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惑星イオ 光国編
第38話 アイアン・メイデン
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空たちは、イザーナとエリアを襲った冒険者六人、第一師団兵士五人、さらに商人二人を捕縛した。
捕らえられたキールと仲間たちは、イザーナが乗っている馬車右側のドアから、正面の距離を離した場所に集められ、その前にはリアムと空、そして少し後ろに雅閻魔と左鬼が立っていた。
リアムは冒険者ギルド総本部からランクA冒険者の一覧表で、キール達の姿絵を見ていたため、目の前にいる男こそ、キールとその仲間たちであると確信していた。
しかし、リアムが言葉をかけようとしたその時、キールの隣にいる男――ガレスがリアム達三人をただの冒険者だと勘違いし、勝ち誇ったように言い放った。
「そ、そんなに睨んで……おー、怖い怖い。さて、解放してもらおうか」
リアムは眉をひそめる。
「何を言っている?」
ガレスは鼻で笑い、虚勢を張るように語った。
「今、ハジメの町近郊の野営場付近には立ち入り禁止令が出てるんだぜ? だがな、このまま解放するなら……“彼のお方”に、ぼくがうまく取り合ってやってもいい。さもなきゃ、全員処刑されることになるが、それでもいいのか?」
仲間たちも薄ら笑いを浮かべ、ガレスの後に続く。
リアムはその傲慢な態度に冷たい声で返した。
「“彼のお方”とは誰だ」
ガレスはにやりと笑った。
「そのうち、嫌でも分かるさ」
「……そうか、それは残念だ」
リアムが下がり小さく手を振ると、雅閻魔が一歩前に出る。
「雅様、お願いします」
「うむ!」
少女の姿をしたその存在に、ガレスは眉をひそめた。
「なんだその……し、少女は?」
「わらわか?」
「な、なんだその偉そうな口ぶりは! お前なんぞに俺を満足させられるわけねぇだろ! さっさと解放して、エリアちゃんを寄越せ!」
雅閻魔はあきれ顔で小さく首を振ると、口元に笑みを浮かべて宣言した。
「うむ、その下卑た顔なかなかじゃな。では――ひとつ、面白いものをやろう。きっと満足してくれるぞ」
「はっ?」
「召喚――アイアン・メイデン・改!」
雅閻魔の号令と共に、地獄の扉が開き、現れたのは女性型のフルプレートアーマーだった。まるで生きているかのように動き、その内部には魔法の棘が自在に出入りする構造。大きさも重量も自在に変化し、多種多様な拷問機能を備えた、地獄の刑具――アイアン・メイデンその改良型である。
ガレスはその異様な存在にたじろぎながらも、強がって叫んだ。
「なんだその気味の悪い鉄の人形は!」
「装備」
雅閻魔の一言で、アイアン・メイデン改はガレスに歩み寄り、その背後から彼を包み込むように装着された。一見すると何も変化はない。だが、実際にはその拷問具が彼の全身を支配している。
「な、なにも起きてないじゃないか……こけおどしだな、こんなの効くわけが――」
「黙れ」
雅閻魔の冷たい声が響いたとたん、ガレスはアイアン・メイデン改に無理やり口を開かされ、声を発することができなくなった。目を見開き、震える彼の姿に周囲の空気が一変する。
「小物には興味ないのじゃ。――召喚、アイアン・メイデン改!」
さらに五体のアイアン・メイデン改が召喚され、キールとその仲間たち四名に装着していく。
空はその様子を見届けると、冒険者たちを拘束していたグラビティビットを解除し、エレノアもアイスピラーを解いた。アイアン・メイデン改を装備されたキールたちに、今度は別の恐怖が待っていた。
六人はアイアン・メイデン改によって正座させられて、雅閻魔が質問をする。
「お主がリーダーか?」
キールは沈黙を守る。
「先程のことを見て、無駄だと分かったじゃろうに。お主がリーダーか?」
「……その通りです!」
その返答は、キールの意思ではなかった。アイアン・メイデン改が、キールの口を強制的に操って言わせたのだ。キールはたまらず、苦しげに叫ぶ。
「クソッ……誰だお前は!」
その問いに、すかさず声が上がる。
「よく聞いてくれた!」
左鬼が一歩前に出て、誇らしげに胸を張った。
「このお方をどなたと心得る! 泣く子も黙る地獄の大王、雅閻魔大王様であらせられるぞ~! 頭が高い、控え~控えおろ~!」
キールは唖然とし、周囲を見渡す。空も、リアムも、美加までもが頭を垂れている。
「閻魔大王……? 嘘だろ……!」
「しょ……証拠を見せてみろ! どうせ地獄なんて空想上の概念だろうが!」
雅閻魔はくすりと笑みを浮かべ、左鬼を振り返った。
「左鬼や、満足したか?」
「大満足です! 空殿、リアム殿、美加殿、ご協力感謝する!」
「では、話を続けようかの。実際に“地獄”を見せる方が早いじゃろう……じゃがその前に、姿勢を整えてもらおうかの。――空気椅子!」
その命令とともに、アイアン・メイデン改がキールたちの体を無理やり立ち上がらせ、半円を描くように並べさせ、まるで“その場で椅子に座っている”のような姿勢を取らせた。
現在の人の配置は、キール達から見ると正面離れた場所にイザーナとエリアとエレノアがいる馬車。正面近くに雅閻魔。
右側にリアム、空、左鬼、少し離れて諜報員B子と商人二人。
