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欽英〜兪晩柱の日記
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緑陰を愛でられる西側の窓は鬱青戸と名付け、南側の明かり窓は錦氷戸と名付けた。東の窓は軒露戸、北の窓は層揮戸だ。
窓に名前を付けるほど息子はこの書斎を愛した。
月夜には窓を取り外して横たわり夜空と欅を眺めて過ごし、雨の日にはここで書物を読んでいた。
そして毎日、この日記を書いていた。欽英と名付けた日記帳を息子は死ぬ間際、燃やして欲しいと言った。未完成だからだそうだ。
だが私には出来なかった。ここには息子の生きた証があるからだ。自作の詩文、書評、日々の雑感‥。
欽英を開くたびに息子に会うことが出来る。息子が読んだ本を読み、詩文に和韻する。
そして窓を取り外して夜空を仰ぐ。月が冴え冴えとしている。
窓に名前を付けるほど息子はこの書斎を愛した。
月夜には窓を取り外して横たわり夜空と欅を眺めて過ごし、雨の日にはここで書物を読んでいた。
そして毎日、この日記を書いていた。欽英と名付けた日記帳を息子は死ぬ間際、燃やして欲しいと言った。未完成だからだそうだ。
だが私には出来なかった。ここには息子の生きた証があるからだ。自作の詩文、書評、日々の雑感‥。
欽英を開くたびに息子に会うことが出来る。息子が読んだ本を読み、詩文に和韻する。
そして窓を取り外して夜空を仰ぐ。月が冴え冴えとしている。
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