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番外編②相談相手
しおりを挟む「アザリ君、無理することないよ。」
玄関で抱き合ってキスをすること1時間。
予定していたお散歩も、日が傾いてしまっては、後日にした方がいいかもしれない。
「僕、爽子さんを外に出してあげたいのに。」
アザリ君は、眉を八の字にして泣きそうになっている。
私は魔女になってから1ヶ月、一度も外に出ていない。
今日、試しに散歩をしてみようということになったのだけど、アザリ君は玄関のドアを開けられなかった。
アザリ君は、不安なのだ。
私が、他の悪魔の魔力に惹かれてしまうのが。
だから、魔力がいっぱいになるまで抱いてくれても、キスで更に魔力を注入しようとしている。
「外に出なくても大丈夫だから。元気出して。」
今にも泣きそうな愛しい人を慰めようと、小さな子どもをあやすように頭を撫でたけれど、アザリ君は顔を曇らせたままだ。
外に出なくても大丈夫、というのは私の本当の気持ちだ。
アザリ君のお父さんが、お母さんを監禁していると聞いてから、覚悟は出来ていたから。
「でも、これじゃあ、爽子さんのご両親にも会いに行けない。」
「行かなくても、いいよ。」
大体にして、うちの両親とは私が実家を出てアパートに引っ越して来てから一度も会ってないし、電話もして来ない。
二人、仲が良くて多趣味で私に構っている暇がないのだろう。
しかも私には姉がいて、結婚して子どももいる。だからというわけではないけど、私が結婚しなくてもうるさく言ってこないのではないかと思っている。
「じゃあ、また今度にしよう。」
私はアザリ君の手を引いて部屋に戻った。
「爽子さんを幸せにしたいのに。自分が情けない。」
膝に顔を付け体育座りをしているアザリ君の肩は小刻みに揺れている。落ち込まないでと、安心させてあげたくて、包み込むように抱き締めた。
「私は、アザリ君がいれば幸せだよ。」
私はアザリ君が大好きだ。
だから悲しい顔なんてさせたくないのに、アザリ君は自分が許せないようだ。
「僕は卑怯者だ。」
卑怯者。
アザリ君を形容する時に一度も思ったことのない、言葉だ。
そんなことはない、と言うのは簡単だ。でも、私がそう言っても自分自身が『何故』と納得できていないのだから、何の意味もない気がする。
黙っていると、アザリ君は私の腕の中から顔を上げ、ままならないもどかしい気持ちを苦しげに吐露した。
「爽子さんは、魔力なしでは生きられない。だから僕は爽子さんに必要とされてる。でも魔力は僕だけが持っているわけじゃない。だけどこの部屋の中だけにいてくれるなら、爽子さんはずっと僕に頼ってくれる。……だからこの部屋から出ることが出来ないんだ。外に出れるようにするって言ったくせに、僕は口ばっかりの卑怯者だ。」
胸が痛くなる。
そんなに、悩まないで。
せめて少しでも楽にしてあげたい。そんな思いで選んだ言葉は――
「うん。それは、卑怯かもね。」
アザリ君は、涙で濡れた瞳を見開いた。
「でも、私もそうだったから。Sハイツにアザリ君が閉じ込められていた時、可哀相だとも思っていたけど、可愛いアザリ君が一緒にいてくれることを喜んでもいたの。私も、卑怯者。アザリ君と、おんなじだよ。」
彼は、顔をくしゃりと歪ませて、首を横に振った後、『ありがと』と言って私の髪の毛に顔を埋めた。
***********
アザリ君が悩んでいるのは知っていたし、私の慰めの言葉も余計に彼を追い詰めているのかもしれないとも思っていた。
だから、アザリ君が誰かに相談をすることは間違ってはいない。
問題は、誰に、相談したか、だ。
今、私はアザリ君と二人向き合うようにして座布団の上に座っている。
私達の視線の先には、床に置いてある、猿ぐつわと、透明な張型がある。
「未使用、だって。」
こんなものを持っている人物を私は一人しか知らない。
アザリ君は、青山くんの所に行って悩み相談をしたらしい。
彼等がいつの間に、そんなに仲良くなかったのかは分からないけど、青山くんは実に青山くんらしい解決法をアザリ君に提案したようだった。
「魔力を取り入れる所を塞げば?って青山さんに言われて、僕、目から鱗が落ちたんだ。これで散歩にチャレンジしてみようよ。」
瞳をキラキラとさせてアザリ君は私を見つめた。
猿ぐつわに、張型を装着してアザリ君と、散歩。
私はそれを想像してしまい、新たな扉が開きそうになった。
「いやいやいや。」
私は、頭の中の厭らしい妄想をかき消す為に否定をしたのだけれど、アザリ君のキラキラとした瞳が、段々と雲っていくのが分かって焦った。
「あのっ、違うの。その、…使った、ことがなくて、えっと。」
「……じゃあ、取り敢えず、してみる?」
アザリ君は、いつになく私を押し切るように事を進めた。
「そんなに息苦しくはない、って青山さん言ってたけど、何かあったら自分で外していいからね。」
私が頷くと、穴の空いたピンポン玉のような部分を口の中に入れ、ベルトを頭の後ろで固定した。
「大丈夫?」
アザリ君にそう言われ、頷いたのだけれど、下を向いた瞬間、ツーッと唾液が口の端から溢れた。
これは、ちょっと恥ずかしいかも。
慌てて、手で拭おうとしたらアザリ君にその手を掴まれた。
