クラスカースト最下位の僕、ジョブが【レジスタンス】だったので追放されました。でもなんかムカつくので実際に反乱軍を組織して国家転覆を目指します

尾関 天魁星

文字の大きさ
39 / 50
【第四章】

【第三十九話】瀕死の凍行

しおりを挟む
 僕はもう、死んでしまっているのだ、と度々思った。
 
 
 吹雪の中、もう何時間も歩き続けている。
 
 
 しかも上半身は裸で、ヘルベルトとザイフェルトの二人を担いでいるのだ。
 
 
 非力な僕に、こんな事が出来るわけがない。
 
 
 だから僕はもう、死んでいるのだ。
 
 
「ユキト、殿・・・」
 
 
 かすかに、ヘルベルトがそう呟いたのが聞こえた。
 
 
 夢かと思ったが、肩越しに鼓動を感じる。
 
 
 ひどく遅いが、心臓はまだ生きている。
 
 
 不思議と、全身に力がみなぎってきた。
 
 
 折れかけていた精神が、再び立った。
 
 
 寒い。
 
 
 痛い。
 
 
 空腹。
 
 
 辛いが、それは生きている証なのだ。
 
 
 生きている。
 
 
 常に、そう思うことにした。
 
 
 とうに身体の限界を超えている。
 
 
 しかし、護身術の稽古をしている時、ヘルベルトは言っていた。
 
 
 人には確かに限界というものが存在している。しかしそれは、自分が思う限界よりもさらに先にあるものだと。
 
 
 限界だと思っても、それは本当の限界ではない。
 
 
 ただの精神論かと思っていたが、今なら実感している。
 
 
 限界を超えても、実際に身体は動いているのだから。
 
 
 死域とは、こういう事なのかもしれない。
 
 
 雲が、明るくなってきた。
 
 
 陽が、登り始めたのだ。
 
 
 僕は夜通し歩き続けたみたいだった。
 
 
 雪も、次第に弱くなってくる。
 
 
「あれは・・・」
 
 
 思わず声に出していた。
 
 
 目の前に、小屋がある。
 
 
 ヘルベルトが言っていた山小屋だろうか。
 
 
 しかし、中から人の気配がする。
 
 
 追っ手が先回りでもしたのかもしれない。
 
 
 もしそうなら、どうする事も出来ない。
 闘う力も、逃げる力も残っていないのだ。
 
 
 二人を抱えたまま立ち尽くしていると、しばらくして扉が開いた。
 
 
 出てきたのは、白い髭を蓄えた老人だった。
 
 
 敵ではない。
 
 
 それが分かった途端、僕は膝から崩れ落ちた。
 
 
 老人が雪をかき分けて向かってくるのを視界の端で捉え、僕の意識はなくなった。
 
 
 ◇◇◇◇◇
 
 
 前方に、数万の王国軍が布陣していた。
 
 
 広い原野である。
 
 
 対してこちらも、万を超える大軍が陣を構えていた。
 
 
 僕は白馬に乗り、先頭に立っている。
 
 
 陽が、中天に差し掛かる。
 
 
 王国軍が、前進を始めた。
 
 
 五百メートルほどの距離だろうか。
 
 
 僕は腰に差した剣を抜き放ち、気合いを上げた。
 
 
 すぐ後ろに構える大軍も、気合いを上げる。
 
 
 空気が、大地が、揺れていた。
 
 
 地震ではない。
 
 
 同志たちの、気合いである。
 
 
 駆け出す。
 
 
 敵の先頭は目の前だった。
 
 
 同志たちも、僕に続いて駆け出した。
 
 
 軍と軍が、ぶつかる。
 
 
 衝撃は凄まじく、ぶつかった一瞬で何十、何百という命が散っていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 これが僕がしたかった戦なのだと、心から思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

神様の失敗作ガチャを引かされた俺(元SE)、ハズレ女神たちと寂れた異世界を「再創生(リ・ジェネシス)」する

月下花音
ファンタジー
過労死した社畜SE・天野創が転生したのは、創造神に見捨てられた「廃棄世界」。 そこで待っていたのは、ポンコツすぎて「失敗作」の烙印を押された三人の女神たちだった。 「麦が生えない? ……ああ、これ土壌パラメータの設定ミスですね」 「家が建たない? ……設計図(仕様書)がないからですよ」 創は持ち前の論理的思考と管理者権限を駆使し、彼女たちの「バグ(欠点)」を「仕様(個性)」へと書き換えていく。 これは、捨てられた世界と女神たちを、最強の楽園へと「再創生」する物語。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...