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王女と野人
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高句麗の平岡〈ピョンガン〉王(第二十六代平原王〓平岡上好王・五五九~九○)には、男の子供は何人かいたが、女の子は一人しかいなかった。そのため王は、この娘を目の中に入れても痛くないほどに可愛がった。甘やかされているせいか、王女は大変な泣き虫で何かというとすぐ泣き、周囲の人々を手こずらさせた。たまりかねた王は、王女が泣くたびに
「お前は、いつもそうやってわしの耳を患わせるので、大人になってもお嫁にしてくれる人はいないぞ。あの馬鹿の温達〈オンダル〉以外にはな。」
と言ってからかった。父親が繰り返しそのように言うので、王女はすっかり自分は将来〝温達〟という者と結婚するものだと思い込んでしまった。
この温達とは一体、どのような人物なのであろうか? 彼は都近くの村に盲目の母親と二人きりで暮らす若者で、その容貌はみすぼらしく滑稽だった。その上、いつも破れた上着に古びた沓を履いて都を往来していたので、人々は彼のことを「馬鹿の温達」といって嘲笑(あざわら)った。だが、その心根は純朴で、からかわれながらも乞食(こつじき)をして母親の面倒を見ていた。
さて歳月は流れ、王女は十六歳となり美しい娘に成長した。父王は、名門の高氏の子息を婿に選んだが、王女は次のように言った。
「お父さまは以前から、私を温達の許へ嫁にやるとおっしゃっていたのに、どうして今になって翻すのですか? しがない身の者ですらいったん口にした言葉は実行すると言うのに、ましてお父さまは人々の上に立つ身の上。王は言葉を弄ぶべきではないと言います。今の仰せは誤っていますので、私は従うことは出来ません。」
何気なく口にした言葉を今もって覚えていることに王はたいそう驚き、しきりに取り繕ったが、王女は一向に聞き入れなかった。腹を立てた王は
「わしの言うことを聞けぬのなら、もはやお前はわしの娘ではない。他人であるお前がここに住むことは許さん。何処なりと出て行け。」
と王女を王宮から追い出してしまった。
王女は、宝石で出来た腕輪を数十個はめ城外に出ると、道行く人々に訊ねながら温達の家に向かった。しばらく行くと今にも倒れそうなあばら家が目に入った。
― 温達の家に違いない。
こう確信した王女は脇目も振らず、あばら家の方へと歩みを早めた。家に辿り着くと中へ向かって声を掛けた。出てきたのは盲目の老女だった。
「こちらは温達さまのお宅でしょうか?」
「そうですが、息子は今、山に薪を取りに行き、ここには居ません……。」
こう応えながら老母は、探るようにして王女の手をとった。絹のような柔らかな掌の感触と身体に漂う馥郁とした香りから、相手が貴人であることを悟った老女は、訝しげに言葉を続けた。
「あなた様は、いったいどなたなのでしょう? ここは、あなた様のような高貴な方のいらっしゃる所ではありません。どうぞ、お引き取り下さい。」
王女の手を放した老女は、そのまま家のなかに入ってしまった。
一人取り残された形になった王女は、すぐに気を取り直すと山に向かった。温達とじかに会うためである。間もなく前方に、ざんばら髪に襤褸(ぼろ)をまとった可笑しな容貌の若者の姿が見えた。
「あの……、温達さまでしょうか?」
突然、目の前に現われた美しい娘に温達は一瞬、心を奪われたが、
「そうだが、何か用か。こんな山の中に若い娘がいるとは面妖なことだ。大方、狐か鬼神の類が化けたのだろう。さっさと消え失せろ!」
こう言うと、大急ぎで山道を駈け降りた。
家に着いた彼はしっかりと戸を締め、その後にようやく息をついた。
― 山の妖(あやか)しもここまでは追ってこないだろう。
翌朝、出掛けようと戸を開けた温達は、悲鳴を上げそうになった。
「あんた、ずっとそこにいたのか!」
なんと〝山の妖し〟が立っていたのである。息子の叫び声を聞き付け老母も出てきた。
「あなたは昨日のお嬢さまですね。むさ苦しいところだけど、とにかくお入りなさい。」
昨日と同じ匂いを感じた母親が、王女を室内に招き入れた。
勧められるままに母子の前にきちんと座った王女は、これまでの経緯を全て話した。そして
