難攻不落の精強軍隊 〜異世界転移してスローライフかと思ったら、乱世が舞台だったので世界統一を目指します〜

尾関 天魁星

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【第一章】第一次セトラ村攻防戦

【第十三話】撤退

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 櫓にいた自警団の大人が、敵の歩兵がすぐそこまで迫っていることを知らせた。
 どうやら、退いた騎馬隊と合流しているようだ。


「そろそろ潮時だ、みんな退避するぞ!」


 カシュカが、自警団のみんなに指示を出す。


 怪我人も十人以上いて、それらは無傷の者が支えながら動くようだ。


 櫓にいた人も、指示を受けるとすぐに降りてきた。


「歩兵の隊列に、火がちらりと見えた。多分、火矢を放つつもりだろう」


 見張りの人が、カシュカにそう報告していた。


「そうか、ならばここはすぐに火に包まれる。急ぐぞ」


 もうこの村は、焼かれるというのか。


 納得出来ないという思いが、僕にはあった。


「おい、カイト! お前も早く行くぞ」


「カシュカ、もうこの村は諦めるしかないのか」


「何を言っている。俺たちは十分に耐えたのだ。あとは、生き延びることを考えろ」


 理不尽ではないのか。


 テジムは、大きな国家が小さな街や村を好き勝手にするのなんてよくある事だと言っていた。


 そんな事、許されるはずはない。


 ここで僕たちが戦うことを諦めたら、王国軍はさらに強硬になり、他の街や集落はされるがままになってしまうだろう。


 もう、ほとんどの団員が村を離れていた。


 カシュカも、馬にまたがって僕が乗るのを待っている。


「カシュカ、僕は自分で馬に乗るよ」


 僕はそう言い、王国軍の騎馬隊が残していった馬に跨った。


 馬の乗り方は、この三ヶ月で覚えたのだ。


「よし、俺たちが最後だ。行くぞ」


 カシュカが、馬を疾駆させた。


 それを束の間見送ってから、僕は逆方向に馬を向ける。


 そして、王国軍がいる方向に駆けたのだった。


◆◆◆◆◆


 一緒に駆けてくるはずのカイトが、居なくなっていた。


 カシュカは村から出た所で一度馬を止め、振り返った。


 カイトの姿は無い。


「まさかあいつ、敵に向かったのか」


 敵の騎馬隊は損害を受けているとはいえ、歩兵も合わせれば三百以上はいるのだ。


 そんな相手にたった一騎で立ち向かうなど、ただ死ににいくようなものだ。


 すでに、他の団員は山に入っている。


 呼び戻した所で、出来ることは何も無かった。


 しかし、カイトを置き去りには出来ない。


 自分たちが騎馬隊に囲まれている時、カイトは助けに来てくれたのだ。


 そして、信じられないような身体能力で敵騎を蹴散らしていた。
 しかも馬にも乗らず、生身でだ。


 カイトの存在は、今後もセトラ村にとって無くてはならないものになるだろうと、カシュカは思った。


 今は無理でも、セトラ村の復興には必要な人物だ。




 カシュカは覚悟を決めて、カイト救援のために馬を駆けさせた。
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