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伯爵家の人々【視点変更】
【伯爵家当主視点】
娘のアイリスが突然獣人国に連れ去られた。
そう聞いた時の絶望を今も家族皆が覚えている。
抗議しようとしたところ止められた。
陛下自らのご判断だったと、だからここは飲み込めと。
娘はあの竜王様の番となったのだと。
娘が幸せになったのだそれを祝福するのが親だろうと。
私にはどうしてもそれを飲み込むことが出来なかった。
けれど貴族の道理がそうなことも分かる。
他国の王に嫁ぐのは名誉なことだと陛下や大臣達は言いたいのだろう。
「戦争をしたいのか?!」
そう言われれば引き下がるしかない。
獣人国は国力は圧倒的に大きい。
私は娘を気遣う手紙を送るにとどめるしかなかった。
その手紙には返事はない。
本当に娘は幸せにやっているのか。
獣人国の竜王が結婚するという話を聞いた。
我が家に招待状は来ない。
王宮に確認をすると何やら濁された。
追及すると竜王が婚姻するのは娘ではないらしい。
娘は獣人国に嫁ぐために行ったのではなかったのか。
手紙を書いた。
贈り物をした。
けれど返事はないし、戻って来てしまったものもある。
何かがおかしいと思った。
そもそも娘が貴族として大切に扱われていたとしたら出身国であるこの国にも利がある筈だ。
そのような兆候は何もない。
共同の事業が始まる気配も交易が盛んになる気配も、そして娘の話も何も聞かない。
娘が幸せにしているというのは嘘なのか。
ツテを使って調べた。
獣人と人が協力して暮らす国もあるのでその国経由で信頼のできる獣人を雇い獣人国の王家を探らせた。
調査結果は酷いものだった。
妻は寝込んでしまった。
娘は獣人国で貴族として扱われないどころか、これでは人として扱われないのと同然の扱いをされていた。
これをこの国は知っているのだろうか。
陛下は竜王の結婚式に招待されたはずだった。
であれば知っているという事だ。
知っていて我が家に保障すらしないという事だ。
金をもらって納得できるかといわれればそれは無理な話だが、詫びをする気持ちがあるかそれすらないのかは大きい。
この国は生贄として我が娘を獣人国に差し出してそのまま放置しているという事だ。
国として我が家を切り捨てるというのならきちんと実を取らねばならないけれどその気配さえない。
無能のやることだ。
それがこの国に見切りをつけた瞬間だった。
何とか娘を救い出さねばならない。
せめて一目会って、あの娘が孤独ではない、我々が付いていると知らせなければならない。
けれどさすがは大国。
娘には常に複数の監視役が付いていて近づけそうにない。
孤独な娘は不幸にも子を失ったとも聞いた。
娘の精神がまだもっている間にと手をこまねいている間に時間だけが過ぎてしまう。
そんな中娘が絵本を喜んでいるという話まで伝え聞く。
ついに娘が壊れてしまったのではないかと思った。
番を失うと獣人はその喪失感に狂うか衰弱しやがて死ぬという。
それなのに、何故竜王はこの状況を作り出しているのか。
死にたい訳ではなさそうだった。
という事は彼が必要としているのは……。
生きている肉であればどうでもいいという事だ。
いよいよ許せない気持ちが膨らむ。
そんな時に声をかけてきた人がいた。
それが商人だったりしたら足元を見に来たなと思ったかもしれない。
けれどその人は……、その方はそういう身分の方ではなかった。
娘のアイリスが突然獣人国に連れ去られた。
そう聞いた時の絶望を今も家族皆が覚えている。
抗議しようとしたところ止められた。
陛下自らのご判断だったと、だからここは飲み込めと。
娘はあの竜王様の番となったのだと。
娘が幸せになったのだそれを祝福するのが親だろうと。
私にはどうしてもそれを飲み込むことが出来なかった。
けれど貴族の道理がそうなことも分かる。
他国の王に嫁ぐのは名誉なことだと陛下や大臣達は言いたいのだろう。
「戦争をしたいのか?!」
そう言われれば引き下がるしかない。
獣人国は国力は圧倒的に大きい。
私は娘を気遣う手紙を送るにとどめるしかなかった。
その手紙には返事はない。
本当に娘は幸せにやっているのか。
獣人国の竜王が結婚するという話を聞いた。
我が家に招待状は来ない。
王宮に確認をすると何やら濁された。
追及すると竜王が婚姻するのは娘ではないらしい。
娘は獣人国に嫁ぐために行ったのではなかったのか。
手紙を書いた。
贈り物をした。
けれど返事はないし、戻って来てしまったものもある。
何かがおかしいと思った。
そもそも娘が貴族として大切に扱われていたとしたら出身国であるこの国にも利がある筈だ。
そのような兆候は何もない。
共同の事業が始まる気配も交易が盛んになる気配も、そして娘の話も何も聞かない。
娘が幸せにしているというのは嘘なのか。
ツテを使って調べた。
獣人と人が協力して暮らす国もあるのでその国経由で信頼のできる獣人を雇い獣人国の王家を探らせた。
調査結果は酷いものだった。
妻は寝込んでしまった。
娘は獣人国で貴族として扱われないどころか、これでは人として扱われないのと同然の扱いをされていた。
これをこの国は知っているのだろうか。
陛下は竜王の結婚式に招待されたはずだった。
であれば知っているという事だ。
知っていて我が家に保障すらしないという事だ。
金をもらって納得できるかといわれればそれは無理な話だが、詫びをする気持ちがあるかそれすらないのかは大きい。
この国は生贄として我が娘を獣人国に差し出してそのまま放置しているという事だ。
国として我が家を切り捨てるというのならきちんと実を取らねばならないけれどその気配さえない。
無能のやることだ。
それがこの国に見切りをつけた瞬間だった。
何とか娘を救い出さねばならない。
せめて一目会って、あの娘が孤独ではない、我々が付いていると知らせなければならない。
けれどさすがは大国。
娘には常に複数の監視役が付いていて近づけそうにない。
孤独な娘は不幸にも子を失ったとも聞いた。
娘の精神がまだもっている間にと手をこまねいている間に時間だけが過ぎてしまう。
そんな中娘が絵本を喜んでいるという話まで伝え聞く。
ついに娘が壊れてしまったのではないかと思った。
番を失うと獣人はその喪失感に狂うか衰弱しやがて死ぬという。
それなのに、何故竜王はこの状況を作り出しているのか。
死にたい訳ではなさそうだった。
という事は彼が必要としているのは……。
生きている肉であればどうでもいいという事だ。
いよいよ許せない気持ちが膨らむ。
そんな時に声をかけてきた人がいた。
それが商人だったりしたら足元を見に来たなと思ったかもしれない。
けれどその人は……、その方はそういう身分の方ではなかった。
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