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神明三家の昔ばなし
いざ、ゆかん
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「みたいなことが、時々、日本各地で起きていたんだよねー。拝殿のひさしにぶら下がってる蛹たちは、神明三家のように、儀式を行い、むし祠に祀られたせいで、この神社にポコポコ出現しちゃったやつなんだよー。ここに来ちゃうと僕が管理しなくちゃならないから、ほんっと迷惑ー」
「なるほどなー」と優太君が思案顔でこっくりと頷いた。
「それで、神明三家の花岡家は花岡医院で、村山家は役人から議員になり、佐世保家は公事師から弁護士になったってわけか」
「そーゆーことー。で、佐世保家の血縁者である君が、タソガレ時の神明山に足を踏みいれ、オオコトダマの蛹を触ったことで、中身が飛び出して、佐世保の家に異変が生じてるってわけー」
碧ちゃんの解説を受けて、優太君が「うーん」と首を捻った。
「でもさ、そのオオコトダマの蛹って、佐世保家が弁護士として繁栄していくためのむしなんだろ? 父さんの弁護士事務所の件は、まあ、関係あるとして、ザマスさまの不動産経営悪化は、弁護士と関係なくね? お家衰退のため? だとしても、ザマスさまの性格が優しくなったことは、さすがに意味不明なんだけど」
「むしろ大家さんの性格が優しくなるのはいいことだよね」とほたるも首を傾げた。
答えを求めて碧ちゃんを見たほたるたちに、碧ちゃんが肩をすくめる。
「ま、その辺の因果関係については僕にもわかんないからさー、むし屋のことは、むし屋に聞くのが一番! てことでー」
首に巻いていた白いモフモフのストールを碧ちゃんが宙へふぁさっと投げる。ばさりと風を裂く音がして、空中でストールが大きな羽扇に変わった。
神楽を踊るように、くるりと優雅に回りながら碧ちゃんが羽扇をキャッチすると、ごおっと竜巻が起こった。
亜熱帯の花々の香りがむんとした次の瞬間、碧ちゃんは狩衣姿の水黄緑の君に変貌していた。
高貴な笑みをたたえた水黄緑の君が、ほたるに甘く囁く。
「ほたるちゃん、僕をしっかり抱きしめててねー」
「はい?」
ぐいっと、水黄緑の君が片手でほたるの身体を抱きすくめてくる。華奢に見えるのに、案外力が強い。
亜熱帯の花々の香りがムンムンして。くらくらする。
なんなの、これ。媚薬?
「ほらぁ、佐世保家の子供もボケっとしてないで早くつかまんないと、置いてくよ~」
「置いてくって、どこに行く気だよ」
「もー、いちいちうるさいなー」
問答無用で水黄緑の君が、優太君の肩にも、がしっと腕を回した。
「大原や~てふの出て舞う~朧月~」
小川のせせらぎのように、ゆらゆらと、まろやかに、水黄緑の君が詠うと、ひゅるるるっと足元から渦巻いた風が吹き上げて、ほたるたちをすっぽりと包み込んでいく。
目を開けられないくらいの凄い風。吹き飛ばされそう。
ほたるは隣の優太君の背中に腕を回し、優太君ごと、ひしっと、水黄緑の君に抱きついた。
「わお、ほたるちゃんったら、積極的ぃ~」
抱きつかれた水黄緑の君が、何故かニヤニヤ。
「いいから、早くしろー」
今にも吹き飛ばされそうな優太君が悲鳴を上げる。
「も~、しょーがないなー」
水黄緑の君が、巨大羽扇で、空に文字のようなものを描くと、ごお~っと、竜巻ごとほたるたちの身体が浮き上がった。
「いざゆかん。むし屋へ」
瞬間、凄まじい突風がほたるたちをぴゅーんと空の彼方へ吹き飛ばしたのだった。
「なるほどなー」と優太君が思案顔でこっくりと頷いた。
「それで、神明三家の花岡家は花岡医院で、村山家は役人から議員になり、佐世保家は公事師から弁護士になったってわけか」
「そーゆーことー。で、佐世保家の血縁者である君が、タソガレ時の神明山に足を踏みいれ、オオコトダマの蛹を触ったことで、中身が飛び出して、佐世保の家に異変が生じてるってわけー」
碧ちゃんの解説を受けて、優太君が「うーん」と首を捻った。
「でもさ、そのオオコトダマの蛹って、佐世保家が弁護士として繁栄していくためのむしなんだろ? 父さんの弁護士事務所の件は、まあ、関係あるとして、ザマスさまの不動産経営悪化は、弁護士と関係なくね? お家衰退のため? だとしても、ザマスさまの性格が優しくなったことは、さすがに意味不明なんだけど」
「むしろ大家さんの性格が優しくなるのはいいことだよね」とほたるも首を傾げた。
答えを求めて碧ちゃんを見たほたるたちに、碧ちゃんが肩をすくめる。
「ま、その辺の因果関係については僕にもわかんないからさー、むし屋のことは、むし屋に聞くのが一番! てことでー」
首に巻いていた白いモフモフのストールを碧ちゃんが宙へふぁさっと投げる。ばさりと風を裂く音がして、空中でストールが大きな羽扇に変わった。
神楽を踊るように、くるりと優雅に回りながら碧ちゃんが羽扇をキャッチすると、ごおっと竜巻が起こった。
亜熱帯の花々の香りがむんとした次の瞬間、碧ちゃんは狩衣姿の水黄緑の君に変貌していた。
高貴な笑みをたたえた水黄緑の君が、ほたるに甘く囁く。
「ほたるちゃん、僕をしっかり抱きしめててねー」
「はい?」
ぐいっと、水黄緑の君が片手でほたるの身体を抱きすくめてくる。華奢に見えるのに、案外力が強い。
亜熱帯の花々の香りがムンムンして。くらくらする。
なんなの、これ。媚薬?
「ほらぁ、佐世保家の子供もボケっとしてないで早くつかまんないと、置いてくよ~」
「置いてくって、どこに行く気だよ」
「もー、いちいちうるさいなー」
問答無用で水黄緑の君が、優太君の肩にも、がしっと腕を回した。
「大原や~てふの出て舞う~朧月~」
小川のせせらぎのように、ゆらゆらと、まろやかに、水黄緑の君が詠うと、ひゅるるるっと足元から渦巻いた風が吹き上げて、ほたるたちをすっぽりと包み込んでいく。
目を開けられないくらいの凄い風。吹き飛ばされそう。
ほたるは隣の優太君の背中に腕を回し、優太君ごと、ひしっと、水黄緑の君に抱きついた。
「わお、ほたるちゃんったら、積極的ぃ~」
抱きつかれた水黄緑の君が、何故かニヤニヤ。
「いいから、早くしろー」
今にも吹き飛ばされそうな優太君が悲鳴を上げる。
「も~、しょーがないなー」
水黄緑の君が、巨大羽扇で、空に文字のようなものを描くと、ごお~っと、竜巻ごとほたるたちの身体が浮き上がった。
「いざゆかん。むし屋へ」
瞬間、凄まじい突風がほたるたちをぴゅーんと空の彼方へ吹き飛ばしたのだった。
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