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いっぱい食べる君が好き3
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「・・・あの、明日、部活のやつと飯、食ってくる・・・」
言いづらそうに、真喜雄はつぶやいた。
「うん・・・。どうしたの?歯切れ悪いけど」
「・・・・めんどくせぇ」
心底嫌そうに呟いたもんだから、おかしくなってしまった。そういえば突っかかって来る1年生がいるって言ってたっけ。
「嫌なら断ったら?」
「もう何度も断ってたら、最近付き合い悪いって言われた。しかも田所に。たまには部内のやつと親睦も深めろって」
「あー・・・まあ、目に余るところがあったんじゃない?君、部活紹介の時も出なくて怒られてたじゃないか」
「入るやつはあんなもん見なくたって入る」
「たまには付き合いも大事だよ。大学入ったり社会人になったらもっと多くなるんだから」
「・・・透吾と飯行きたい」
「あ、僕明後日塾早く終わるよ。部活はどう?」
「・・・明後日なら多分、遅くならないと思う。明後日絶対だからな。な」
久しぶりに一緒に晩御飯を食べるな。
約束ね、と答えると、こくこくと頷いた。
************
次の日、真喜雄は渋々部活の人たちと食事に行った。今日は朝一でメッセージが来て、どうやら突っかかって来る1年生と一対一でお昼を食べなきゃならなくなったそうだ。
何でそんなことになったのかな。きっと機嫌が悪いだろうなと思ったら、案の定教室でもピリピリしていた。田所くんが苦笑いで僕を見る。
知らんぷりして、夜まで待った。塾は順調に終わりバスロータリーへ向かうと、イヤホンをつけた真喜雄がぼんやりと柱に寄りかかっていた。
「お待たせ、うわ!」
声をかけたらいきなり頭が肩に乗っかった。ぐりぐりと押し付けてくる。髪がくすぐったくて声を殺して笑うと、深いため息が聞こえた。
「お疲れ様。どうだった?」
「もー・・・面倒くさい・・・正直、うざい」
「あははは!なんか、レアだなーこんな真喜雄。ご飯行こう」
「肉がいい。昨日の夕飯最悪だった。ファストフードで何時間も・・・別にファストフードはいいんだけど、だらだら居座るのが嫌だった。疲れた」
「あのステーキ屋さん行く?僕もあまりだらだらいるのは好きじゃないから、よくわかるよ。人の噂話とか悪口とか、めんどくさいよね」
「うん。うるさいし。透吾といるのと全然意味が違うからつらかった。早く行こう」
早足でお店に移動し、真喜雄は前と同様にカレーをてんこ盛りにしてきた。なんだかつられてしまって、パスタを盛って僕も食べ始めた。真喜雄と付き合うようになってから、僕は食欲が増している。でも太らないんだから、いったいどうなってるんだろう。
「・・・おれ思ったんだけど、透吾、背伸びた?」
「・・・そう?来週身体測定だったよね」
「おれは変わってないだろうな。中学の時いきなり伸びたから」
「へー、小さかったの?」
「もともとそんな大きくはなかった。いきなり背が伸びたときはびっくりした。膝が痛くて寝れなくてさ」
「僕はそういうのなかったなあ。いつの間にかこのくらいになってたよ。そういえば今日のお昼はどうだったの?」
訊ねると、むすっと顔をしかめた。僕は苦笑いになる。
「・・・昨日、1年が突っかかってきて・・・良人がブチ切れたんだ。店の外出してこってり絞られて戻ってきたとき、1年が泣いてて」
「勘解由小路くんってそういう役目なんだ?」
「まあ・・良人、気に入らない時正論で詰めるから・・・。で、おれに突っかかってきた理由っていうのが・・おれがそいつのことを覚えてなくて悔しかったって、それだけらしい」
