ようこそ、むし屋へ2 ~麗しの碧ちゃん&むしコンシェルジュの卵編~

箕面四季

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素質ある子

妖しい微笑

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「普通に持ってりゃ、いや、握力強いやつが握りしめても、そう簡単に曲がる代物じゃないんだよ! ああ~、特注品の愛用ピンセットちゃんだったのにぃ」

 確か、むし屋のアルバイトに関係する大事なことだったはず。
 とても重要な……

「ああ~、お前なんかに任せたオレがバカだった~」
 一生懸命思い出そうとしているのに、向尸井さんが喚くせいでちっとも思い出せない。
 うるさいなー。

「もう、過ぎたことをウジウジ悔やんでも仕方ないですよ。修理すれば直るんでしょ? てゆーか、これを機に、ババンと新しいモノを新調するってのはどうですか? 気分も上がって一石二鳥かも」
「お~ま~え~」

「いいぞ~。ほたるちゃん、もっとやれ~~~」
 隣であおる碧ちゃんを、ギロンと向尸井さんが睨んだ。

「とゆーか、オオミズアオ! 今回の件、お前、全部知ってて黙ってたな」
「ええ~、なんのことぉ?」
 わかりやすくしらばっくれた後、ふと碧ちゃんが大きな黒目を妖しく光らせ、ソファで眠る優太君をちらりと見やった。

「神明三家のあの子どもは、素質があるからねー。素質があるってことは僕らにとって、味方にも脅威にもなりうる存在ってことでしょー。手を貸すかどうか、じっくり見極めさせてもらったのさー」

 にっこり笑う碧ちゃんの笑顔に、怖いものを感じる。
 笑っているのに冷酷で、感情が推し量れない。
 人にはない種類の感情みたいなものが、憑りついて見える。

 向尸井さんはしゅっと凛々しい眉を顰め、ちらりとアキアカネさんにも視線を投げた。
 その視線を受け止めたアキアカネさんまで、怪しい微笑を浮かべている。

 なんなのだろう。この空気。
 ぴりぴりと、ちょっと痛い感じ。

「はあ」と、向尸井さんがため息を吐いた時、「もう~、うっるさいなー」と、ソファで優太君が吠えた。
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