を耳で聴いていた。
演奏が変わり、男女がお互いにペアを組み始め、中央のホールで、社交ダンスをし始める。
音楽に合わせて男女が体を揺らし、規則性のある動きをしていた。
ダンスが始まると、その場にいる男性達は視線をあちらこちらに向け、踊りたい相手を探している。
華やかなダンスは見ている分には素敵だが、いざ自分が誘われると緊張で硬直してしまう。
梓はその経験もあってか、公の場でダンスをするのが苦手だ。見た目が浮世離れしているのもあるが、この場の雰囲気に馴染めずにいる為、気持ちで浮いてしまうからだ。
ダンスの誘いが来る前に、梓はそそくさとテラスの方へ逃げていく。
テラスに向かうと、夜風が梓の火照った頬を冷ましていく。
満月の淡い光が、梓とテラスを照らしていく。
「夜風が気持ちいい…」
明るい夜空を眺めながら梓は一人で、遠くから聴こえてくるクラシカルな演奏を堪能していた。
「お嬢さん、お一人ですか?もし良ければ、僕と一曲踊りませんか?」
見知らぬ青年が、梓に声を掛けてきた。彼は耳まで赤く染まっていて、体もおぼつかなく、目の焦点も定まっていない。おそらく大量にお酒を飲んだのであろう。
彼の体から、アルコールの臭いがする。
「申し訳ありません。ダンスは苦手ですので、他の方をお誘い下さい」
「大丈夫ですよ、僕が優しくリード致しますので」
彼は梓の断わりも、軽く受け流す。
「いえ、きっと何度も足を踏んでしまいますので、ご迷惑おかけします…。あの、本当に、ごめんなさい」
梓は戸惑いながら優しく断ると、青年の口調が一変する。
「僕の誘いがきけないのかよ!これだから、ご令嬢様は、どいつも、こいつも、お高くとまっていて!虫唾が走るんだよ!」
「あの…すみません。私本当に、ダンスが苦手で」
「断る台詞も常套句なんだな!ご令嬢か何か知らないが、所詮お前たちは、女なんだよ!女は黙って男の言うことを利いてればいいんだよ!」
「ーーーえっ!?」
男の拳が梓に降りかかろうとした瞬間、男の動きがピタリと止まる。
「ダンスの誘いを断られただけで、女性に暴力をあげるとか…男としても、人としても最低な野郎だな」
静かな怒りを込めながら、櫂人は力強く彼の腕を掴んだ。
「はぁ!?お前に関係ないだろう!てか、お前誰だよ!」
「この人の弟さ。」
「弟!?」
「俺の姉さんに、何か?」
鋭い眼差しで櫂人は男を睨み、掴んだ腕を強く握る
「いっ、痛ッ、悪かったよ!だから、離せ!!」
櫂人は腕を放すと、すかさず梓を庇うように前へ立つ。
「見た目と違って馬鹿力かよ!」
男は舌打ちし、掴まれた腕をさすりながら、早歩きでその場から去っていった。
「櫂人、ごめんなさい…私」
「姉さんは、悪くない。ただ、こういう場所は、酔っ払いが多いから、気を付けた方がいい」
「そうね…」
櫂人に言われ、顔を俯く。
「でも…姉さんが怪我せずに済んで、良かった」
「櫂人…ありがとうね」
梓の笑顔を見て、櫂人は安堵する。
夜風が優しく吹き、飴色の髪とライ麦色の髪が美しくなびく。
「梓!ここにいたのか!」
「誠一郎お兄様!」
「櫂人もいたのか!久しぶりだな、元気だったか?演奏、素晴らしかったぞ!」
誠一郎は二人の元へ駆け寄ると、櫂人に、にこやかに話しかける。
「兄さん、お久しぶりです。僕の演奏を褒めて頂きありがとうございます。恐縮です」
誠一郎の言葉に、櫂人は丁寧にお礼を告げる。
「そうだ、梓!父さんの挨拶回りが終わってな、帰る準備が出来たんだ。今、車を待たせている。」
「そうなんですね!櫂人、ごめんなさいね。お先に失礼するわね」
慌ただしく梓は櫂人に一礼して、兄と共に会場を後にする。
「あぁ、姉さん、兄さん、また」
別れを告げた時、櫂人の寂し気な印象が心に残った。
*****
「ただいま」
櫂人が自宅へ戻り、リビングルームへ向かうと、黒髪でおかっぱ姿の着物を着た、十二歳ぐらいの少女が近寄ってきた。
