みどりのくまさん

蛇丸

文字の大きさ
1 / 1

ありがとう

しおりを挟む
  
 弾むようないつもよりママの高い声。
なんだろうと振り返って見上げれば、みどり色のくまさんがマ
マにだっこされて手を振っていた。

  ママは夜にお歌を歌うお仕事をしてる。
お姉ちゃんは私より11も上で学校に行っている。パパになる人は私の家にはいません。だからママはお姉ちゃんがちっちゃい頃から無理をして朝から晩まで働きます。

 何年かたった頃、お姉ちゃんはお喋りもしてくれず遊んでもく
れなくなりました ずっとずっと一人でいます 一人の方が楽だと
言います。

 お友だちはくまさんだけで、色んなお喋りをしてもママがいな
きゃ返事もありません。

 小学生に上がっても私はお友だちが出来ません。

 中学生になって 消しゴムを投げられ、笑われて、近寄るなと言
われました。私の事を笑うみんなの目が視線が怖くなりました。

保健室に逃げ込む事が多くなりはじめて、最後には誰のことも
嫌いになってトイレに一日中引き込もって、私を引きずり出そうとした先生やお母さん、学校を早退してきた私を怒るお姉ちゃんに殴りかかったことありました。

  ある日お母さんが倒れました。

仕事中ほとんど立っての仕事はもうその年では辛くなっていたのです。お母さんが体を壊して仕事を休んだ時、はじめて生まれつきお母さんの股関節の骨が一本少なく、水が溜まっていて痛いこと。それがある場所が悪く、治せないことを知りました。

 この時私にある思い出が頭をよぎりました。
忘れもしない小学2年生の秋、私は風邪をこじらせてインフルエンザにかかりました。ただそれだけだったなら良かったのですが、私のいる所は田舎で車で一時間もしなければ大きい病院はなく、インフルエンザが悪化して肺炎になってしまいました。
 大きな私をお母さんは抱えて病院へ何度も連れていった後、
ある日体の痙攣が止まらなくなり、入院することに…
十日分の食事や荷物を一人で母は持って私の隣で寝泊まりしました。

 あの頃、私が病気にならなければ…私がお母さんに無理をさせていなかったら…そう考えると今までの自分がどれ程馬鹿だったのだろうか感じ、自分と別れを告げ、また一から新しい私の一歩を踏み出した。

  お正月前の大掃除、押し入れの整理をしようと戸を開けた時、
ころりんっ、と山になった道具の上から私の手へ待ち焦がれていたかのように転がり落ちてきた友人はくたびれて、ボロボロになったいまでもあの頃と変わらぬキラキラとした目で私を映していた。


 前の私がいままで言えなかった言葉を、新しい私は大切な人達へと今届けようと思う 

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

処理中です...