左側にアイスピラーで凍ったままの第一師団兵士五人と美加がいる。
そしてキール達に、新たなる“地獄”が、今、開かれようとしていた。
捕らえられたキールと仲間たちは、イザーナが乗っている馬車右側のドアから、正面の距離を離した場所に集められ、その前にはリアムと空、そして少し後ろに雅閻魔と左鬼が立っていた。
リアムは冒険者ギルド総本部からランクA冒険者の一覧表で、キール達の姿絵を見ていたため、目の前にいる男こそ、キールとその仲間たちであると確信していた。
しかし、リアムが言葉をかけようとしたその時、キールの隣にいる男――ガレスがリアム達三人をただの冒険者だと勘違いし、勝ち誇ったように言い放った。
「そ、そんなに睨んで……おー、怖い怖い。さて、解放してもらおうか」
リアムは眉をひそめる。
「何を言っている?」
ガレスは鼻で笑い、虚勢を張るように語った。
「今、ハジメの町近郊の野営場付近には立ち入り禁止令が出てるんだぜ? だがな、このまま解放するなら……“彼のお方”に、ぼくがうまく取り合ってやってもいい。さもなきゃ、全員処刑されることになるが、それでもいいのか?」
仲間たちも薄ら笑いを浮かべ、ガレスの後に続く。
リアムはその傲慢な態度に冷たい声で返した。
「“彼のお方”とは誰だ」
ガレスはにやりと笑った。
「そのうち、嫌でも分かるさ」
「……そうか、それは残念だ」
リアムが下がり小さく手を振ると、雅閻魔が一歩前に出る。
「雅様、お願いします」
「うむ!」
少女の姿をしたその存在に、ガレスは眉をひそめた。
「なんだその……し、少女は?」
「わらわか?」
「な、なんだその偉そうな口ぶりは! お前なんぞに俺を満足させられるわけねぇだろ! さっさと解放して、エリアちゃんを寄越せ!」
雅閻魔はあきれ顔で小さく首を振ると、口元に笑みを浮かべて宣言した。
「うむ、その下卑た顔なかなかじゃな。では――ひとつ、面白いものをやろう。きっと満足してくれるぞ」
「はっ?」
「召喚――アイアン・メイデン・改!」
雅閻魔の号令と共に、地獄の扉が開き、現れたのは女性型のフルプレートアーマーだった。まるで生きているかのように動き、その内部には魔法の棘が自在に出入りする構造。大きさも重量も自在に変化し、多種多様な拷問機能を備えた、地獄の刑具――アイアン・メイデンその改良型である。
ガレスはその異様な存在にたじろぎながらも、強がって叫んだ。
「なんだその気味の悪い鉄の人形は!」
「装備」
雅閻魔の一言で、アイアン・メイデン改はガレスに歩み寄り、その背後から彼を包み込むように装着された。一見すると何も変化はない。だが、実際にはその拷問具が彼の全身を支配している。
「な、なにも起きてないじゃないか……こけおどしだな、こんなの効くわけが――」
「黙れ」
雅閻魔の冷たい声が響いたとたん、ガレスはアイアン・メイデン改に無理やり口を開かされ、声を発することができなくなった。目を見開き、震える彼の姿に周囲の空気が一変する。
「小物には興味ないのじゃ。――召喚、アイアン・メイデン改!」
さらに五体のアイアン・メイデン改が召喚され、キールとその仲間たち四名に装着していく。
空はその様子を見届けると、冒険者たちを拘束していたグラビティビットを解除し、エレノアもアイスピラーを解いた。アイアン・メイデン改を装備されたキールたちに、今度は別の恐怖が待っていた。
六人はアイアン・メイデン改によって正座させられて、雅閻魔が質問をする。
「お主がリーダーか?」
キールは沈黙を守る。
「先程のことを見て、無駄だと分かったじゃろうに。お主がリーダーか?」
「……その通りです!」
その返答は、キールの意思ではなかった。アイアン・メイデン改が、キールの口を強制的に操って言わせたのだ。キールはたまらず、苦しげに叫ぶ。
「クソッ……誰だお前は!」
その問いに、すかさず声が上がる。
「よく聞いてくれた!」
左鬼が一歩前に出て、誇らしげに胸を張った。
「このお方をどなたと心得る! 泣く子も黙る地獄の大王、雅閻魔大王様であらせられるぞ~! 頭が高い、控え~控えおろ~!」
キールは唖然とし、周囲を見渡す。空も、リアムも、美加までもが頭を垂れている。
「閻魔大王……? 嘘だろ……!」
「しょ……証拠を見せてみろ! どうせ地獄なんて空想上の概念だろうが!」
雅閻魔はくすりと笑みを浮かべ、左鬼を振り返った。
「左鬼や、満足したか?」
「大満足です! 空殿、リアム殿、美加殿、ご協力感謝する!」
「では、話を続けようかの。実際に“地獄”を見せる方が早いじゃろう……じゃがその前に、姿勢を整えてもらおうかの。――空気椅子!」
その命令とともに、アイアン・メイデン改がキールたちの体を無理やり立ち上がらせ、半円を描くように並べさせ、まるで“その場で椅子に座っている”のような姿勢を取らせた。
現在の人の配置は、キール達から見ると正面離れた場所にイザーナとエリアとエレノアがいる馬車。正面近くに雅閻魔。
右側にリアム、空、左鬼、少し離れて諜報員B子と商人二人。
左側にアイスピラーで凍ったままの第一師団兵士五人と美加がいる。
そしてキール達に、新たなる“地獄”が、今、開かれようとしていた。
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