「遅いですわよ!お兄様!」
「千代…お前、やっぱり寝ていなかったのか」
千代と呼ばれた少女は、頬を膨らませながら櫂人に答える。
「だって、今回のパーティーには梓お姉様もいらしたんでしょ!?せっかく、今回のパーティーの為にドレスも買ったのに行けないし、梓お姉様にも会えないし、怒りが積もって寝ていられませんわ!」
千代の愚痴は止まらない。
「本当に、女性の身体って不便ですわ!月のものなんて、無くなればよいのに!」
千代が地団駄踏んだ瞬間に、身体がくらりと揺れ、倒れそうになる。
「ーーーっと、千代!無理するな!体調を崩してる時は、大人しくしてろって、何度も言っているだろ…」
倒れそうになった千代の身体を、櫂人はとっさに片腕で支える。
「むーーー。はあい」
不服そうに千代は答える。
「まぁ、お前の性格じゃあ黙って大人しくしているのも無理だろうから、これでも食って大人しくしてろ」
櫂人は、もう片方の手に持っていた包みを千代に渡す。
包みを開くと、そこには小さなケーキが三つ、紙箱の中に入っていた。
「これは…ケーキ!良いのですか?お兄様!」
「いらないなら、俺が食べる」
「いーやーでーすー!一度あげた物は、帰ってこないんですのよ!これは、もう、千代のケーキです!」
千代は満面の笑みで答える。
「お兄様ありがとうございます!」
自分に微笑む少女を見つめ、櫂人は少し微笑んで返す。
「でもケーキは、先ほどお兄様が行ったパーティーの感想と、私が退屈で先ほど読み終えたばかりの小説の感想を伝えながら食べることにします!」
「ーーーは?」
千代の予想外の回答に、あっけとられた声が漏れる。
「さぁ、お兄様!千代の感想が言い終わるまで、今宵は寝ずに聞いてもらいますわよ!」
パーティーでの疲労が残るまま、千代に腕を引かれて、櫂人はため息を吐きながらしぶしぶと歩き出した。
《一話 中編に続く》
鳥は、夢の中で自分の羽を抜かれる夢を見ていた。
「あぁ…この羽じゃあ、もうあの青空を自由に飛ぶ事はできないだろう」
鳥は悲しくなり泣いていました。だけど、飼い主は、鳥の嘆きを美しい鳴き声だと、耳を澄ませて、心穏やかに聴いていました。
***************
時は、大正時代
満月が光輝く夜、鹿鳴館でパーティーが開かれていた。
会場にいる人はみな、鮮やかなドレスや燕尾服を着ている。
その中で、一際目立つ少女が会場を歩いていた。
肌は白く透き通り、髪は飴色の長い髪、瞳は、まるで緑の宝石が埋め込まれているような、鮮やかで美しい色をしている。身に纏った赤いドレスは、さらに彼女の美しさを目立たせていた。
一人の男性が彼女を見つめ閃いたかのように、口走る。
「フランス人形……? いや、彼女の姿はまるで気品のあるアンティーク人形のように美しい」
男性の側にいた女性も納得しながら答える。
「きっと異国の血が流れているのね。彼女の美しさはどこか浮世離れしているわ」
彼女を眺めながら、男女は歩いて去っていく。
「アンティーク人形か……」
人形と呼ばれた少女は、溜息と共に、ぼそり小声で呟いた。
(確かに、私の体には異国の血、フランスの血が少し流れている。でもお父様も、母方のお爺様も日本人だ。日本で生まれ、日本で育っても、やはり見た目は、異国の人と間違われるぐらい日本人らしくない見た目をしている。外に出る度に、毎回容姿の事で悩まされる。)
(今日は、お父様の仕事の取引相手のパーティーに家族で呼ばれたので、断れなかった。
本当は、こんな大勢のいる場所だと、自分の容姿が目立つから嫌だけど、そんな事で断ったらお父様に失礼なので、我慢して参加している)
(何度かパーティーには参加しているけど、やはりこの場所の独特の空気は未だに慣れない)
溜息をこぼしていると、背後から声をかけられる
「暗い顔をしているな、梓」
