桜旅 ~たぶん歴女の花見~

佳純

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神泉苑(京都)

考察

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 黙々と茶碗を洗って、プラゴミを袋につめていた。
 洗い物をしていたら思いついたことがある。

 どうして家康は神泉苑の北側を二条城にしてしまったのだろうか。どうして湧き水を二条城の堀の水にしてしまったのだろうか。やっていることと、全然ちがうことを考えていた。

 力のある水を自分の子孫が使うであろう城の守りにしたかった。神とつく泉の水があれば、神がかり的な力が備わるとでも思ったのだろうか。力のある水とはなんだろうと思いながら。

 秀吉ならそういうことをするかもしれない。会ったこともないのでイメージだが、金が好きで短絡的な秀吉なら、日本中の災難を除けることができる神泉苑の力を自身の城に使うということはやりそうだ。
 罰当たりとか考えなさそう。罰すらも利用しようと考えそうな気がする。

 戦国の覇者とも言うべき家康が、そんなことをするだろうか?
 200年は大きな戦のない江戸時代の基礎を作った家康が。

 神泉苑のHPを読んだ感じでは、神泉苑は今よりも大きな力を持っていたはず。疫病を払ったり飢饉や日照りのような災難をなくすために祈祷した場所で、きっとある程度の成果があったはず。
 京都だけではなく、日本全体の祈祷をしていたようだった。

 天皇の庭だった神泉苑。神社でも寺でもなく、庭である。それこそ、天皇が現人神だったからではなかったのか。
 そこに力があることを望まなかった。

 だから、それを自分たちの城の守りにしてしまった。
 朝廷からすれば屈辱だったのでは?

 平安時代、自分たちの下に居たはずの、ただの用心棒だった武士が、天皇のための庭の水を自分のための城に使うなど。

 私もなんて罰当たりなことをしたのだと思うけれど、それが目的だったのだろう。
 そういうことができる、彼らよりも上位の存在と知らしめたかった。
 そしてそうなっていた。

 京都でたかだか400年の新しい城、重要であるはずがない。それよりも古くて由緒正しい建物が山ほどある場所なのだから。

 江戸城の周辺を風水で固めたのと同じように、京の力は弱めてしまった。その力も徳川のために使おうとした。解体しようとしたけれど、それでも力がある場所だから、東寺に任せた。
 弘法大師の寺だから系統は近いだろうし。

 神泉苑の話は違和感がある。

 恐らく、江戸時代は家康を批判することができなかったから、秀吉が行ったこととされたのだろう。忠臣蔵と同じ理由ではないか。忠臣大石内蔵助と言えないから忠臣蔵。あれはただの仇討ちではなく、喧嘩両成敗にしなければいけなかったのに浅野内匠頭のみを死罪としたことへの批判だったらしい。

 現在は時代劇でテレビなどで観ることができるけれど、当時はけっこう厳しく上演されていたそうだ。
 しかし、それでも娯楽として人々から楽しまれていたのだから、人はしたたかである。



 やはり私は武士がたかがそんな理由で、神泉苑を縮小させたことは好きではない。
 そうする理由があったとしても嫌だ。

 だって、桜が綺麗だったから。
 銀色の光が美しかったから。
 煌びやかで優しい光であふれていたから。

 そんな場所を、たかが武士が用いるなど。
 やっていいことと悪いことがある。

 現在は、武士などいない。
 士農工商などなく、城など観光名所として人を集めるためだけの物になっている。

 静御前が舞って、きっとそれがとてもお素晴らしかったから善女龍王さまが雨を降らせてくれたであろう場所。
 何してくれてるんだ? と私は思う。


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