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64 誰のせいだと

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 仕えるべき王太子が婚約問題で窮地に立たされているのに、それを我関せず放置し女の尻ばかり追い掛けまわし、迷惑だと、来ないで下さいと拒絶されているにも関わらず、不屈の精神で粘り強く、執着し会いに行く…王太子の側近二人。

 一人は公爵家の嫡男で宰相の子息、将来は父の跡を継ぎ宰相かと噂されていた優秀だったはずの男。

 もう一人は希少な魔法使いで爵位は低いが、王太子の側近に取り立てられた特別な存在だったはずの男。

 そして社畜にとってはどちらも迷惑な存在。

 この二人は王太子サミュエルの側近で、今サミュエルの元に馳せ参じて支えてやらねばならぬのにも関わらず、サミュエルの元婚約者スカーレットを追い掛けまわしていた。

 本人達はスカーレットの為に濡れ衣を晴らし、神殿から出すという志のもとに動いているが、スカーレットからしてみたら、今さら濡れ衣などどうでもいい。

 そんな事の為に付きまとわれ、それによって神殿での立場が悪くなる方が問題だった。

 なのに…この馬鹿二人は迷惑だとわざわざ言っているのに、それに気づかずにスカーレットに付きまとう。

 嫌だと言っても愛を囁きにくるし、頼んでもいないプレゼントを持ってきて迷惑だし、隙あらばスカーレットに迫ってきた。

 それのせいで神官達の中で根も葉もない噂が囁かれるしスカーレットにとってこの二人は婚約破棄してきた王太子より大嫌いだった。

 だが突然その一人が急にぱったりとスカーレットの元に来なくなった。

 来なくなったのは公爵家嫡男のライリーで、毎日きていたやつが急に来なくなると、嫌なヤツでも多少は気になって、また勝手にやって来た迷惑なもう一人に、ライリーはどうしたのか聞いてみたら。

 「あいつ王太子の側近なのに王太子ほったらかしてたから宰相閣下に雷落とされて謹慎中、俺もサミュエルの側近だけど名ばかりの側近だし?」

 「サミュエル様になにかあったのですか?」

 「へぇ?サミュエルの事の気になるんだ?俺の事だけ気にして欲しいんだけど?」

 「…したくないです。」

 「なぁ、スカーレット。いい加減俺のモノになれよ?助けてやるから。こんな辛気臭い、監獄のような所でお前は一生暮らすのか?」

 「貴方達が私をここに入れた癖に。もう来ないで下さい。」

 「助けて欲しい癖に。知ってるぞ?お前が神官達に何て言われてるか。ふしだらな女だってな?はは、可哀想なスカーレット、ここでもお前の居場所なんてない。だから俺が居場所になってやるから、早く俺のモノになれ。」
 
 「っ…少しは変わられたと思っておりましたがかわりませんね、貴方は。…お引き取りを。」

 「…また来る。」



 そこに一人残されたスカーレットは苦しそうな表情で一人残され

 「だれのせいだと…思っているのでしょうね。」
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