深緑な色合いの黒髪の青年が彼女に声をかける。
「誠一郎お兄様!」
誠一郎と呼ばれた男は、梓と呼んだ自分の妹に近づく。
「せっかくのパーティーだからな。少しぐらい楽しんでもいいんだぞ」
「はい…。でも、やはり未だに馴染めません」
梓は苦笑いして答えた。
「まぁ、確かに…父さんの仕事相手が開催したパーティーだからな。無理にとは言わないが…。あまり、悩みすぎると、体に良くないぞ」
「それに…せっかく俺が用意したドレスを着ているのに、本人が暗い顔をしていたら、似合う物も似合わなくなる。俺は、梓に少しでもこのドレスを着ている時は笑っていてほしいんだが…難しそうか?」
苦しそうな表情の兄に、梓は慌てて返す。
「そんな!私はこのドレスをとても気に入っておりますわ。お兄様が、私に似合うと思って選んでくれたお気持ち、とても嬉しいです。本当に、ありがとうございますお兄様」
「そう思っていてくれて俺も嬉しいよ。梓」
二人はお互い笑みで返した。その中に、少し色合いの派手な着物を着た美しい女性が近づいてくる。
「あら、誠一郎様。こちらにいらしたのね。ずっとお探ししていましたの」
「貴女も来ていたのか…広子」
広子と呼ばれた女性は、誠一郎に近づくと、彼の片腕に、自分の腕を回して絡めていく。
「えぇ…私も家族で御呼ばれされたので。でも、こうして、婚約者の誠一郎様にお会いできるだなんて…やはり私達は、運命で結ばれているのかしらね?」
広子は笑顔で微笑んだが、誠一郎は鬱陶しげな顔で黙り込む。
「広子様、こんばんは。」
「あら、梓さんもいらしたのね。誠一郎様のお姿ばかり見ていて気付かなかったわ。ごめんなさいね」
「いえ、大丈夫です。気にしておりませんわ」
広子と呼ばれる女性は、梓とは正反対な見た目をしていた。
黒髪で黒い瞳、日本人特有の肌色、着物は派手な柄を身に纏っているが、その着物に負けないぐらいの妖艶な色気がどことなく溢れてくる。アンティーク人形と例えられる梓とは、まさに正反対だ。
「あら、梓さん。素敵なドレスをお持ちなのね」
広子の目線は梓の赤いドレスに向けられる。
「こちらは、先日お兄様が今夜のパーティーにと、選んで戴いた物なのです。」
微笑ましく語る梓に、広子は鋭い目線で、婚約者の誠一郎を見つめる
「あら~、そうなの…。私には、このようなお高い物は下さらないのに…。」
「君にもあげているじゃないか…」
「ふふ、まぁこれより遙か値が、お安いような物ばかりじゃないですか?」
「そうだったか?値段を見ずに買っているから分からないな」
「あら?では、私に似合う物を選んでくれたのですか?まぁ、広子、嬉しいですわ」
広子は誠一郎を見て微笑むが、彼は目線を逸らし、何も答えなかった。
「また、失踪事件ですって。今度は黒川さんのご令嬢が失踪したらしいわ」
「数日前にも、確か女学生が失踪したって新聞に載っていましたわ」
「二週間で二人も失踪して新聞に記事が記載されていたのに、警察はただの家出だとして動いていないらしいわ」
「まぁ、親御さんの事を考えると苦しくなるわね」
「無事に見つかれば良いけれど…」
年配の二人のご婦人達の会話が耳に入る。
「なんだか…物騒な話だな。梓、念のため気を付けるようにな」
「はい、お兄様」
「あら、私(わたくし)には、おっしゃってくれないの?誠一郎様」
「あぁ…君もな」
「まぁ、冷たい。妹の梓さんには、一段とお優しいんですのね」
広子の言葉に、より一層誠一郎は不愉快さを滲ませた顔に変わった。
そんな時に、会場の中央ステージに動きが見えた。
「お、そろそろ、櫂人の出番のようだな」
誠一郎は、梓に目線で合図を送った。
ステージの中央では、洋風のスーツを着た一人の青年がバイオリンを持ちながら準備に取り掛かる。
櫂人と呼ばれた青年も少し浮世離れした容姿をしていた。
肌は透き通るほど白く、ライ麦色をした髪を長く伸ばし、頭の後ろで髪を垂れさがるように、紐で一つにまとめている。