またなんとも、子供じみた理由・・・。
僕が言うのもなんだけど、真喜雄の記憶力はどうでもいいことに対してはかなり乏しい。つまり彼は真喜雄の中で興味のある対象ではなかったの
だろう。まぁ人間誰だってそうだよね。僕もそうなんだし。
本当に嫌で嫌でたまらないのだろう。珍しく饒舌な真喜雄に同情が隠せない。
「どこかで会ったことあるんだ?」
「・・・中学の頃の大会と・・・あと高校見学で部活も見学したときにおれに挨拶したらしいんだ。全く覚えてない」
「あー・・・それは覚えてないね・・・」
「大体、見学だってたくさん人がいるんだ。ほんの一瞬あいさつしただけのやつ、いちいち覚えてられないって・・。何で覚えてもらえてると思ったのかな・・・。普通そういう風に思うか?」
「うーん・・・すごーく憧れてる人にだったら、思っちゃうんじゃない?」
「・・・おれは透吾にそんなこと思わなかったけどな・・・。そもそも喋ってないし」
「え?僕覚えてたよ。すぐ思い出せたもん」
食べながら真喜雄を見ると、きょとんとした顔でスプーンを持っていた。
耳まで赤く染めて、そっか、と照れたように返事をした。
「もしかして彼を慰めるために、お昼食べに行ったの?」
「そう・・。後輩のケアも先輩の務めとか言われて、田所が押し付けてきた。面倒くさかった。卵焼き食べ損ねたし」
「あとでお肉少しあげるよ。それにしても大変だったね。子守も楽じゃないね」
「ずっとずっと憧れてて目標にしてたとか、試合も観に行ったとか言われて、それは嬉しいんだけど、いちいち泣くんだ」
「相当溜まってるね。今日は暴飲暴食して、デザートもたっぷり食べようね」
「そのつもり。もう二度と行くもんか。昼だって透吾と食べるんだ」
プリプリ怒りながら、焼き立てのステーキにかぶ入りついた。ついつい笑ってしまう。笑い事じゃないんだと言われたけど、笑ってしまう。
ここまで感情をあらわにする真喜雄も中々レアだった。
言いづらそうに、真喜雄はつぶやいた。
「うん・・・。どうしたの?歯切れ悪いけど」
「・・・・めんどくせぇ」
心底嫌そうに呟いたもんだから、おかしくなってしまった。そういえば突っかかって来る1年生がいるって言ってたっけ。
「嫌なら断ったら?」
「もう何度も断ってたら、最近付き合い悪いって言われた。しかも田所に。たまには部内のやつと親睦も深めろって」
「あー・・・まあ、目に余るところがあったんじゃない?君、部活紹介の時も出なくて怒られてたじゃないか」
「入るやつはあんなもん見なくたって入る」
「たまには付き合いも大事だよ。大学入ったり社会人になったらもっと多くなるんだから」
「・・・透吾と飯行きたい」
「あ、僕明後日塾早く終わるよ。部活はどう?」
「・・・明後日なら多分、遅くならないと思う。明後日絶対だからな。な」
久しぶりに一緒に晩御飯を食べるな。
約束ね、と答えると、こくこくと頷いた。
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次の日、真喜雄は渋々部活の人たちと食事に行った。今日は朝一でメッセージが来て、どうやら突っかかって来る1年生と一対一でお昼を食べなきゃならなくなったそうだ。
何でそんなことになったのかな。きっと機嫌が悪いだろうなと思ったら、案の定教室でもピリピリしていた。田所くんが苦笑いで僕を見る。
知らんぷりして、夜まで待った。塾は順調に終わりバスロータリーへ向かうと、イヤホンをつけた真喜雄がぼんやりと柱に寄りかかっていた。
「お待たせ、うわ!」
声をかけたらいきなり頭が肩に乗っかった。ぐりぐりと押し付けてくる。髪がくすぐったくて声を殺して笑うと、深いため息が聞こえた。
「お疲れ様。どうだった?」
「もー・・・面倒くさい・・・正直、うざい」
