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【第一章】 新生活編
【第六話】 宿場町オーザリー
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宝石を日光に当てて時間を置いてみたが、やはりその宝石はひんやりと冷たかった。
多分、氷くらい冷たい。
「んー、どういう事なんだろう・・・・・・」
さっきから、訳が分からないことばかりが起きている。
もしかしたら、これこそが僕の【宝石使い】の能力なのかもしれない。
物は試しということで、他の宝石にも触れてみることにした。
布袋には他にも四つの宝石が入っていて、赤や黄色など、色はバラバラだ。
池の水を凍らせた【アパタイト】という宝石は僕の拳くらいの大きさがあったけれど、他の宝石の大きさはバラバラで、同じような大きさの物や、親指の爪くらいの物もあった。
僕は、その全てに触れていった。
赤色の宝石は【マディラ】。
黄色の宝石は【シトリン】。
濃い青色をした宝石は【カイヤナイト】。
そして緑色に輝くのが【ペリドット】。
それぞれの宝石の名前は分かったけれど、何が出来るのかは分からなかった。
宝石や鉱石に詳しい人なら、何か分かるかもしれないが。
時間も時間だったので、僕は出発することにした。
宝石を布袋に戻し、【アパタイト】だけは手で持つことにした。
この宝石はずっと冷たくて、火照った身体に当てると気持ちが良かった。
◇◇◇
日が落ちかけた頃になって、ようやく宿場町の【オーザリー】に到着した。
宿場町というだけあって、街の通りには宿屋や民宿が多かった。
夕方だけど通りを歩く人は多いし、店はまだ開いている。
ベルテ村の何倍も広い街だけど、この街ですら、辺境にある小さな街だという。
王都ともなると、想像も出来ない広さがあるのだろう。
まぁ、行く機会は無いとは思うけど。
宝石を持って歩いていると怪しいかなと思い、布袋に戻そうとしたら、何だか宝石が小さくなっていることに気付いた。
もしかしたら、能力を使うと宝石は小さくなっていくものかもしれない。
とにかく、人目に触れないように【アパタイト】をしまった。
暗くなる前に、まずは宿を取らなければならなかった。
所持金は三万デナリオンもあったけど、宿代や食事、生活に必要な物に使うとなると、無駄遣いは出来ない。
大通りには敷居の高い宿屋が多いような気がした為、細い路地を歩いて宿屋を探す事にした。
日がかなり沈んでいるので、路地は結構暗かった。
「早く見つけなきゃ・・・・・・」
「いい加減にしてください! こっちは迷惑なんですよ!」
早足で路地を歩いていると、すぐ近くで男性の大声が聞こえてきた。
何か揉め事でもあったのだろうか。
あまり面倒事には関わりたくないけれど、この路地は一本道だった。
避けて通ろうにも、来た道を戻るしかない。
仕方なく、僕は何も見ていないという感じを出して通り過ぎることした。
「良いですか! 露店を開くなら、もっと人が通る所でやったら良いじゃないですか!」
男性の怒鳴り声が、すぐ近くから聞こえてくる。
多分、氷くらい冷たい。
「んー、どういう事なんだろう・・・・・・」
さっきから、訳が分からないことばかりが起きている。
もしかしたら、これこそが僕の【宝石使い】の能力なのかもしれない。
物は試しということで、他の宝石にも触れてみることにした。
布袋には他にも四つの宝石が入っていて、赤や黄色など、色はバラバラだ。
池の水を凍らせた【アパタイト】という宝石は僕の拳くらいの大きさがあったけれど、他の宝石の大きさはバラバラで、同じような大きさの物や、親指の爪くらいの物もあった。
僕は、その全てに触れていった。
赤色の宝石は【マディラ】。
黄色の宝石は【シトリン】。
濃い青色をした宝石は【カイヤナイト】。
そして緑色に輝くのが【ペリドット】。
それぞれの宝石の名前は分かったけれど、何が出来るのかは分からなかった。
宝石や鉱石に詳しい人なら、何か分かるかもしれないが。
時間も時間だったので、僕は出発することにした。
宝石を布袋に戻し、【アパタイト】だけは手で持つことにした。
この宝石はずっと冷たくて、火照った身体に当てると気持ちが良かった。
◇◇◇
日が落ちかけた頃になって、ようやく宿場町の【オーザリー】に到着した。
宿場町というだけあって、街の通りには宿屋や民宿が多かった。
夕方だけど通りを歩く人は多いし、店はまだ開いている。
ベルテ村の何倍も広い街だけど、この街ですら、辺境にある小さな街だという。
王都ともなると、想像も出来ない広さがあるのだろう。
まぁ、行く機会は無いとは思うけど。
宝石を持って歩いていると怪しいかなと思い、布袋に戻そうとしたら、何だか宝石が小さくなっていることに気付いた。
もしかしたら、能力を使うと宝石は小さくなっていくものかもしれない。
とにかく、人目に触れないように【アパタイト】をしまった。
暗くなる前に、まずは宿を取らなければならなかった。
所持金は三万デナリオンもあったけど、宿代や食事、生活に必要な物に使うとなると、無駄遣いは出来ない。
大通りには敷居の高い宿屋が多いような気がした為、細い路地を歩いて宿屋を探す事にした。
日がかなり沈んでいるので、路地は結構暗かった。
「早く見つけなきゃ・・・・・・」
「いい加減にしてください! こっちは迷惑なんですよ!」
早足で路地を歩いていると、すぐ近くで男性の大声が聞こえてきた。
何か揉め事でもあったのだろうか。
あまり面倒事には関わりたくないけれど、この路地は一本道だった。
避けて通ろうにも、来た道を戻るしかない。
仕方なく、僕は何も見ていないという感じを出して通り過ぎることした。
「良いですか! 露店を開くなら、もっと人が通る所でやったら良いじゃないですか!」
男性の怒鳴り声が、すぐ近くから聞こえてくる。
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