瞳は梓と同じように、まるで紫の宝石が埋め込まれているような美しい瞳をしていた。
櫂人はピアニストと、目線で合図し、バイオリンを弾いていく。
ピアノの優しい音色とバイオリンの高貴な響きが、会場にいた全ての人達の視線を釘づけてゆく。
ライトに照らされた彼の髪が、まるで夕日に照らされたライ麦畑を連想するかのように、金色に輝いてなびいていた。
梓は懸命に演奏している実弟でもある櫂人に瞳を奪われて、演奏に心躍ていた。
ピアノとバイオリンの演奏は、名残惜しく終わった。
(やっぱり、櫂人の演奏は何度聴いても素敵だわ。幼い頃に、私が弾くピアノと一緒に演奏した頃より、数段と腕が上がっている。ずっと聴いていたくなる。優しい音色)
梓は櫂人の演奏で先ほどの不安な気持ちは消え去り、会場の外へと足を向ける。
「梓…どこへ行くんだ?」
「すみませんお兄様、少し御不浄へ…。失礼しますわ」
梓は一言誠一郎に告げると、御不浄へ向かった。
ご不浄で用を済ませ、再び会場に戻ろうとした瞬間に曲がり角で、何かとぶつかった。
「きゃっ」
「す…すいません。お怪我はないですか?お嬢さん」
床に尻もちを着いた梓に、男が手を伸ばす。
「すみません。私の不注意ですのに…。」
「いえ、僕も前を見ていなかったので…」
差し出された手に梓は手を掴み、体を起き上がらせる。
梓は初めて、男の顔を見る。
彼は、眼鏡をかけた優しそうな印象の成人男性だった。
ただ、微かに匂う甘い香りと鼻がつんっとする香りが梓は気になった。
(この香り…どこかで嗅いだことあるような?どこだったかしら?)
「何か?」
男は不思議そうに尋ねる。
「いえ、こちらは大丈夫です。あの、お手を貸して頂きありがとうございます」
「いえ、こうして先に出会えたのも、何かの“縁”なのかも知れませんね」
「え?」
「また、お会いしましょう。お嬢さん」
眼鏡をかけた紳士は、その場から立ち去った。
梓はその紳士の後姿を不思議そうに眺めて、少しの間佇んでいた。
「そうだわ!会場へ戻らないと」
彼女は、再びクラシカルの音楽が響く会場へ足を進める。
すると、その先には、演奏を終えて戻ってきた彼女の弟の櫂人が見える。
どうやら、彼は、実の父親と誠一郎の母親の数子と話していた。
「櫂人、先ほどの演奏は、実に素晴らしかった。先方の方も、お前の演奏を絶賛していてね。また、機会があればよろしく頼むよ」
「はい。僕の演奏で良ければ、喜んで」
男とも女ともいえぬ、中性的な声で櫂人は答える
「ありがとうな、櫂人。すまない、まだ挨拶が終わっていなくて。これで失礼する」
彼の父親はすぐさま、その場を去っていった。
「あら、櫂人さん。まだバイオリンされていたのね」
誠一郎の母親の数子が櫂人へ話しかける。
「数子さん、ご無沙汰しております。“お陰様で”成長しても、声が“こんな風”なものなので、バイオリンのような物しか嗜めなくて。そのおかげで、腕だけは上がりました」
「フン…それにしても、男なのにも関わらず女のように、髪を長くして…みっともない!混血児の考える思考はやはり、理解できないわ!」
「その混血児の血に、貴女の愛する旦那の血も入っているんですよ。悔やむなら、貴女の愛する旦那の不貞を恨んで下さい」
「…フン。」
微笑みながら告げられた彼の言葉に、数子は苦虫を噛み潰したような顔つきで、櫂人を一度睨みつけた後、その場から素早く去っていった。
「フン…糞ババアがっ」
後姿の数子を鋭く睨みながら、櫂人は小声で発する。
「櫂人!」
「あぁ、姉さん!」
名前を呼ばれた方へ櫂人は、顔を向ける。
「お父様と数子様とお話していたのね。どんなお話をしていたの?」
先ほどの会話は、どうやら梓には聞こえていなかったらしい。無垢は顔で、梓は櫂人へ問う。
「いや…ただ“普通に挨拶をしていた”だけだよ」
