座敷童様と俺

渡辺 佐倉

文字の大きさ
4 / 31

1-4

しおりを挟む
 この子は本当に人じゃないという事なのだろうか。
 ここまで手の込んだいたずら、というのも一瞬考えたがそれを否定する。

 普通こんな小さな子を使って火花が飛び散る様ないたずらは、普通の親は許さない。
 当たり前の事だ。

 新興宗教を信じさせるためのだとしたら最悪だとは思うけれど、これで俺は教義の何かを知って畏怖するのかというと、そうでもない。

 であれば、少なくともこの子供の自称通り、座敷童の様な何かなのだろう。

「やっと分かってくれたかい?
門脇の人間は物覚えがよくて助かる」

 座敷童はそう言うと元居た部屋に戻っていく。

* * *

 親戚は俺と座敷童が部屋に戻ると居心地が悪そうに部屋にいた。
 けれど、すぐに一人で帰ってしまった。
 部屋には俺と子供の二人きりだ。

「で、俺は世話って何をすれば……」
「適当に飯と、後は話し相手あたりか?」

 座敷童はそう言うが、本人もそれほど何か希望があるようには思えなかった。

「そもそも、別に飯なんか食わなくても死にやしねーんだ。
化け物は便利だろ?」

 そう座敷童は笑う。

「他の、なんだっけ? 質問ってやつはあるかい?」

 座敷童がいうが、ほとんど何も思いつかなかった。
 けれど一つだけ気になっていることがある。

「あんた、名前は?」

 きょとんと座敷童がこちらをみた。
 妖怪に名前を聞くのは駄目だったのだろうか。それとも妖怪には名前が無いのだろうか。

 謝った方がいいかと思った。

「……彦三郎」

 静かに座敷童が言う。
 それが彼の名なのだろう。

「彦三郎さん。よろしくお願いします」
「おう」

 大の大人が子供相手に頭を下げる姿は滑稽に思えたけれど、考えるのを辞めた

「さて、さっそくなんだけどな」


 彦三郎が再び口を開いた。

「……ここの部屋の掃除頼んだからな」


 食事と話相手だけじゃなかったのかよという突っ込みは飲み込んで、分かりましたと答えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

処理中です...