【完結】契約結婚。醜いと婚約破棄された私と仕事中毒上司の幸せな結婚生活。

千紫万紅

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32 飛んで火に入るなんとやら

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 性懲りもなく、またブランシェに対する無礼な振る舞いをした貴族達を。

 大広間から追い出したアレクセイ。

 そんなアレクセイの様子にブランシェは。

「そんな目くじらを立てられなくても……あのくらいでしたら私は別に平気ですよ? ほっときません?」

「ブランシェ……あれは『あのくらい』で済むものではない、君は侮辱されたんだぞ?」

 『侮辱』とアレクセイ様に言われましても。

 あの程度、私にしてみれば『侮辱』にはならない。

 アレクセイ様が私を大事に想ってくれて、怒ってくれるのは大変嬉しいのですが。

「でも私が平民出身なのは紛れもない事実ですし、お貴族様達が私という存在を疎まれるのも仕方ないと思いますよ?」

「またそんな事を言って……」 

 アレクセイはブランシェが、平民出身だと不当に扱われるのが我慢ならない。

 魔塔の主である自分をも凌ぐような魔法の才を、ブランシェは持っている。

 だから正当な評価をブランシェは受けるべきだし、受けなければならない。

 それは後に続く平民の魔法使い達の為にも。

 それに好いた相手を侮辱されて、気持ちの良い人間などこの世にはいないのだ。

「それに私は……自分が平民だった事を恥だとは思っていませんよ?」

「あ、いや……すまない。そういうつもりで言ったのではなく……」

「ふふっ、わかってますよ? ただ私はアレクセイ様との初めての夜会を楽しみたいだけです。お貴族様達とばかり遊んでいらっしゃらないで、私とも遊んでくださいな?」

「っ……ああ、そうだな」

 貴族として他の貴族に侮られたりしたら駄目だと言うことは、私も一応理解はしております。

 それに私も無視され居ない者として扱われるのは、気分がいいものではない。

 ですが今日は。

 アレクセイ様との初めての夜会なわけで、なるべくなら楽しい思い出だけ残したい。

「お貴族様の夜会! なんて贅沢で煌びやか……目が眩みそうなほどキラッキラですね!?」

「君は本当にキラキラしたものが好きだね?」

「はい、大好きです! だって綺麗じゃないですか」

「一番綺麗なのは君自身だけどね、ブランシェ?」

「……っ、あはは」

 アレクセイ様は結婚してから、隙あらば糖度たっぷりの胃もたれしそうなセリフを平気で口に出されまして。

 私はどう反応したらいいのか未だにわかりません、でもアレクセイ様が一番綺麗だと思います。

 アレクセイ様が大輪の白薔薇だとするなら、私は添え物のかすみ草辺りでしょうか?

「……じゃあ夜会を楽しむとしようか?」

「はい!」
 
 今まで経験したことの無い煌びやかな世界。

 煌びやかな見た目と違って、綺麗なだけじゃないという事も理解してる。

 けど今日くらいは誰にも邪魔されず、アレクセイ様の隣で笑っていたい。

 ……なのに。

 王族やお貴族様への挨拶周りで、夜会を楽しんでいる暇なんてなく時間だけが過ぎていく。

「これはこれはアレクセイ王弟殿下と、あぁご夫人! 此度はご結婚おめでとうございます」

「オクレール伯爵……」

 にこやかに飄々と貴族達に挨拶をするアレクセイとブランシェの元に、オクレール伯爵はやってきて。

 祝いの言葉を述べる。

 先ほど夜会を退場させられた貴族達とは違い、ブランシェに対して表面上敵意は見られない。

「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ない、うちの娘もついこの間結婚したばかりで……どうも忙しくて」

「……そうか、気にするな」

「それにしましても、ご夫人は殿下に愛されてますなぁ! 侯爵位を陞爵とは……」

「え……?」

「オクレール伯爵、妻は自身の実力で侯爵位を賜ったのだ。私は陞爵に関与してない」

「おやおや、そうですか……? いやはや、これはご夫人大変申し訳ない! てっきり可愛い幼妻の為に殿下が頑張られたのかと思っておりました」

「あ、いえ……大丈夫です」

 オクレール伯爵は貴族らしく、ブランシェを侮辱するようなあからさまな言葉は決して吐かない。

 けれどその言葉は全て含みのあるもので、アレクセイを苛つかせる。

 だがこの程度では伯爵を夜会から追い出せない。

 さてどうしてくれようか?

 と、アレクセイが思案していると。

「あ、お父様こんなところにいらっしゃったのね、探しましたのよ! それにアレクセイ様ではございませんか! またお会い出来るなんて……ダフネはとっても嬉しいです!」

 オクレール伯爵の娘ダフネがエクトルを引き連れて、アレクセイとブランシェの前に顔を出した。
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