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9 孤児院
しおりを挟む「君は何度かこの孤児院に来たことがあるみたいだね」
「はい、何度かお世話になっております」
「君の配属する場所を先程の治療院かこの孤児院にするか迷っていてね……君はどちらがいいか希望はあるかな?」
どこで働きたいのか神殿長に聞かれた元社会人のプロの社畜は、スカーレットは少し悩みこう答えた。
「私は神殿長の裁量に判断を委ねたいと思っておりますが、なるべく人手の足りない困窮した場所に配属して頂ければと、思っております。」
「人手が足りないか。一応どちらも人手は足りているが。人手が足りないとなると、平民出の神官が働く過酷な場所になるが……どうする?」
「っ……! 是非! 是非ともその場所に配属して頂けませんか? 私のようなものでも……お役に立てる場所で頑張りたいのです……!」
神に祈るように熱く神殿長に懇願する。
スカーレットにとって、プロにとっては困難な所に燃えたぎる何かがあるらしい……。
それを聞いた神殿長はすこし悩み……。
「わかった、君がそこまでいうならば、君に礼拝の補助業務をお願いしよう。掃除や洗濯、礼拝が行われる時の平民の案内もあるが……無理ならば直ぐに言いなさい」
「はい! ありがとうございます。必ずやご期待に添える用精進致します!!」
こうして社内オリエンテーション
……神殿の見学は終わった。
それにしても社畜の行動力は凄まじく、見学が終わり次第神殿長に許可をもらい礼拝堂に向かう。
なぜここまでの行動力と社畜力をもってしても、悪役令嬢を回避できなかったのかはわからない。
これから始まる勤労に思いを馳せながら、礼拝堂に一人、歩を進める。
礼拝堂はスカーレットも何度か来たことがありとても美しい純白の空間だ。
床も壁も天井まで白く輝く。
そこで床に這いつくばり床を丁寧に雑巾で、磨きあげていた神官に話しかける。
「すいません、本日よりこちらの礼拝堂に配属されましたスカーレットと、申します。」
「ん? 新しい人?! まじで! みんなー! 新しい子きたー!!」
「うそ! まじ? やったー!」
「助かるー! 猫の手も借りたい位だったの!! 神はいた!」
熱烈歓迎を受ける社畜はその状況にこれは
……確実に人手不足!!
みなぎるやりがい! 承認欲求! しかも、床に這いつくばり雑巾掛けなんてなんて非効率的!!!
これは肉体労働もあり……なかなかの現場! これを効率化して仕事を減らしたと見せかけて、他の仕事まで押し付けられるフラグにするか、現状のまま非効率に働くか……悩み所だなと
訓練済みのプロの社畜の……変態は楽しそうにこれから行われる勤労に、胸が踊っていた。
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