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関ケ原
決戦地跡
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三成は笹尾山に陣をとり、家康はそこに向かって、少しずつ、少しずつ近寄っていくように陣跡が残っている。
今は関ケ原の戦いで東軍が勝利して家康が江戸時代を作ったことがわかっている。それが念頭にあるためか、止まっている方よりも、動いている方が有利だったのではないかと思った。
戦術がどうのこうのというのはよくわからないし、裏切りがあったというのも置いておいて、おしくらまんじゅうで押している方が勝っているようなイメージを持った。
押して押して押しまくって、そして笹尾山近くにあった決戦地跡。
ここは激戦になったらしい。
そうとしか言えない。道路と小さな丘と旗しかなくて、誰も通っていないし、誰も戦っていない。現在のふつうの景色。激戦とは程遠い。
戦だったとしても、どこもかしこも激しい合戦というわけでもないだろう。安全な場所もあれば、そうでない場所もあっただろう。
激戦というからには、大変な場所だったのだろう。
それでもよくわからない。そこがのどかすぎて……。
がんばって想像してみる。
三成を守るために戦う西軍と、手柄が欲しい東軍。その両軍が激しくぶつかり合う。
とはいえ、それから400年以上経ち、今も生きている人はいないのだから、彼らがどんなことを考えていたのかわからない。
本当にそういう状況だったのだろうか?
三成を守るためには戦わないかも? でも大将は守らなければいけない。大将が死んでしまったら自分たちは負けてしまう。
激戦地だったのだろう。
とにかく、ここで多くの人が亡くなったと看板に書いてあった。
ここで戦った人たちにとって、東軍が勝とうが西軍が勝とうが関係なかったのではないか。
東軍だろうと西軍だろうと、死んだ人がたくさんいた場所。
ここで命を落とした人がたくさんいたということも、看板や資料館がなければわからない。
それくらい、のどかな場所だった。
東軍だろうと西軍だろうと、大概の人は死にたくはないはず。死ぬのは痛いし、死んだ後にどこに行くのかもわからない。死んでしまったら、今、ここで何かしらを考えている自分がいなくなる。
それが嫌だと思うのは、今も昔も変わらないはず。生きて良い暮らしをしたいから戦に出たのに、命を落としてしまった人たちもいたはず。
東軍にいたとしても、死んでしまえば関係ない。
名が残っている人なら、その時にどんなに潔い最期だったかなどの逸話も残る。時代を超えて絵師やイラストレーターに、素敵なイラストとして描かれて甦ることもできる。その人たちが嬉しいかどうかはわからないが。
しかし、ここで亡くなったほとんどの人たちはそうではない。というか、そもそも戦争で亡くなる人のほとんどは名前が残らない。何万人戦って、何万人亡くなったという数字が伝わるだけ。
それすらも400年も経ってしまっていたら定かではない。
人影もなく、まわりは畑。
小高い丘があって、旗がたくさん立っていて、石碑があって看板があった。
明るい太陽の光が降り注いでいた。
あの天下分け目の関ケ原の激戦地に時を越えて私は立っていた。
かつてここでたくさんの人が戦って命を落とした。
そんなことを思いながら、スマホで写真を撮る。
それをメールで友人に送った。
桜を入れたかったが周囲にはなく、『関ケ原の戦いの激戦地跡に来ました』というただの報告メール。歴史で習った有名な場所に居ることを友人に自慢したいだけだった。
もう少し芸術的にしたかったけれど、石碑を入れて、その周辺の旗も入れてということをしていたら、ふつうの感じになった。
誰が撮っても同じかもしれない。
そう思った。
今は関ケ原の戦いで東軍が勝利して家康が江戸時代を作ったことがわかっている。それが念頭にあるためか、止まっている方よりも、動いている方が有利だったのではないかと思った。
戦術がどうのこうのというのはよくわからないし、裏切りがあったというのも置いておいて、おしくらまんじゅうで押している方が勝っているようなイメージを持った。
押して押して押しまくって、そして笹尾山近くにあった決戦地跡。
ここは激戦になったらしい。
そうとしか言えない。道路と小さな丘と旗しかなくて、誰も通っていないし、誰も戦っていない。現在のふつうの景色。激戦とは程遠い。
戦だったとしても、どこもかしこも激しい合戦というわけでもないだろう。安全な場所もあれば、そうでない場所もあっただろう。
激戦というからには、大変な場所だったのだろう。
それでもよくわからない。そこがのどかすぎて……。
がんばって想像してみる。
三成を守るために戦う西軍と、手柄が欲しい東軍。その両軍が激しくぶつかり合う。
とはいえ、それから400年以上経ち、今も生きている人はいないのだから、彼らがどんなことを考えていたのかわからない。
本当にそういう状況だったのだろうか?
三成を守るためには戦わないかも? でも大将は守らなければいけない。大将が死んでしまったら自分たちは負けてしまう。
激戦地だったのだろう。
とにかく、ここで多くの人が亡くなったと看板に書いてあった。
ここで戦った人たちにとって、東軍が勝とうが西軍が勝とうが関係なかったのではないか。
東軍だろうと西軍だろうと、死んだ人がたくさんいた場所。
ここで命を落とした人がたくさんいたということも、看板や資料館がなければわからない。
それくらい、のどかな場所だった。
東軍だろうと西軍だろうと、大概の人は死にたくはないはず。死ぬのは痛いし、死んだ後にどこに行くのかもわからない。死んでしまったら、今、ここで何かしらを考えている自分がいなくなる。
それが嫌だと思うのは、今も昔も変わらないはず。生きて良い暮らしをしたいから戦に出たのに、命を落としてしまった人たちもいたはず。
東軍にいたとしても、死んでしまえば関係ない。
名が残っている人なら、その時にどんなに潔い最期だったかなどの逸話も残る。時代を超えて絵師やイラストレーターに、素敵なイラストとして描かれて甦ることもできる。その人たちが嬉しいかどうかはわからないが。
しかし、ここで亡くなったほとんどの人たちはそうではない。というか、そもそも戦争で亡くなる人のほとんどは名前が残らない。何万人戦って、何万人亡くなったという数字が伝わるだけ。
それすらも400年も経ってしまっていたら定かではない。
人影もなく、まわりは畑。
小高い丘があって、旗がたくさん立っていて、石碑があって看板があった。
明るい太陽の光が降り注いでいた。
あの天下分け目の関ケ原の激戦地に時を越えて私は立っていた。
かつてここでたくさんの人が戦って命を落とした。
そんなことを思いながら、スマホで写真を撮る。
それをメールで友人に送った。
桜を入れたかったが周囲にはなく、『関ケ原の戦いの激戦地跡に来ました』というただの報告メール。歴史で習った有名な場所に居ることを友人に自慢したいだけだった。
もう少し芸術的にしたかったけれど、石碑を入れて、その周辺の旗も入れてということをしていたら、ふつうの感じになった。
誰が撮っても同じかもしれない。
そう思った。
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