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山中散策〜Day11“緑陰”
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鳥の声で目覚めた牧隱先生は外に出た。
初夏の緑陰や若草の芳しさは満開の花に勝るなぁ
爽やかな気分になった先生はすこし遠くまで足をのばす。
何処からか鶯の声が聴こえた。人里よりも季節が半歩遅いようだ。
歩きながら先生は過ぎし日々を思い返す。
若き日、青雲の志を抱いて唐土に渡った。そこで勉学に励んだ。
その後、故国に戻り出仕、王と民のために働いた。
だが、既に王朝の命脈は尽き、自分が仕えていた国は滅びてしまった。
最後まで抵抗した自分は都を追われ、この山中に配流された。
だが、そのお陰で大自然の中に身を置くことが出来て安らぎを得た。
まさに今の暮らしこそ、病んだ老人に与える最良の薬ではないか。
家の戻ると先生は、机の前に座り筆を手にし、一首書き上げた。
綠陰芳草勝花時 一段淸閑付與誰
坐想病翁丸藥處 滿庭微雨囀黃鸝
緑陰芳草、花時に勝る、一段の清閑、誰が付与す。
坐して想う、翁に丸薬処するに、庭に満つる微雨と黃鸝の囀り。
初夏の緑陰や若草の芳しさは満開の花に勝るなぁ
爽やかな気分になった先生はすこし遠くまで足をのばす。
何処からか鶯の声が聴こえた。人里よりも季節が半歩遅いようだ。
歩きながら先生は過ぎし日々を思い返す。
若き日、青雲の志を抱いて唐土に渡った。そこで勉学に励んだ。
その後、故国に戻り出仕、王と民のために働いた。
だが、既に王朝の命脈は尽き、自分が仕えていた国は滅びてしまった。
最後まで抵抗した自分は都を追われ、この山中に配流された。
だが、そのお陰で大自然の中に身を置くことが出来て安らぎを得た。
まさに今の暮らしこそ、病んだ老人に与える最良の薬ではないか。
家の戻ると先生は、机の前に座り筆を手にし、一首書き上げた。
綠陰芳草勝花時 一段淸閑付與誰
坐想病翁丸藥處 滿庭微雨囀黃鸝
緑陰芳草、花時に勝る、一段の清閑、誰が付与す。
坐して想う、翁に丸薬処するに、庭に満つる微雨と黃鸝の囀り。
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