「どうぞ、このままここに置いて下さい。私にはもはや行くところがないのです。」
と懇願した。老母は当惑したように応えた。
「そうおっしゃられても……。息子は世間で言われているように愚かなうえ醜悪で、とても貴人と一緒になどなれる身の上ではありません。また、ご覧の通り我が家は荒れ果てていて王女さまが暮らせるようなところではありません。」
王女は諦めずに言葉を続けた。
「昔の人の言葉にもあるではありませんか。〝一粒の粟も碾けば分けて食べることができ、一尺の布も断てば共に着ることが出来る〟と。大切なのは身分の貴賎よりもお互いを思いやる心ではないでしょうか。」
王女の熱意にほだされた母親は遂に
「分かりました。息子を宜しくお願いします。」
と言ったが、内心では
― 所詮、王女さまの気紛れ。二、三日もすれば出ていくだろう。
と思った。温達も同じことを考えていた。
次の日、王女ははめていた腕輪を売り、それを元に家を立て替え、田畑と奴婢、牛馬を買い入れた。その日の食事にも事欠いていた温達母子の生活は一瞬のうちに良くなった。
生活基盤が安定すると、王女は温達に文字を教えた。彼は王女の教えられるままに覚えていき、数ヶ月もすると貴族層の若者と同じくらいに読み書きが出来るようになった。
― 馬鹿の温達という噂は根も葉もないものだったのね。
王女は感心した。読み書きに続き武術も教えた。といっても女性である王女は、ごく基本的な簡単なことしか知らなかったが、温達は教えられたことを十二分に理解し、そこからどんどん応用して自身の実力を積み重ねていった。
こうして数年の歳月が流れ、温達は風采のよい青年となり、誰も彼を指差して〝馬鹿の〟とは言わなくなった。すべては王女のおかげであり、温達もこのことを自覚していた。
ある日、王女は夫に馬を買ってくるように言った。その際、
「痩せていて皮膚に張りの無いものを」
と注文をつけた。おかしなことを言うなと温達は思ったが、妻の言うことが間違ったことはないので言う通りにした。
夕刻、自分の希望通りの馬を引き連れて帰ってきた温達を王女は微笑みながら迎えた。そして翌日から、夫婦でこの瘠せ馬を丹精込めて世話をすると、すぐに天下の名馬と言ってもいいほどになった。
ところで、この時代、高句麗では毎年三月三日になると楽浪の丘で大規模な狩りが行なわれる習わしだった。これには国王以下、群臣及び各地にいる兵士たちが参加し、民間の狩人たちも加わることが出来た。王女の勧めに従い、温達も参加した。
腕自慢の者たちに混じって、温達も愛馬にまたがり、一匹、又一匹と獲物を仕留めていった。狩りが終わり、獲物の数を調べると何と温達が最も多かった。
一番となった温達には、王より直々に褒美が与えられることになった。温達は王の面前に進み出て平伏した。
「汝、名は何という?」
「温達と申します。」
これを耳にした王は飛び上がらんばかりに驚いた。目の前にいる端正な青年があの馬鹿の温達とは……。風の噂で王女と暮らすようになった温達がそれなりの若者になったと聞いてはいたのだが……。
「汝が温達か! 王女は良い婿を選んだものだ。」 王は、その場で温達夫婦と母親を呼び、城内に住まわせた。そして娘の勘当を解き、温達を自分の側に仕えさせた。
その頃、中国北方の王朝の一つ北周が遼東を侵したので高句麗軍が迎え撃っていた。温達は志願して遼東に赴き、北周軍と戦った。彼の活躍は目覚ましく、これにより士気の高まった高句麗軍は敵軍を打ち破った。これを知った王はたいそう喜び、婿に〝大兄〟という高い位を与えた。
数年後、王は世を去り、王女の長兄が後を継いだ。この時、新羅軍が漢北の地を占領し現地の人々を苦しめているという奏上文が王の元に届いた。王からこのことを聞いた温達は、自ら兵を率いて新羅軍を追い払いたいと願い出た。王は、これを受け入れ温達を将軍に命じ一万の兵を与えた。戦地に赴く時、温達は次のような誓いを立てた。
「わが領地を取り戻すまでは、決して帰らないつもりだ。」
目的地に着いた高句麗軍は、破竹の勢いで新羅兵を薙ぎ倒していった。新羅軍は敗走していったが、その際に放たれた矢が当たって温達は帰らぬ人となった。遺体は都に運ばれ、立派な棺に納められた。そして葬送のため運びだそうとしたが、棺は微動すらしなかった。この様子を見た王女は棺のもとへ行き、さすりながら言った。
