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誓いの指輪
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魔方陣が光を増す。
リヒトが手を掲げるとその部分に光が集約されていくように見える。
学生に使えるとは思えない、緻密で高度な魔法が目の前で展開されていく。
それでも、私の知識でも彼が何かを作り出そうとしていることは分かる。
「あの後、君はこう言ったんだ『本番は宝石のお花の指輪が欲しい』って」
そう言われても私は全く覚えていない。
子供のおままごとの中での話なのに、甘やかな声でリヒトは言う。
「本当はもっと早く渡したかったんだけどね」
婚約者のいる君に迷惑になると思ったんだ。
先ほどから、リヒトの話し方は昔に戻ったようだ。
光はまばゆくきらめいてそれから、一粒の宝石になった。
「れ、錬金術かそれは」
アンリ様が驚愕を声に滲ませて言う。
卑金属を金に変える魔法、ありふれたもの普通のものを尊いものに変える魔法が昔あったらしい。
世界の歪みを正す聖女様と同じ、奇跡の力だ。
もう一度今度は手のひら大の魔方陣をリヒトは発現させるとその宝石は指輪になった。
あの時のゼラニウムと同じ花びらの形が見て取れる宝石があしらわれた指輪は空ににた青い色をして輝いている。
「聖女様がプロポーズの証人になってくださるそうだから」
彼女が認めるのだ。誰にも断れない。
言外にリヒトがそう言っているのだと気が付く。
それから、彼は子供の頃と同じ様に私の指に指輪をはめながら跪いた。
「クラリス、どうか僕と結婚してください」
プロポーズにしてはつたない言葉が、子供の頃のセリフと全く同じだという事にすぐに気が付く。
何もかも忘れて彼の言葉に感動してしまってもいいのか、迷う。
嬉しいと、涙があふれそうになっているけれど、私の冷静な部分が彼のプロポーズの返事を言葉にするのをためらってしまっている。
リヒトが手を掲げるとその部分に光が集約されていくように見える。
学生に使えるとは思えない、緻密で高度な魔法が目の前で展開されていく。
それでも、私の知識でも彼が何かを作り出そうとしていることは分かる。
「あの後、君はこう言ったんだ『本番は宝石のお花の指輪が欲しい』って」
そう言われても私は全く覚えていない。
子供のおままごとの中での話なのに、甘やかな声でリヒトは言う。
「本当はもっと早く渡したかったんだけどね」
婚約者のいる君に迷惑になると思ったんだ。
先ほどから、リヒトの話し方は昔に戻ったようだ。
光はまばゆくきらめいてそれから、一粒の宝石になった。
「れ、錬金術かそれは」
アンリ様が驚愕を声に滲ませて言う。
卑金属を金に変える魔法、ありふれたもの普通のものを尊いものに変える魔法が昔あったらしい。
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もう一度今度は手のひら大の魔方陣をリヒトは発現させるとその宝石は指輪になった。
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「クラリス、どうか僕と結婚してください」
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