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24 真実
『好きな子』
アンジェリークはその言葉の意味を理解出来なくて、首を傾げカシウスを見上げた。
そんなアンジェリークの様子に。
あの夜カシウスは自分の想いをアンジェリークにたくさん伝えたけれど、それは閨での事で。
信じて貰えてなかったのかな?
それに再会してからまだ伝えてなかった。
そう、考えに至ったカシウスは。
不思議そうな顔をして呆けたアンジェリークの隣に、ゆっくりと腰を掛けて。
「……君のことが好きだよ、アンジェリーク」
その呆けた顔を覗き込むようにして、カシウスは自分のありのままの気持ちを伝えた。
だけど、告げられたアンジェリーク本人は。
……はて?
私が好きとは……それ、どゆこと!?
ちょっとカシウス様がおっしゃられている意味が、私にはいまいちよくわかりません。
「カシウス様……? あの……」
「あの朝起きたら君が私の腕の中からいなくなっていてすごく悲しかった。けれど、その程度の事で怒ったり、ましてや処刑なんてするわけがない」
「お酒に酔っていたとはいえ、あの夜カシウス様に私がしてしまった不敬な行いを……怒っていらっしゃるんじゃないかと思っておりました」
私がカシウス様を泥酔させて手篭めにしてしまった件については、全く怒っていないご様子で。
流石は皇太子殿下でございます!
なんてお心が広いのでしょう……!
「あの夜の君を怒ったりするはずがないだろう? 逆に怒られるべきなのは、謝らねばならんのは……この私の方だ」
「え、どうしてカシウス様が私に謝られるのです?」
「酒に酔って判断能力が低下していた君が『イヤ』だと言わないからと言って私は、自分の都合の良いようにそれを判断し君を犯した……凌辱してしまったんだ」
「えっ……カシウス様が、私を……?」
え、あれ……?
私がカシウス様を手篭めにしたんじゃない!?
これ、もしかしなくても私がされた側?
「君は『やめて』と言っていたのに……本当に酷いことをしたと思っている、すまないアンジェリーク」
カシウス様はこの皇国の皇太子殿下なのに。
ただの伯爵令嬢でしかない私に、とても申し訳なさそうに頭を下げられて謝罪された。
「え……あー、あの夜そんな事があったのですね?」
「『そんな事があったんですね』って……えっ? アンジェリーク?」
まるで他人事それを初めて知ったかのようなアンジェリークに、カシウスは違和感を覚えた。
「あの……ごめんなさいカシウス様! 私泥酔しててあの夜の事、全く……これっぽっちも覚えていません!」
「え……? 覚えて……ない!? 全部?」
「はい、全部です! あの夜、お城のお庭で話し掛けてきた人をお酒に誘ったまでしか記憶にありません!」
「え……その後の事は……?」
「そこからは記憶が全部飛んでおりまして……その、気が付いたらですね? カシウス様の隣で寝ておりました、すっぽんぽんで私、とっても驚きました……」
「うわっ……まじか」
カシウスはひきつった顔で唖然とする。
まさかアンジェリークが、あの夜の事を全く覚えていないなんてカシウスは思ってもみなかったから。
「なので、その……カシウス様? 無理して私のこと好きとかおっしゃられなくても大丈夫ですよ! いっその事、何も無かった事にして頂いても構いません!」
「え……」
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