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7 前途多難
しおりを挟む「ですがアレクセイ様、契約結婚って実際のところ……どうすれば宜しいのです? 契約書でも書くのでしょうか……」
お貴族様の契約うんたらかんたらって、ややこし過ぎて平民の私にはよくわかりません。
「契約内容を書面に残すのが一番確かなのだが、他人に見られる可能性があるからそれは出来ない。だから私を信用して貰う他はないな? ただしその契約が駄目になった場合困るのは君の方だから、先にある程度の財産を分与しといてやろう」
そして。
『財産は金貨と土地のどちらがいい?』
と、さもあたりまえにブランシェに聞いてくるアレクセイに迷いは一切なくて。
「え、そ……そこまでして頂かなくても大丈夫です! アレクセイ様は嘘を付くような方ではないと、存じておりますので……」
王族から金品貰うとか、なにそれ怖い。
オジサン避けになってくれるだけで十分です。
まあ王族をオジサン避けにするのも、どうなんだと思わないではないのですけど。
「それは私を信用し過ぎではないか? 人をもっと疑った方がいいぞ、ブランシェ」
こいつ大丈夫か?
アレクセイはブランシェがとても心配になった。
だが魔塔にブランシェがやってきて約五年、仕事は問題なく出来るし馬鹿ではなかった筈で。
「いえ、アレクセイ様は……嘘をつくのが面倒だからと、それを真実にするような方なので大丈夫です」
この人、嘘つくのも面倒とか言うもん。
仕事以外に興味示さない仕事中毒だもん。
それは五年間、アレクセイ様の直属の部下をやっていたブランシェが知った事実。
「ふむ……? 私の事がそこまでわかっているとは、いい契約相手だなブランシェは」
「いや、そこは出来れば……いい結婚相手だとおっしゃって頂けませんか? これでも結婚に夢や希望の一つくらいは一応あるのですよ」
「……そうか、では君はいい妻になりそうだなブランシェ? 女性として愛するつもりは全くないし、愛を求められても仕事が忙しいので困るが……夫としての最低限の義務くらいは果たそう」
なかなかに酷い事を言われたような気がしますけど、夫としての最低限の義務は果たしてくれるつもりらしいです。
きっと私が住む場所の一つくらいは、ご用意してくれるおつもりなのでしょう。
ですがもういっそのこと、魔塔の一室でも貸して頂けるだけで私は問題ないのですけど。
あまりお手数はお掛け致したくありません。
「あーはい。そうですか? では、あまり期待せずお待ちしております」
前途多難。
きっと結婚してはイケナイ男性と私は、結婚しようとしているのでしょう。
でもオジサンと結婚させられて、後妻で継母になる人生よりはよっぽどマシだと思うのです。
ほらアレクセイ様、顔だけはいいですし?
中身は仕事(魔法)馬鹿で、残念な方なんですけど。
悪い人ではありません、仕事中毒ですけど。
たぶん、大丈夫なはずです。
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