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4 アットホームな職場、チームワークを大切にしています
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入室の許可をいただき。
案内してくれた神官さんの後に続いて神殿長室へと足を踏み入れた。
面接なんて何年ぶりだろう。
久しぶり過ぎて動悸がしてきたが……大丈夫。
圧迫面接には就職活動でもう慣れているし、上司からの意味のない叱責の方が何倍も精神を削られる。
「君が、スカーレット……か」
頭のてっぺんから足元まで、じっくり観察されました。
はい、そうです。
私がスカーレットです。中身は社畜ですが。
「はい。よろしくお願いいたします」
許可が出るまで、じっと目は伏せたまま。
敵意はございません。
攻撃の意図はありません。
……と、動物的本能で訴えかけます。
「……そう。ああ、顔をあげて大丈夫、今日から君も女神シャダン様に仕える私たちの家族だからね」
家族といえば家族経営。
アットホームな職場、チームワークを大切にしています。
つまり、ブラック確定。
これは間違いなく黒い!
真っ黒です!
社畜センサーが盛大に反応し、私の心の中の社畜はガッツポーズをした。
そしてこれだ、この感じ。
これこそ私の生きる環境だと、私の中の社畜がここはヤベェと歓喜する。
新天地への期待で胸がドキドキしている。
大丈夫、たぶんこれは過労の動悸じゃないはずだ。
だって私はこの日のために寝溜めして、食いだめして、心身を整えてきたのだから!
今日からの修行という名の労働を一日でも長く生き抜くために!
――神殿長の言葉に従い、伏せていた顔を上げる。
それでも決して相手の目を見てはならない。
現実ならネクタイの結び目を見るのが礼儀だけど神殿長はスーツじゃない。
なので首より少し下あたりを見つめる。
うん、完璧なビジネスマナー。
……それでもわかってしまう、
この人、顔が良すぎる。
まるで神が創り出したような整った顔立ち。
純白の神官服に包まれたその姿は、もはや神そのもの。
ああなんと素晴らしい営業担当。
いや、広告塔なのだろう。
この人がポスターに載っていたら、信者五割増しは確定。
お布施もわんさかいただけるだろう。
さすが乙女ゲームの世界!
営業にもビジュアルが求められる時代だ。
薄い水色の髪もこの世界ならでは。
そして品のある微笑み。
金髪縦ロールの私とは、格が違う。
いや、格どころかジャンルが違う。
美しさの暴力だ。
さすが乙女ゲームの世界だ!
――営業は第一印象が命。
見た瞬間に信頼を勝ち取るその容姿、この人プロだ……!
尊敬と畏怖の入り混じった気持ちで見つめていると、神殿長が静かに言った。
「うん、君の話しは聞いてるよ、君は一生、ここで暮らすことになるのだけれど……それは理解しているのかな?」
「はい、理解しております」
「……そうか。では、まず神官服に着替えてもらいたい。それから君の部屋へ案内するよ」
「はい、よろしくお願いいたします」
「では、私に着いてきて。神殿の中も少し案内しよう。君の話も聞いてみたいからね」
「かしこまりました、よろしくお願いいたします」
――まずは制服支給。
つまり神官服への着替え。
会社で言えば、社章付きスーツの貸与で社員としての意識付け。
これで正式に社員……いや、神官の一員ということか。
そして社員寮。
個室か相部屋か、それはかなり死活問題。
できれば一人部屋がいいところだけど、我が儘は言えないし。
さらに事情聴取?
いやこれは追加面接か?
そして、お待ちかねのオリエンテーション!
次々とスケジュールが立ち上がっていく。
もうやることがいっぱいだ!
期待に胸を膨らませながら、私は思う。
――今日から始まる社畜(神官)生活。
どんな地獄が待っているのか、ワクワクしている自分がいるのが一番恐ろしいと。
入室の許可をいただき。
案内してくれた神官さんの後に続いて神殿長室へと足を踏み入れた。
面接なんて何年ぶりだろう。
久しぶり過ぎて動悸がしてきたが……大丈夫。
圧迫面接には就職活動でもう慣れているし、上司からの意味のない叱責の方が何倍も精神を削られる。
「君が、スカーレット……か」
頭のてっぺんから足元まで、じっくり観察されました。
はい、そうです。
私がスカーレットです。中身は社畜ですが。
「はい。よろしくお願いいたします」
許可が出るまで、じっと目は伏せたまま。
敵意はございません。
攻撃の意図はありません。
……と、動物的本能で訴えかけます。
「……そう。ああ、顔をあげて大丈夫、今日から君も女神シャダン様に仕える私たちの家族だからね」
家族といえば家族経営。
アットホームな職場、チームワークを大切にしています。
つまり、ブラック確定。
これは間違いなく黒い!
真っ黒です!
社畜センサーが盛大に反応し、私の心の中の社畜はガッツポーズをした。
そしてこれだ、この感じ。
これこそ私の生きる環境だと、私の中の社畜がここはヤベェと歓喜する。
新天地への期待で胸がドキドキしている。
大丈夫、たぶんこれは過労の動悸じゃないはずだ。
だって私はこの日のために寝溜めして、食いだめして、心身を整えてきたのだから!
今日からの修行という名の労働を一日でも長く生き抜くために!
――神殿長の言葉に従い、伏せていた顔を上げる。
それでも決して相手の目を見てはならない。
現実ならネクタイの結び目を見るのが礼儀だけど神殿長はスーツじゃない。
なので首より少し下あたりを見つめる。
うん、完璧なビジネスマナー。
……それでもわかってしまう、
この人、顔が良すぎる。
まるで神が創り出したような整った顔立ち。
純白の神官服に包まれたその姿は、もはや神そのもの。
ああなんと素晴らしい営業担当。
いや、広告塔なのだろう。
この人がポスターに載っていたら、信者五割増しは確定。
お布施もわんさかいただけるだろう。
さすが乙女ゲームの世界!
営業にもビジュアルが求められる時代だ。
薄い水色の髪もこの世界ならでは。
そして品のある微笑み。
金髪縦ロールの私とは、格が違う。
いや、格どころかジャンルが違う。
美しさの暴力だ。
さすが乙女ゲームの世界だ!
――営業は第一印象が命。
見た瞬間に信頼を勝ち取るその容姿、この人プロだ……!
尊敬と畏怖の入り混じった気持ちで見つめていると、神殿長が静かに言った。
「うん、君の話しは聞いてるよ、君は一生、ここで暮らすことになるのだけれど……それは理解しているのかな?」
「はい、理解しております」
「……そうか。では、まず神官服に着替えてもらいたい。それから君の部屋へ案内するよ」
「はい、よろしくお願いいたします」
「では、私に着いてきて。神殿の中も少し案内しよう。君の話も聞いてみたいからね」
「かしこまりました、よろしくお願いいたします」
――まずは制服支給。
つまり神官服への着替え。
会社で言えば、社章付きスーツの貸与で社員としての意識付け。
これで正式に社員……いや、神官の一員ということか。
そして社員寮。
個室か相部屋か、それはかなり死活問題。
できれば一人部屋がいいところだけど、我が儘は言えないし。
さらに事情聴取?
いやこれは追加面接か?
そして、お待ちかねのオリエンテーション!
次々とスケジュールが立ち上がっていく。
もうやることがいっぱいだ!
期待に胸を膨らませながら、私は思う。
――今日から始まる社畜(神官)生活。
どんな地獄が待っているのか、ワクワクしている自分がいるのが一番恐ろしいと。
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