「既に生と死は決しました。あなたは、このままお休み下さい。いずれ私もあなたの許へ参りましょう。」
王女の言葉が終わると棺は持ち上がり、容易く運ばれていった。
義弟の死を知った時、王は、嘆き悲しみ、ただ、ただ、涙を流すばかりだった。
「お前は、いつもそうやってわしの耳を患わせるので、大人になってもお嫁にしてくれる人はいないぞ。あの馬鹿の温達〈オンダル〉以外にはな。」
と言ってからかった。父親が繰り返しそのように言うので、王女はすっかり自分は将来〝温達〟という者と結婚するものだと思い込んでしまった。
この温達とは一体、どのような人物なのであろうか? 彼は都近くの村に盲目の母親と二人きりで暮らす若者で、その容貌はみすぼらしく滑稽だった。その上、いつも破れた上着に古びた沓を履いて都を往来していたので、人々は彼のことを「馬鹿の温達」といって嘲笑(あざわら)った。だが、その心根は純朴で、からかわれながらも乞食(こつじき)をして母親の面倒を見ていた。
さて歳月は流れ、王女は十六歳となり美しい娘に成長した。父王は、名門の高氏の子息を婿に選んだが、王女は次のように言った。
「お父さまは以前から、私を温達の許へ嫁にやるとおっしゃっていたのに、どうして今になって翻すのですか? しがない身の者ですらいったん口にした言葉は実行すると言うのに、ましてお父さまは人々の上に立つ身の上。王は言葉を弄ぶべきではないと言います。今の仰せは誤っていますので、私は従うことは出来ません。」
何気なく口にした言葉を今もって覚えていることに王はたいそう驚き、しきりに取り繕ったが、王女は一向に聞き入れなかった。腹を立てた王は
「わしの言うことを聞けぬのなら、もはやお前はわしの娘ではない。他人であるお前がここに住むことは許さん。何処なりと出て行け。」
と王女を王宮から追い出してしまった。
王女は、宝石で出来た腕輪を数十個はめ城外に出ると、道行く人々に訊ねながら温達の家に向かった。しばらく行くと今にも倒れそうなあばら家が目に入った。
― 温達の家に違いない。
こう確信した王女は脇目も振らず、あばら家の方へと歩みを早めた。家に辿り着くと中へ向かって声を掛けた。出てきたのは盲目の老女だった。
「こちらは温達さまのお宅でしょうか?」
「そうですが、息子は今、山に薪を取りに行き、ここには居ません……。」
こう応えながら老母は、探るようにして王女の手をとった。絹のような柔らかな掌の感触と身体に漂う馥郁とした香りから、相手が貴人であることを悟った老女は、訝しげに言葉を続けた。
「あなた様は、いったいどなたなのでしょう? ここは、あなた様のような高貴な方のいらっしゃる所ではありません。どうぞ、お引き取り下さい。」
王女の手を放した老女は、そのまま家のなかに入ってしまった。
一人取り残された形になった王女は、すぐに気を取り直すと山に向かった。温達とじかに会うためである。間もなく前方に、ざんばら髪に襤褸(ぼろ)をまとった可笑しな容貌の若者の姿が見えた。
「あの……、温達さまでしょうか?」
突然、目の前に現われた美しい娘に温達は一瞬、心を奪われたが、
「そうだが、何か用か。こんな山の中に若い娘がいるとは面妖なことだ。大方、狐か鬼神の類が化けたのだろう。さっさと消え失せろ!」
こう言うと、大急ぎで山道を駈け降りた。
家に着いた彼はしっかりと戸を締め、その後にようやく息をついた。
― 山の妖(あやか)しもここまでは追ってこないだろう。
翌朝、出掛けようと戸を開けた温達は、悲鳴を上げそうになった。
「あんた、ずっとそこにいたのか!」
なんと〝山の妖し〟が立っていたのである。息子の叫び声を聞き付け老母も出てきた。
「あなたは昨日のお嬢さまですね。むさ苦しいところだけど、とにかくお入りなさい。」
昨日と同じ匂いを感じた母親が、王女を室内に招き入れた。
勧められるままに母子の前にきちんと座った王女は、これまでの経緯を全て話した。そして
「どうぞ、このままここに置いて下さい。私にはもはや行くところがないのです。」
と懇願した。老母は当惑したように応えた。
「そうおっしゃられても……。息子は世間で言われているように愚かなうえ醜悪で、とても貴人と一緒になどなれる身の上ではありません。また、ご覧の通り我が家は荒れ果てていて王女さまが暮らせるようなところではありません。」
