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関ケ原
三成の陣跡
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そして、三成陣跡のある笹塚山に登った。山というには低かったけれど、ここを攻めると考えると大変なような気がした。戦ったことないからわからないけれど、これを登って攻めると考えると嫌だ。攻める方が不利かも?
登り切ると関ケ原が見渡せた。
のどかな景色が広がっている。
山があって畑があって。
かつてはここで天下分け目の戦があった。
今はそんな形跡はない。
草が風に揺れて、緑豊かな景色が広がる。
遠くまで観ることができた。
静かで居心地がよくて、いいところだった。
三成の気分になったつもりになって関ケ原を見る。
400年前の戦がどんなだったか想像してみる。
ここから戦の様子がわかったのかもしれない。
見えている緑の原が、炎や煙に包まれていたのだろうか。
情報戦もあったのだろうが、少しずつ押されていく西軍。
負け戦になる様子も、この場所で見たのだろうか?
人々の声がしていたのだろうか。
怒号と最期の悲鳴と。武器が当たる音、矢が飛んでくる音、鉄砲の音も聞こえたかもしれない。
それを見て、どんな気持ちになるだろう。
諦めの境地?
それとも、まだ行けるという気持ち?
太閤秀吉が亡くなった後の、天下の行方を決めた戦い。
西軍が豊臣秀吉の息子の秀頼の味方で、秀頼の後見人のはずの家康が、東軍を率いて戦った。
秀吉は誰が敵だと考えていたのか。最も危険だと思ったから家康を後見人にしたのだろうか? それが敵の大将になってしまったのなら狸面《たぬきづら》にもされるだろう。
正義は三成側にあるような気もする。
そのあたりはもやっとしている。勝った側は自分に都合のいいように歴史を描くことも多い。
勝った方が正義になってしまうから。
数の上では西軍が有利だったと聞いたことがある。
西軍にいた小早川秀秋が裏切って東軍が勝利したと授業では習った。
淀《よど》の君が息子の秀頼を大阪城から出さず、さらに西軍の総大将の毛利輝元をも大阪城に引き止めたとか。小早川秀秋は毛利元就の息子だから、元就の孫の輝元がいたら裏切ってなかったのかもしれない。ただ、わざと親族で敵味方に別れてどちらが勝っても身内の誰かが残るようにするらしいから、輝元がいたとしても裏切ったのかもしれない。
秀吉の側室の淀君が悪役になっているけど、冷静に考えれば息子を戦場に出したい母親などいないはず。そのわがままが通ってしまっただけだろう。弱いという前評判で実は強かった武将もいたし、秀頼が戦に出ていたら結果は違っていたのかもしれないけれど。
負け戦が濃厚になれば、逃げ出す武士も出てくるだろう。それともそんな武士はおらず、みなで迎え撃ったのだろうか。
博物館では三成は、秀吉に忠義を尽くし潔くてカッコよく描《えが》かれていた。
参謀向きの性格のように思えた。
本来は表に出るタイプではない、秀吉に重用された優秀な参謀。それが前面に置かれてしまった。もしかして、カリスマを持つ暴走人間を諫《いさ》めて止めるブレーキ役が似合う人だったのではないか。資料館で見た感じだと、止めた後に、修正を加えて実現可能なルートを作る人に見えた。
頭がよくて、口やかましくて鬱陶しいから煙たがれる。でも、人がしたがらないことをする人だったのかもしれない。
三成が考えた多くのシステムは、江戸時代にも用いられたそうだ。三成がアイディアマンだったのか、敵方だろうとその考え方を重用する家康の懐が深いのか、その両方だったのか。
静かでのどかな景色を眺め、そんなことを思った。
日本にはかつて、戦国時代があった。
人々が戦乱に明け暮れた時代。
東軍が勝って当たり前だと思っていた。
私はその歴史しか知らない。黄門様も暴れん坊将軍も、居て当たり前と思っている。ここで東軍が負けていたら、私が大好きな時代劇がなくなっていたかもしれない。でも、代わりに石田三成がカッコよく世直しをする時代劇があったかもしれない。三成の子孫がそんなことをする未来もあったかもしれない。
家康は関ケ原の戦いの後、天下統一を果たし、200年続く平和な江戸時代を築いた。
ここで起きた戦は、そのために必要だったのかもしれない。
西軍が勝っていたら、戦国時代は終わらなかったのだろうか。三成が負けなければ、平和な江戸時代は訪れなかったのだろうか。
家康が力をつけていき、他の大名も秀頼から離れていき、淀君を説得することもできず、三成はどんな気持ちでここから関ヶ原の戦いを見ていたのだろう。
恨んでいたのか、悔やんでいたのか、それとも大役から解放された安堵だったか。
戦わずに、たくさんの命を失わずに、平和な世界は得られないものなのだろうか。それとも人間は平和な世界など望んでいないのだろうか。
ただ、笹尾山から関ケ原を見つめていると、そんなことはどうでもよくなった。
美しい夕陽が辺りを薄紅《うすべに》色に染めていた。
江戸時代のことは見てきたわけではない。
私が見ていた平成の関ケ原は、自然が豊かな景色が広がっているだけだった。
戦う音など聞こえない。
静かで美しい世界。
当たり前すぎて、見落としがちな物。
この景色が彼らの癒しになればいい。
彼らの苦しみがこの未来に繋がったのなら、それはきっと、無駄なことではなかったのだと。敵も味方も、この地を護ってきた人たちも。
そんなかけがえのない空間を、当たり前のように見せてもらい、満足して駅に向かった。二時間の予定だったが、四時間ほど観光していた。
楽しかった。
登り切ると関ケ原が見渡せた。
のどかな景色が広がっている。
山があって畑があって。
かつてはここで天下分け目の戦があった。
今はそんな形跡はない。
草が風に揺れて、緑豊かな景色が広がる。
遠くまで観ることができた。
静かで居心地がよくて、いいところだった。
三成の気分になったつもりになって関ケ原を見る。
400年前の戦がどんなだったか想像してみる。
ここから戦の様子がわかったのかもしれない。
見えている緑の原が、炎や煙に包まれていたのだろうか。
情報戦もあったのだろうが、少しずつ押されていく西軍。
負け戦になる様子も、この場所で見たのだろうか?
