桜山線ツバメ列車

箕面四季

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【復路】桜山線ツバメ列車

ふれあい

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 リリリリリリ。 

 発車ベルが鳴り響き、ドアが閉まる直前、元気な男の子と眉間にしわを寄せたママさんが駆け込んできた。

「ギリギリセーフ!」
 叫んだ男の子が優の「いつもの席」に座って「あ、車掌さんや」と車掌さんに手を振る。

 リンリン。

 全ての乗客が乗り込んだことを確認し、レバーを引いてドアを閉めた後、車掌さんは男の子に手を振り返す。

 ツバメ列車が、ガタタンと、子燕駅へ向かってゆったり走り出した。

「ママ、見た? 今、車掌さんがオレに手ぇ振ってくれてん!!」
 嬉しそうに足をバタバタ揺らす男の子は、幼稚園くらいだろうか。

「もう、ほんま静かにして!」
 小声で叱るママさんはだいぶお疲れ気味の様子。

「あ、オレの幼稚園見えたで! ほら、あそこ!!」
「しっ、マスク上げて。他の人に迷惑やろ」

 と、思いがけずママさんと目が合ってしまった。
「ほんま、すいません」と、気まずそうに謝るママさん。

 愛美はにっこり微笑んで見せる。マダムのように。

「ぜんっぜんOKです!……私の息子もそうでしたから。大変ですよねー」
「ほんま、静かにできんくて。マスクも嫌がるし」

 相変わらず眉間にしわは寄っているけれど、さっきのピリピリ感はちょっと抜けたみたいだ。

 ママの横顔をじぃっと覗き込んだあと、男の子が「あんな、今からな、ツバメの赤ちゃん見に行くんやで」と、愛美に向かって大声で教えてくれた。

 そして「しっ。ほんま、うるさいねんて」と怒られる。

 愛美は声のトーンを落としながら、男の子ににっこり答える。
「ツバメいいねー。お兄ちゃん、ちゃんと座ってて偉いじゃん」
「当たり前やん。オレ、もう年中さんやで」

「年中さん?? 大人じゃん。もしかして、ひそひそ声でお話とかもできちゃう?」
 目を丸くして驚いて見せると「そんなん、簡単や!!」と男の子は大声で言ってから「あっ」と、マスクの上から口に手を当てた。
 それから、ビシっとシートに座り直して「簡単やで」と、小声で言いきった。

(可愛い~)
 

 愛美は男の子のママと目配せで笑いあった。
 再び、ママの顔を覗き込んだ男の子が、嬉しそうに愛美に手を振ってきた。

(あ)
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