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ほんとはね。
しおりを挟む重い足取りで学校へ向かう。
朝からお母さんがあんなこと言うから…
「遥香!おはよー!」
後ろから、声をかけられた。
その声にドキッと、胸が高鳴る。
顔を見なくても、誰だか分かってしまう。
「た…拓也…おはよ」
そこにいたのは、拓也だった。
だめだ、どきどきして言葉がつまる。
「なんだよ遥香~、元気ねぇの??」
拓也が遥香のおでこを自分のおでこにくっ付けた。
「ちょ、拓也っ!なにす…」
拓也を押しのけ、離れようとした時だった。
「うん、大丈夫!熱ないよ。いつも遥香が風邪ひいたとき、こうしてたろ?遥香は妹みたいなもんだからな」
…いもうと…
その言葉に何故か心が痛む。
拓也にとっては、妹みたいなのかもしれないけれど…私にとっては…
「もう、私っ…学校行くから」
拓也から離れて、急いで学校へ向かった。
「おい!遥香!」
どきどきしてる気持ちと、心のもやもやを紛らわすために走った。
拓也が何か言っていたけど、そんなの聞いてる余裕もなかった。
感情がごちゃごちゃでわけが分からない。
好きな人にあんなことをされて、
思い出すだけで、顔が赤くなるのに…
"妹みたいな"
この一言で、
私と拓也の幼馴染みと言う関係に傷が付いたような感じがした。
ただ。
ただ、今は、気持ちを隠すために
逃げたかった。
好き、すき。すき。
泣きそうだった。
近いはずなのに、遠い存在。
妹という壁を壊せば、拓也は私を見てくれただろうか。
この日から、拓也と話すことが減った。
いや、私が拓也を避けた。
拓也には彼女がいて、見るたびに幸せそうな笑顔をしている。
それが嫌だった。
その笑顔を向けているのは私じゃないから。
好きなのに、好きではないと、自分に嘘をついてしまった。
この方が、いい。
第二話
ほんとはね。
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