彼は、顔を私に近付け唾液をペロペロと舐め、「爽子さん、可愛い」と、嬉しそうに頬を赤らめた。
アザリ君の方が、何倍も可愛い。
そう言いたいけど、喋ることが出来ない。仕方ないのでアザリ君の背中に手を回し、素肌をつつっと撫でて合図を送った。
それは正しく理解され、私は押し倒された。
アザリ君は、私の咥えているボールギャグのベルト部分を撫でて『なんか、ドキドキする』と言って、とろん、とした色っぽい表情になった。
色気に誘われるように、ボールギャグをしていることも忘れキスをねだってしまう。深いキスができないのはもどかしいけど、アザリ君は沢山のキスを色んな場所にしてくれた。
唇は、私の胸の頂や谷間を何度も往復し、やがてクリトリスにも到達した。
体を合わせてから1ヶ月、毎日のように交わっているうちにアザリ君は、私の感じるところを完璧に把握していた。
あまりの快感に『あ』に濁点が付いたような、喘ぎ声しか口から出てこない。
アザリ君は、舌でクリトリスを刺激しながら、滴るほど濡れている中に指を入れて馴らし、男性器を模した透明なそれを、手に持った。
「……じゃあ、こっちも入れてみるね。」
アザリ君のより、大きくない。
だから、もうぐずぐずになっている私の中に抵抗なく入る筈だ。
「ゆっくり、入れるから、ね。」
にゅるり、と音がしそうなほど滑らかな動きでそれは入ってきた。張型はひやりとしており、体が震えた。
「爽子さん、気持ち、いいの?」
震えを別の意味に取ったらしく、少し悲しげな顔をして、私を覗き込んできた。
気持ちいいか、よくないかで言えば気持ち、いい。
でも、当たり前だけどアザリ君の方が百倍いい。
私は、これ以上ない程起ち上がっている彼自身に手を伸ばし、それを上下にしごいた。
温かくて、すべすべで、堅くて、いつも気持ちよくしてくれるアザリ君のものが、凄く愛おしくて『こっちの方がいい』ということを伝えたかった。
「あっ、だめ、…はぁっ、爽子さ、ん。」
アザリ君の切ない顔を見ていると、キュンとして、私は中に入っている張型を締め付けてしまう。すると行き場のなくなった愛液がびゅっと音をたてて外に溢れ出してしまった。
その様を目の当たりにしたアザリ君は、傷ついたような顔をして「やっぱり、僕、やだっ」と、叫んだ。
彼は私の中に入っている張型を抜き、ポイと投げ捨てた。
「爽子さんに、僕以外のものが入ってるのは、嫌だ。」
そう言い終わる前にアザリ君のものが入ってきて、私は歓喜に震えた。
それはすぐに子宮口に到達し、ぐりっと抉るように突かれ、快感で涙が溢れた。
涙と唾液を垂らしながら、くぐもった嬌声を上げ、あっという間に達した。アザリ君も私の中にびゅくびゅくと魔力をいっぱい吐き出した。
外になんか出れなくていい。
アザリ君がいれば、何にもいらない。
猿ぐつわを自分で外し、その想いを告げると、アザリ君は私を強く抱き締め『ごめん』と何度も言った。
こうして、私達の外出計画は頓挫した、かに思われた。
「爽子さんっ、僕のを中に入れたまま、外出しよう。青山さんが言ってたんだけど『駅弁』っていう体位があって――」
「…………えー?」
だから、そういう相談はせめてディルにして欲しい。と思いつつ、私は、新たな扉が開く音を聞いてしまった。
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変態さんばっかり登場してる気がするけど、可愛すぎる。
飽きずに読ませてくれる文章で堪能しました♥
堪能していただけて良かったです!
ありがとうございます💕
変態さんばっかり……確かに🤣
一番正常そうなのがアザリ君でしたが、恋人を監禁しちゃってますからね😉
本当に本当に萌えさせていただきました!
こんなにエモい小説に出会うの久しぶりでしたー🥰
もっと読みたいという気持ちが溢れて止まりません〜!!!
また番外編などあればめちゃくちゃ嬉しいです、、(第二部続編とかあったら死ぬほど飛び上がるほどうれしいです、、チラッ👀)
素敵な作品ありがとうございました😊
萌えていてだけて良かったです!
番外編や続編を期待してくださってありがとうございます。
(爽子がまだ絶賛監禁中なので)早く出してあげないとな~という気持ちと、いやいや、もうちょっとアザリ君に監禁されといてくれ、というドS心がせめぎあっております😅
またいつか書けたらいいな、という気持ちはありますので、ゆるーくお待ちいただけたら幸いです。
ご感想、ありがとうございました。
ムーンさんで読んでたのですが、アルファさんにも投稿されてて嬉しかったです!
アザリ君が可愛くて、めちゃくちゃ癒されます。
成体したアザリ君と再会した時の雰囲気がカッコ良くて好きだったけど、甘々なアザリ君も好きです。
爽子さんの思い込んだら精一杯頑張るところも好感が持てます。
あと、ムーンさんの時より読みやすくなっていたので、より読んでいて情景が浮かびやすくなりました。
ありがとうございます!
ムーンさんとこちら、二回も読んで頂けて嬉しいです!
しかも読みやすいと言って頂けて、コツコツ改稿した甲斐がありました(*´∀`)
アザリ君の一途で可愛らしい所、作者自身も癒されてます♪
突っ走りヒロインとのハッピーエンドまであと数話、最後まで楽しんでいただけましたら嬉しいです(^^)