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神明山の遊歩道
出来過ぎた孫
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その大家さんに、先週ばったり会った時、隣にいたのが、孫の佐世保優太君だった。
「前に話した孫の優太ザマス。忘れたザマスか? やり手弁護士をしている息子の子どもで、名門私立小学校に通っているって話したザマしょ。この子がそうザマス」
見ればつり目が大家さんにそっくりで、思わず笑いそうになって、慌てて口元を隠した。
「? ああ、優太の通う名門私立小学校は、あ・え・て、制服を廃止しているんザマスの。将来、世界各国のセレブの方々と肩を並べることになれば、服装のセンスも重要ザマスからね。幼少期より洋服のセンスを学ばせるために、あ・え・て、私服登校にしてるんザマス。ほら、優太の服もその辺の小学生と違って品があるザマしょ?」
どうやら大家さんは、優太君の通っている名門私立小学校に制服がないことについてほたるが笑ったと勘違いしたようだった。
(別に、どっちでもいい気がするけど)と、改めて優太君の服装を確認すると、確かに、落ち着いたグレイのポロシャツにカーキ色の細身パンツを合わせていて、セレブ坊っちゃん的な、カジュアルコーディネートだ。
ポロシャツのロゴは、ほたるでも知っている超有名で超高級な海外ブランド。
靴は小学校指定の革靴のようだ。見るからに高そう。
そして、金色の鷲の紋章が輝く紫色の指定ランドセル。職人が一つ一つ丁寧に作り上げました感がプンプン漂っている。
(お金ってあるところにはあるんだなぁ)
まさにいいところのお坊ちゃまのお手本みたいな出で立ち。本当にこんな小学生っているんだ。
優太君は、大家さんに言われるでもなく、ピシッと姿勢を正して「佐世保優太です。小学4年生です。いつもおばあさまがお世話になっています。これからもおばあさまをよろしくお願いします」と、百貨店の店員並みの礼儀正しさでお辞儀をしてみせた。
(な、なんて賢い!)
大家さんによく似たつり目に、成熟した微笑を浮かべる優太君を見て、ほたるがたまげていると、大家さんが頬に手を当てて「あら」と、不思議そうに首を傾げた。
「私ったら、こんなところで何しているんだったかしら」
「はい?」
「まあ、あなたは優太のお友達? そうだわ。せっかくだから、うちでお茶していきなさいな。ちょうど、頂き物のふわっふわのかすていらがあるのよ。うふふ」
(うふふって……)
柔和な笑みを浮かべる大家さん。
(なに? 二重人格??)
「ほら、あなたたち、入って入って」
にこにこ手招きしながら、先にお屋敷の中へ入っていく大家さんに、一瞬もやもやと白い湯気のような糸のようなものが巻き付いているように見えて、え?っと、ほたるは瞬きをした。
「どうぞ。遠慮しないでください」
優太君は、大家さんの背中をちょっと見てから、にっこりほたるに微笑みかけてきた。
(気のせいかなぁ)
とりあえず、ふわっふわのかすていらは、気になるところだ。
「それじゃ、遠慮なく、お邪魔しまーす!」
甘いものの誘惑に惑わされ、ほたるは大家さんの家にお邪魔することにしたのだった。
「前に話した孫の優太ザマス。忘れたザマスか? やり手弁護士をしている息子の子どもで、名門私立小学校に通っているって話したザマしょ。この子がそうザマス」
見ればつり目が大家さんにそっくりで、思わず笑いそうになって、慌てて口元を隠した。
「? ああ、優太の通う名門私立小学校は、あ・え・て、制服を廃止しているんザマスの。将来、世界各国のセレブの方々と肩を並べることになれば、服装のセンスも重要ザマスからね。幼少期より洋服のセンスを学ばせるために、あ・え・て、私服登校にしてるんザマス。ほら、優太の服もその辺の小学生と違って品があるザマしょ?」
どうやら大家さんは、優太君の通っている名門私立小学校に制服がないことについてほたるが笑ったと勘違いしたようだった。
(別に、どっちでもいい気がするけど)と、改めて優太君の服装を確認すると、確かに、落ち着いたグレイのポロシャツにカーキ色の細身パンツを合わせていて、セレブ坊っちゃん的な、カジュアルコーディネートだ。
ポロシャツのロゴは、ほたるでも知っている超有名で超高級な海外ブランド。
靴は小学校指定の革靴のようだ。見るからに高そう。
そして、金色の鷲の紋章が輝く紫色の指定ランドセル。職人が一つ一つ丁寧に作り上げました感がプンプン漂っている。
(お金ってあるところにはあるんだなぁ)
まさにいいところのお坊ちゃまのお手本みたいな出で立ち。本当にこんな小学生っているんだ。
優太君は、大家さんに言われるでもなく、ピシッと姿勢を正して「佐世保優太です。小学4年生です。いつもおばあさまがお世話になっています。これからもおばあさまをよろしくお願いします」と、百貨店の店員並みの礼儀正しさでお辞儀をしてみせた。
(な、なんて賢い!)
大家さんによく似たつり目に、成熟した微笑を浮かべる優太君を見て、ほたるがたまげていると、大家さんが頬に手を当てて「あら」と、不思議そうに首を傾げた。
「私ったら、こんなところで何しているんだったかしら」
「はい?」
「まあ、あなたは優太のお友達? そうだわ。せっかくだから、うちでお茶していきなさいな。ちょうど、頂き物のふわっふわのかすていらがあるのよ。うふふ」
(うふふって……)
柔和な笑みを浮かべる大家さん。
(なに? 二重人格??)
「ほら、あなたたち、入って入って」
にこにこ手招きしながら、先にお屋敷の中へ入っていく大家さんに、一瞬もやもやと白い湯気のような糸のようなものが巻き付いているように見えて、え?っと、ほたるは瞬きをした。
「どうぞ。遠慮しないでください」
優太君は、大家さんの背中をちょっと見てから、にっこりほたるに微笑みかけてきた。
(気のせいかなぁ)
とりあえず、ふわっふわのかすていらは、気になるところだ。
「それじゃ、遠慮なく、お邪魔しまーす!」
甘いものの誘惑に惑わされ、ほたるは大家さんの家にお邪魔することにしたのだった。
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