王女は諦めずに言葉を続けた。
「昔の人の言葉にもあるではありませんか。〝一粒の粟も碾けば分けて食べることができ、一尺の布も断てば共に着ることが出来る〟と。大切なのは身分の貴賎よりもお互いを思いやる心ではないでしょうか。」
王女の熱意にほだされた母親は遂に
「分かりました。息子を宜しくお願いします。」
と言ったが、内心では
― 所詮、王女さまの気紛れ。二、三日もすれば出ていくだろう。
と思った。温達も同じことを考えていた。
次の日、王女ははめていた腕輪を売り、それを元に家を立て替え、田畑と奴婢、牛馬を買い入れた。その日の食事にも事欠いていた温達母子の生活は一瞬のうちに良くなった。
生活基盤が安定すると、王女は温達に文字を教えた。彼は王女の教えられるままに覚えていき、数ヶ月もすると貴族層の若者と同じくらいに読み書きが出来るようになった。
― 馬鹿の温達という噂は根も葉もないものだったのね。
王女は感心した。読み書きに続き武術も教えた。といっても女性である王女は、ごく基本的な簡単なことしか知らなかったが、温達は教えられたことを十二分に理解し、そこからどんどん応用して自身の実力を積み重ねていった。
こうして数年の歳月が流れ、温達は風采のよい青年となり、誰も彼を指差して〝馬鹿の〟とは言わなくなった。すべては王女のおかげであり、温達もこのことを自覚していた。
ある日、王女は夫に馬を買ってくるように言った。その際、
「痩せていて皮膚に張りの無いものを」
と注文をつけた。おかしなことを言うなと温達は思ったが、妻の言うことが間違ったことはないので言う通りにした。
夕刻、自分の希望通りの馬を引き連れて帰ってきた温達を王女は微笑みながら迎えた。そして翌日から、夫婦でこの瘠せ馬を丹精込めて世話をすると、すぐに天下の名馬と言ってもいいほどになった。
ところで、この時代、高句麗では毎年三月三日になると楽浪の丘で大規模な狩りが行なわれる習わしだった。これには国王以下、群臣及び各地にいる兵士たちが参加し、民間の狩人たちも加わることが出来た。王女の勧めに従い、温達も参加した。
腕自慢の者たちに混じって、温達も愛馬にまたがり、一匹、又一匹と獲物を仕留めていった。狩りが終わり、獲物の数を調べると何と温達が最も多かった。
一番となった温達には、王より直々に褒美が与えられることになった。温達は王の面前に進み出て平伏した。
「汝、名は何という?」
「温達と申します。」
これを耳にした王は飛び上がらんばかりに驚いた。目の前にいる端正な青年があの馬鹿の温達とは……。風の噂で王女と暮らすようになった温達がそれなりの若者になったと聞いてはいたのだが……。
「汝が温達か! 王女は良い婿を選んだものだ。」 王は、その場で温達夫婦と母親を呼び、城内に住まわせた。そして娘の勘当を解き、温達を自分の側に仕えさせた。
その頃、中国北方の王朝の一つ北周が遼東を侵したので高句麗軍が迎え撃っていた。温達は志願して遼東に赴き、北周軍と戦った。彼の活躍は目覚ましく、これにより士気の高まった高句麗軍は敵軍を打ち破った。これを知った王はたいそう喜び、婿に〝大兄〟という高い位を与えた。
数年後、王は世を去り、王女の長兄が後を継いだ。この時、新羅軍が漢北の地を占領し現地の人々を苦しめているという奏上文が王の元に届いた。王からこのことを聞いた温達は、自ら兵を率いて新羅軍を追い払いたいと願い出た。王は、これを受け入れ温達を将軍に命じ一万の兵を与えた。戦地に赴く時、温達は次のような誓いを立てた。
「わが領地を取り戻すまでは、決して帰らないつもりだ。」
目的地に着いた高句麗軍は、破竹の勢いで新羅兵を薙ぎ倒していった。新羅軍は敗走していったが、その際に放たれた矢が当たって温達は帰らぬ人となった。遺体は都に運ばれ、立派な棺に納められた。そして葬送のため運びだそうとしたが、棺は微動すらしなかった。この様子を見た王女は棺のもとへ行き、さすりながら言った。
「既に生と死は決しました。あなたは、このままお休み下さい。いずれ私もあなたの許へ参りましょう。」
王女の言葉が終わると棺は持ち上がり、容易く運ばれていった。
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