人々の声がしていたのだろうか。
怒号と最期の悲鳴と。武器が当たる音、矢が飛んでくる音、鉄砲の音も聞こえたかもしれない。
それを見て、どんな気持ちになるだろう。
諦めの境地?
それとも、まだ行けるという気持ち?
太閤秀吉が亡くなった後の、天下の行方を決めた戦い。
西軍が豊臣秀吉の息子の秀頼の味方で、秀頼の後見人のはずの家康が、東軍を率いて戦った。
秀吉は誰が敵だと考えていたのか。最も危険だと思ったから家康を後見人にしたのだろうか? それが敵の大将になってしまったのなら狸面《たぬきづら》にもされるだろう。
正義は三成側にあるような気もする。
そのあたりはもやっとしている。勝った側は自分に都合のいいように歴史を描くことも多い。
勝った方が正義になってしまうから。
数の上では西軍が有利だったと聞いたことがある。
西軍にいた小早川秀秋が裏切って東軍が勝利したと授業では習った。
淀《よど》の君が息子の秀頼を大阪城から出さず、さらに西軍の総大将の毛利輝元をも大阪城に引き止めたとか。小早川秀秋は毛利元就の息子だから、元就の孫の輝元がいたら裏切ってなかったのかもしれない。ただ、わざと親族で敵味方に別れてどちらが勝っても身内の誰かが残るようにするらしいから、輝元がいたとしても裏切ったのかもしれない。
秀吉の側室の淀君が悪役になっているけど、冷静に考えれば息子を戦場に出したい母親などいないはず。そのわがままが通ってしまっただけだろう。弱いという前評判で実は強かった武将もいたし、秀頼が戦に出ていたら結果は違っていたのかもしれないけれど。
負け戦が濃厚になれば、逃げ出す武士も出てくるだろう。それともそんな武士はおらず、みなで迎え撃ったのだろうか。
博物館では三成は、秀吉に忠義を尽くし潔くてカッコよく描《えが》かれていた。
参謀向きの性格のように思えた。
本来は表に出るタイプではない、秀吉に重用された優秀な参謀。それが前面に置かれてしまった。もしかして、カリスマを持つ暴走人間を諫《いさ》めて止めるブレーキ役が似合う人だったのではないか。資料館で見た感じだと、止めた後に、修正を加えて実現可能なルートを作る人に見えた。
頭がよくて、口やかましくて鬱陶しいから煙たがれる。でも、人がしたがらないことをする人だったのかもしれない。
三成が考えた多くのシステムは、江戸時代にも用いられたそうだ。三成がアイディアマンだったのか、敵方だろうとその考え方を重用する家康の懐が深いのか、その両方だったのか。
静かでのどかな景色を眺め、そんなことを思った。
日本にはかつて、戦国時代があった。
人々が戦乱に明け暮れた時代。
東軍が勝って当たり前だと思っていた。
私はその歴史しか知らない。黄門様も暴れん坊将軍も、居て当たり前と思っている。ここで東軍が負けていたら、私が大好きな時代劇がなくなっていたかもしれない。でも、代わりに石田三成がカッコよく世直しをする時代劇があったかもしれない。三成の子孫がそんなことをする未来もあったかもしれない。
家康は関ケ原の戦いの後、天下統一を果たし、200年続く平和な江戸時代を築いた。
ここで起きた戦は、そのために必要だったのかもしれない。
西軍が勝っていたら、戦国時代は終わらなかったのだろうか。三成が負けなければ、平和な江戸時代は訪れなかったのだろうか。
家康が力をつけていき、他の大名も秀頼から離れていき、淀君を説得することもできず、三成はどんな気持ちでここから関ヶ原の戦いを見ていたのだろう。
恨んでいたのか、悔やんでいたのか、それとも大役から解放された安堵だったか。
戦わずに、たくさんの命を失わずに、平和な世界は得られないものなのだろうか。それとも人間は平和な世界など望んでいないのだろうか。
ただ、笹尾山から関ケ原を見つめていると、そんなことはどうでもよくなった。
美しい夕陽が辺りを薄紅《うすべに》色に染めていた。
江戸時代のことは見てきたわけではない。
私が見ていた平成の関ケ原は、自然が豊かな景色が広がっているだけだった。
戦う音など聞こえない。
静かで美しい世界。
当たり前すぎて、見落としがちな物。
この景色が彼らの癒しになればいい。
彼らの苦しみがこの未来に繋がったのなら、それはきっと、無駄なことではなかったのだと。敵も味方も、この地を護ってきた人たちも。
そんなかけがえのない空間を、当たり前のように見せてもらい、満足して駅に向かった。二時間の予定だったが、四時間ほど観光していた。
楽しかった。
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