目を瞑り彼は軽やかな口調で答えた。
「そうなの?なら、良いのだけれど…」
何か腑に落ちない気持ちを隠し、久々に再会した弟の櫂人と話せることに梓は喜んだ。
とある事情により、櫂人とは別々に暮らしている。
梓は先ほどの演奏の感想を伝えた。
「先ほどの演奏、とても素晴らしかったわ!不安な気持ちが消えるぐらい、櫂人の演奏は何度聴いても癒されるの」
梓は笑顔で彼へ見つめる。その顔を見た櫂人は、安堵の顔になり、気持ちが穏やかになった。
「喜んでもらえて良かったよ。まあ、今回は父さんに頼まれて演奏したけれど。僕の演奏を、姉さんも聴くと知っていたから、いつもより頑張れたのかも知れないな」
「そうなの?」
「演奏なんて、誰かのために聴かせたい、喜ばせたい気持ちが多いからね」
「私なんかで役に立つなら、私、櫂人をいつも応援するわ」
梓は微笑みながら返答する。
その姿に櫂人の顔が緩む。優しく息を吐く。
「姉さんのそういう所、嫌いじゃないよ」
櫂人は優し気な瞳で、梓を見つめる。
「そういえば、千代ちゃんは?今日のパーティーには参加してないの?」
櫂人は梓の耳元で、小声で告げる。
「あぁ、千代はその、月のものが来たらしくて、体調が整ってないから、今回のパーティーの参加を見送ったんだ」
「まぁ!じゃあ、今、千代ちゃん。大変な時期なのね。」
梓は不安そうな顔をする。
「まぁ、初めてじゃないしな…安静にしていれば大丈夫だろう」
二人は千代の事を思い出す。天真爛漫の彼女の性格を思い出し、櫂人は頭を抱え、梓は苦笑いをする。
「安静…ね」
「千代の性格じゃ、絶対にしてないな」
「すまない、姉さん。喉が渇いたから少し飲み物を飲んでくるよ」
そう告げると櫂人は、飲み物が配布されている場所へ歩んでいった。
一人残された梓は、クラシカルな演奏を耳で聴いていた。
演奏が変わり、男女がお互いにペアを組み始め、中央のホールで、社交ダンスをし始める。
音楽に合わせて男女が体を揺らし、規則性のある動きをしていた。
ダンスが始まると、その場にいる男性達は視線をあちらこちらに向け、踊りたい相手を探している。
華やかなダンスは見ている分には素敵だが、いざ自分が誘われると緊張で硬直してしまう。
梓はその経験もあってか、公の場でダンスをするのが苦手だ。見た目が浮世離れしているのもあるが、この場の雰囲気に馴染めずにいる為、気持ちで浮いてしまうからだ。
ダンスの誘いが来る前に、梓はそそくさとテラスの方へ逃げていく。
テラスに向かうと、夜風が梓の火照った頬を冷ましていく。
満月の淡い光が、梓とテラスを照らしていく。
「夜風が気持ちいい…」
明るい夜空を眺めながら梓は一人で、遠くから聴こえてくるクラシカルな演奏を堪能していた。
「お嬢さん、お一人ですか?もし良ければ、僕と一曲踊りませんか?」
見知らぬ青年が、梓に声を掛けてきた。彼は耳まで赤く染まっていて、体もおぼつかなく、目の焦点も定まっていない。おそらく大量にお酒を飲んだのであろう。
彼の体から、アルコールの臭いがする。
「申し訳ありません。ダンスは苦手ですので、他の方をお誘い下さい」
「大丈夫ですよ、僕が優しくリード致しますので」
彼は梓の断わりも、軽く受け流す。
「いえ、きっと何度も足を踏んでしまいますので、ご迷惑おかけします…。あの、本当に、ごめんなさい」
梓は戸惑いながら優しく断ると、青年の口調が一変する。
「僕の誘いがきけないのかよ!これだから、ご令嬢様は、どいつも、こいつも、お高くとまっていて!虫唾が走るんだよ!」
「あの…すみません。私本当に、ダンスが苦手で」
「断る台詞も常套句なんだな!ご令嬢か何か知らないが、所詮お前たちは、女なんだよ!女は黙って男の言うことを利いてればいいんだよ!」
「ーーーえっ!?」
男の拳が梓に降りかかろうとした瞬間、男の動きがピタリと止まる。
