幸福の神様

渡辺 佐倉

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土地神様2

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わらび餅は和菓子屋を数軒回ったところで見つかった。

仕事中は袴のタイプの和服を着ている。
それで、店の人に土地神様の仕事中だとバレてしまい「よろしくお伝えください」と言われてしまった。

こういう時どう返せばいいのか未だによくわからない。

土地神様に聞いたこともあるけれど「そういうのは適当でいいよ。こっちからはいつも見えてるから」と言っただけで、僕にどうしろとは言わなかった。

神様にとっては人間が細かいことでどうするのかはどうでもいい話なのかもしれない。

慌てて、わらび餅をもって帰ったあと、それを皿にもって彼に差し出しても、一口食べただけで、今度は肩がこったと言い始めてしまった。


僕が生まれ育ったところの神様は蝉だったのでよくわからない。
こんな風に人みたいに暮らして、人みたいにわがままを言っている神様が他にいるのかはよく知らない。


それに、僕もずっとここにいるわけではない。
留学期間は一年だけだ。

来年には地元に帰る予定だ。
そのことを雇用主の人もよく知っていて、そういう一定期間だけこの街にいる人を選んで土地神様の世話の仕事をさせているようだった。

土地神様はいるだけで、この場所を良くしてくれる。
そう信じられている。

実際僕の地元の蝉の土地神様は誰かとコミュニケーションを取っているところ見たことはなかったけれど、大きな水害から守ってくださったりしていた。


「ねえ、ちょっとお願いがあるんだけど」

だから、目の前の土地神様がそう言った時、またいつものわがままか。と思ってしまった。
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