「あははは!なんか、レアだなーこんな真喜雄。ご飯行こう」
「肉がいい。昨日の夕飯最悪だった。ファストフードで何時間も・・・別にファストフードはいいんだけど、だらだら居座るのが嫌だった。疲れた」
「あのステーキ屋さん行く?僕もあまりだらだらいるのは好きじゃないから、よくわかるよ。人の噂話とか悪口とか、めんどくさいよね」
「うん。うるさいし。透吾といるのと全然意味が違うからつらかった。早く行こう」
早足でお店に移動し、真喜雄は前と同様にカレーをてんこ盛りにしてきた。なんだかつられてしまって、パスタを盛って僕も食べ始めた。真喜雄と付き合うようになってから、僕は食欲が増している。でも太らないんだから、いったいどうなってるんだろう。
「・・・おれ思ったんだけど、透吾、背伸びた?」
「・・・そう?来週身体測定だったよね」
「おれは変わってないだろうな。中学の時いきなり伸びたから」
「へー、小さかったの?」
「もともとそんな大きくはなかった。いきなり背が伸びたときはびっくりした。膝が痛くて寝れなくてさ」
「僕はそういうのなかったなあ。いつの間にかこのくらいになってたよ。そういえば今日のお昼はどうだったの?」
訊ねると、むすっと顔をしかめた。僕は苦笑いになる。
「・・・昨日、1年が突っかかってきて・・・良人がブチ切れたんだ。店の外出してこってり絞られて戻ってきたとき、1年が泣いてて」
「勘解由小路くんってそういう役目なんだ?」
「まあ・・良人、気に入らない時正論で詰めるから・・・。で、おれに突っかかってきた理由っていうのが・・おれがそいつのことを覚えてなくて悔しかったって、それだけらしい」
またなんとも、子供じみた理由・・・。
僕が言うのもなんだけど、真喜雄の記憶力はどうでもいいことに対してはかなり乏しい。つまり彼は真喜雄の中で興味のある対象ではなかったの
だろう。まぁ人間誰だってそうだよね。僕もそうなんだし。
本当に嫌で嫌でたまらないのだろう。珍しく饒舌な真喜雄に同情が隠せない。
「どこかで会ったことあるんだ?」
「・・・中学の頃の大会と・・・あと高校見学で部活も見学したときにおれに挨拶したらしいんだ。全く覚えてない」
「あー・・・それは覚えてないね・・・」
「大体、見学だってたくさん人がいるんだ。ほんの一瞬あいさつしただけのやつ、いちいち覚えてられないって・・。何で覚えてもらえてると思ったのかな・・・。普通そういう風に思うか?」
「うーん・・・すごーく憧れてる人にだったら、思っちゃうんじゃない?」
「・・・おれは透吾にそんなこと思わなかったけどな・・・。そもそも喋ってないし」
「え?僕覚えてたよ。すぐ思い出せたもん」
食べながら真喜雄を見ると、きょとんとした顔でスプーンを持っていた。
耳まで赤く染めて、そっか、と照れたように返事をした。
「もしかして彼を慰めるために、お昼食べに行ったの?」
「そう・・。後輩のケアも先輩の務めとか言われて、田所が押し付けてきた。面倒くさかった。卵焼き食べ損ねたし」
「あとでお肉少しあげるよ。それにしても大変だったね。子守も楽じゃないね」
「ずっとずっと憧れてて目標にしてたとか、試合も観に行ったとか言われて、それは嬉しいんだけど、いちいち泣くんだ」
「相当溜まってるね。今日は暴飲暴食して、デザートもたっぷり食べようね」
「そのつもり。もう二度と行くもんか。昼だって透吾と食べるんだ」
プリプリ怒りながら、焼き立てのステーキにかぶ入りついた。ついつい笑ってしまう。笑い事じゃないんだと言われたけど、笑ってしまう。
ここまで感情をあらわにする真喜雄も中々レアだった。
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