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41 再捜査
しおりを挟む勘違いを暴走させた公爵家子息で宰相の息子ライリーは、再度スカーレットに着せられた罪状について調べ始める。
スカーレットを断罪したときは、スカーレットがやったことだと思い込んで、色眼鏡でスカーレットが犯人という前提で、調べたスカーレットが犯人となる証拠の数々は。
再度調べればほぼ状況証拠と、それを見たというあやふやな証言。
決定的に確実に、スカーレットが犯人だという証拠が全く見つからない事実に、自分達が犯してしまった間違った判断に恐怖した。
人ひとりの、罪もない少女の幸福な未来を、人生を適当な捜査で潰し、逃げ出す事の許されない、終わりのない過酷な生活に、追いやった。
ああやはりスカーレットは……冤罪だった。
ただ冤罪だという証拠はない、ただ彼女が絶対にやったという証拠が今はなくなっただけに過ぎない。
だから唯一彼女に命令されてやったという令嬢達に話を聞く事にする。
本当にスカーレットが彼女達に指示を行い、フローレンスを階段から落とすように指示したのか。
そして不可解な事実に突き当たった、それはフローレンスを階段から落としておいて、たった1ヶ月の自宅謹慎で彼女達が済んだということ。
スカーレットが貴族の位を剥奪されて神殿送りになったのに、実行犯はたったそれだけ。
いくら命令されてやったとしても、いくらなんでも、処罰が軽すぎた。
だから私達が卒業した学園にあの断罪から久しぶりに、やってきた。
実行犯であるその令嬢達は一つ下の学年だった。
友人のいないスカーレットが下級生に命令してやらせたと思っていたが、神殿でのスカーレットの様子を見ると、あまり人に指示したりせずに自分でなんでもやりそうな性格に思えた。
幼い頃から王太子の側近だったので、産まれてすぐに婚約者になったスカーレットの事は知っていた。
いつもひとりで、人の目を気にして隠れている女の子で、王太子の婚約者で侯爵令嬢なんだからもっと胸を張ればいいのにと、思った記憶がある。
学園に入学しても誰とも仲良くなろうとせずに、勉強ばかりしていて、変わってるなと思っていた。
それにサミュエルが、なんであんな陰気なのと結婚しなきゃいけないのかってよく嘆いていた。
2年になってフローレンスが入学してきて、全てが変わった。
明るく誰とでも打ち解ける侯爵令嬢フローレンス。
スカーレットの妹だと、思えないほどに天真爛漫で、サミュエルは直ぐにフローレンスに夢中になった。
私も可愛らしい令嬢だと思っていたがサミュエルと、すぐに恋仲になり応援したくなった……それが大きな間違いだったなんて気づかずに。
サミュエルとフローレンスが恋仲になってしばらくしてからフローレンスへの嫌がらせが始まった。
最初は大して気にしていなかったフローレンスも度重なる嫌がらせに段々と落ち込むようになり、フローレンスが階段から落とされた。幸い大した怪我もなかったが、その事にサミュエルが激怒して、犯人探しが始まった。
そしてその犯人はとても簡単に見つかってしまう。まるで誰かに仕組まれたかのように、証拠が証言が次々と出てきた。
フローレンスの義理の姉スカーレットがやったという証拠が。
そして、調べるうちに暗殺ギルドにスカーレットがフローレンスの暗殺依頼を出したという重大な犯罪の証拠が見つかり、その暗殺ギルドには摘発まであと一歩手前で逃げられたが……。
だから卒業パーティーの日に、断罪が行われた。
件の令嬢達をひとりづつ呼び出して質問すると、最初はスカーレットがやったと言っていたのに段々と、あやふやになり…。
「本当は……私達にやれって言ったのは……!」
と語りだした。
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