タチバナ

箕面四季

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ライラック

女子の恋心

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 それからサバ子ちゃんを交えてコウタ君と話すようになった。
 徐々に距離が近づくサバ子ちゃんとコウタ君を見ているうちに、カナエの胸の奥のちりっとした痛みがどんどん膨らんでいく。
 やがて気が付いた。

「私はコウタ君のことが好きなんだって」

 コウタ君は学校一のイケメン。
 凡庸な自分は一クラスメイトになれたことで満足するべきだ、と、ずっと思っていたのに。

「私が、コウタ君に面と向かってカッコイイねって言えたのも、自分は絶対に恋愛対象になり得ないと諦めていたからなのよね。アイドルのファンみたいな気持ちだった」

 それなのに、サバ子ちゃんに協力していたら、コウタ君を好きという気持ちが膨らんでいってしまった。

「わかります!」と、思わず叫んでいた。

「友達が好きって言った途端、その人を意識しちゃうみたいなのありますよね。性格悪って自己嫌悪するんですけど、どうにもならなくて」

 私が橘を意識するようになったは、小六の頃だった。
 恋の真似事みたいな幼稚なカップルがあちこちで成立しては消え、消えては成立しを頻繁に繰り返していた頃のこと。

「橘君と仲いいよね。告白、手伝ってくれない?」とスクールカースト上位の子に突然頼まれて。
 カースト上位の女子たちにぐるりと囲まれた私に、断る選択肢などなかった。
 
 結局、橘は断ったようだった。
 すごくホッとした。
 その辺りから、私は橘のことを……。

「そう! そうなのよね。あるわよね、そういうこと」
 桜井さんの嬉しそうな声に我に返る。共感を得て喜ぶ桜井さんが同年代の女子に見えた。


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