「ダンスの誘いを断られただけで、女性に暴力をあげるとか…男としても、人としても最低な野郎だな」
静かな怒りを込めながら、櫂人は力強く彼の腕を掴んだ。
「はぁ!?お前に関係ないだろう!てか、お前誰だよ!」
「この人の弟さ。」
「弟!?」
「俺の姉さんに、何か?」
鋭い眼差しで櫂人は男を睨み、掴んだ腕を強く握る
「いっ、痛ッ、悪かったよ!だから、離せ!!」
櫂人は腕を放すと、すかさず梓を庇うように前へ立つ。
「見た目と違って馬鹿力かよ!」
男は舌打ちし、掴まれた腕をさすりながら、早歩きでその場から去っていった。
「櫂人、ごめんなさい…私」
「姉さんは、悪くない。ただ、こういう場所は、酔っ払いが多いから、気を付けた方がいい」
「そうね…」
櫂人に言われ、顔を俯く。
「でも…姉さんが怪我せずに済んで、良かった」
「櫂人…ありがとうね」
梓の笑顔を見て、櫂人は安堵する。
夜風が優しく吹き、飴色の髪とライ麦色の髪が美しくなびく。
「梓!ここにいたのか!」
「誠一郎お兄様!」
「櫂人もいたのか!久しぶりだな、元気だったか?演奏、素晴らしかったぞ!」
誠一郎は二人の元へ駆け寄ると、櫂人に、にこやかに話しかける。
「兄さん、お久しぶりです。僕の演奏を褒めて頂きありがとうございます。恐縮です」
誠一郎の言葉に、櫂人は丁寧にお礼を告げる。
「そうだ、梓!父さんの挨拶回りが終わってな、帰る準備が出来たんだ。今、車を待たせている。」
「そうなんですね!櫂人、ごめんなさいね。お先に失礼するわね」
慌ただしく梓は櫂人に一礼して、兄と共に会場を後にする。
「あぁ、姉さん、兄さん、また」
別れを告げた時、櫂人の寂し気な印象が心に残った。
*****
「ただいま」
櫂人が自宅へ戻り、リビングルームへ向かうと、黒髪でおかっぱ姿の着物を着た、十二歳ぐらいの少女が近寄ってきた。
「遅いですわよ!お兄様!」
「千代…お前、やっぱり寝ていなかったのか」
千代と呼ばれた少女は、頬を膨らませながら櫂人に答える。
「だって、今回のパーティーには梓お姉様もいらしたんでしょ!?せっかく、今回のパーティーの為にドレスも買ったのに行けないし、梓お姉様にも会えないし、怒りが積もって寝ていられませんわ!」
千代の愚痴は止まらない。
「本当に、女性の身体って不便ですわ!月のものなんて、無くなればよいのに!」
千代が地団駄踏んだ瞬間に、身体がくらりと揺れ、倒れそうになる。
「ーーーっと、千代!無理するな!体調を崩してる時は、大人しくしてろって、何度も言っているだろ…」
倒れそうになった千代の身体を、櫂人はとっさに片腕で支える。
「むーーー。はあい」
不服そうに千代は答える。
「まぁ、お前の性格じゃあ黙って大人しくしているのも無理だろうから、これでも食って大人しくしてろ」
櫂人は、もう片方の手に持っていた包みを千代に渡す。
包みを開くと、そこには小さなケーキが三つ、紙箱の中に入っていた。
「これは…ケーキ!良いのですか?お兄様!」
「いらないなら、俺が食べる」
「いーやーでーすー!一度あげた物は、帰ってこないんですのよ!これは、もう、千代のケーキです!」
千代は満面の笑みで答える。
「お兄様ありがとうございます!」
自分に微笑む少女を見つめ、櫂人は少し微笑んで返す。
「でもケーキは、先ほどお兄様が行ったパーティーの感想と、私が退屈で先ほど読み終えたばかりの小説の感想を伝えながら食べることにします!」
「ーーーは?」
千代の予想外の回答に、あっけとられた声が漏れる。
「さぁ、お兄様!千代の感想が言い終わるまで、今宵は寝ずに聞いてもらいますわよ!」
パーティーでの疲労が残るまま、千代に腕を引かれて、櫂人はため息を吐きながらしぶしぶと歩き出した。
《一話 中編に続く》
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