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似たもの同士
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海音と俺が間違えられることは、最近ではほぼ無い。
だから、噂で男同士でラブホに入ったという話が出たときも、ほぼみんな海音だという前提で話をしている。
俺と海音を見間違える筈がないという前提で。
実際、俺はラブホに行ったことは無いし、噂の真偽は分からない。
夏目が暗い写真を見せてきたことがあったから、本当の事なのかもしれない。
だけど、本人とそんな話をしたことは無いし、海音の周りに人がいなくなることも無い。
全く俺とは違う双子の片割れ、それが海音だ。
◆
「空音、マフラー貸してくれない?」
海音と俺はファッションの好みもあまり似ていない。
部屋で読書をしている時に言われて、思わず海音を見返す。
「この前、俺の服着てたしお互い様だろ。」
夏目と会うために着て行っていた服の事を言ってるのだろう。
「いいよ。」
海音がダサくなってしまうとか考えない方がいいのかもしれない。
俺が海音の服を着ても野暮ったかった事は確かなのだから。
翌日二人で登校していると、夏目に声をかけられた。
マフラーで海音に声をかけるかと思ったけれど、一瞬海音を見て、少し嫌そうな顔をしてから俺に「おはよう。」と挨拶をした。
「さすがにその顔は無くね?」
海音がッチと舌打ちをしてからそんなことを言う。
いつの間にか、海音と夏目は仲良くなったみたいでたまに俺の前で言い合いをしている。
俺にはそういう事は出来ないので少し羨ましい。
「今日は、デートなんだよ。」
ぶっきらぼうに海音が言う。それならなおさら俺の持ち物よりも海音本人のものの方がいいんじゃないのか?
「……チャラチャラして遊んでるっぽいって言われたから。」
それを聞いた次の瞬間夏目がふきだす。
俺が何か言う前に、海音が普通に夏目を蹴ってしまったのでやめた。
マフラー程度で印象が変わるのかはよく分からないけれど、俺だって少しでも海音に見える様にしたくて似たようなことをした。
だから、多分俺の口出しすることじゃない。
「デート、楽しめるといいな。」
俺が言うと海音は「ありがとう。」と言った。
似たような顔の筈なのに、はにかんだ様な笑顔がとてもかわいらしく見えた。
◆
「デートしたいのか?」
放課後、夏目の部屋で入れてもらったココアを飲む。
恋人同士になってから、セックスのため以外にも夏目の部屋に来るようになった。
といっても、ただ、ぽつぽつと話をしたりこうやってぼんやりと入れてもらった飲み物を飲むだけの時間だ。
たまに、二人でスマホで映画を見たりすることあるけれど、デートというものに行ったことは無かった。
責めてしまうかもしれないと言った所為なのか、確認したことは無いけれど、夏目はとてもやさしい。
静かに二人で過ごす時間が俺は、多分、夏目が思っている以上に好きなのだ。
時折、そっと俺に触れる手が、夏目のから聞こえる息遣いが、この狭い部屋で聞こえることが好きだ。
重いと思われるだろうか。
遊んでいるフリをしてセフレになっていた時点で、充分重いと思われているのだろうか。
あまりあの頃の話は夏目とはしない。
彼が俺の事をどう思っていたか確認するのが怖いから。
「デート、ですか?」
二人きりの特別な思い出が欲しいと思ったことはある。
けれど、それより今は……。
「こうやって、手に触れられる場所の方が今はいいです。」
マグカップを持っていない方の手で、そっと夏目の手の上に自分の手を置く。
それに、このマグカップが俺のためのものだという事も、夏目があまり甘いものを好まない事も知っている。
「そうか。」
夏目はそう言って、双眸を緩める。
彼もこの二人きりの時間を心地よいと思ってくれているなら嬉しい。
俺は海音より不器用な笑みを夏目に向ける。
夏目はそれでも、嬉しそうに俺の手を握りなおして「そうだな。」と応えた。
了
だから、噂で男同士でラブホに入ったという話が出たときも、ほぼみんな海音だという前提で話をしている。
俺と海音を見間違える筈がないという前提で。
実際、俺はラブホに行ったことは無いし、噂の真偽は分からない。
夏目が暗い写真を見せてきたことがあったから、本当の事なのかもしれない。
だけど、本人とそんな話をしたことは無いし、海音の周りに人がいなくなることも無い。
全く俺とは違う双子の片割れ、それが海音だ。
◆
「空音、マフラー貸してくれない?」
海音と俺はファッションの好みもあまり似ていない。
部屋で読書をしている時に言われて、思わず海音を見返す。
「この前、俺の服着てたしお互い様だろ。」
夏目と会うために着て行っていた服の事を言ってるのだろう。
「いいよ。」
海音がダサくなってしまうとか考えない方がいいのかもしれない。
俺が海音の服を着ても野暮ったかった事は確かなのだから。
翌日二人で登校していると、夏目に声をかけられた。
マフラーで海音に声をかけるかと思ったけれど、一瞬海音を見て、少し嫌そうな顔をしてから俺に「おはよう。」と挨拶をした。
「さすがにその顔は無くね?」
海音がッチと舌打ちをしてからそんなことを言う。
いつの間にか、海音と夏目は仲良くなったみたいでたまに俺の前で言い合いをしている。
俺にはそういう事は出来ないので少し羨ましい。
「今日は、デートなんだよ。」
ぶっきらぼうに海音が言う。それならなおさら俺の持ち物よりも海音本人のものの方がいいんじゃないのか?
「……チャラチャラして遊んでるっぽいって言われたから。」
それを聞いた次の瞬間夏目がふきだす。
俺が何か言う前に、海音が普通に夏目を蹴ってしまったのでやめた。
マフラー程度で印象が変わるのかはよく分からないけれど、俺だって少しでも海音に見える様にしたくて似たようなことをした。
だから、多分俺の口出しすることじゃない。
「デート、楽しめるといいな。」
俺が言うと海音は「ありがとう。」と言った。
似たような顔の筈なのに、はにかんだ様な笑顔がとてもかわいらしく見えた。
◆
「デートしたいのか?」
放課後、夏目の部屋で入れてもらったココアを飲む。
恋人同士になってから、セックスのため以外にも夏目の部屋に来るようになった。
といっても、ただ、ぽつぽつと話をしたりこうやってぼんやりと入れてもらった飲み物を飲むだけの時間だ。
たまに、二人でスマホで映画を見たりすることあるけれど、デートというものに行ったことは無かった。
責めてしまうかもしれないと言った所為なのか、確認したことは無いけれど、夏目はとてもやさしい。
静かに二人で過ごす時間が俺は、多分、夏目が思っている以上に好きなのだ。
時折、そっと俺に触れる手が、夏目のから聞こえる息遣いが、この狭い部屋で聞こえることが好きだ。
重いと思われるだろうか。
遊んでいるフリをしてセフレになっていた時点で、充分重いと思われているのだろうか。
あまりあの頃の話は夏目とはしない。
彼が俺の事をどう思っていたか確認するのが怖いから。
「デート、ですか?」
二人きりの特別な思い出が欲しいと思ったことはある。
けれど、それより今は……。
「こうやって、手に触れられる場所の方が今はいいです。」
マグカップを持っていない方の手で、そっと夏目の手の上に自分の手を置く。
それに、このマグカップが俺のためのものだという事も、夏目があまり甘いものを好まない事も知っている。
「そうか。」
夏目はそう言って、双眸を緩める。
彼もこの二人きりの時間を心地よいと思ってくれているなら嬉しい。
俺は海音より不器用な笑みを夏目に向ける。
夏目はそれでも、嬉しそうに俺の手を握りなおして「そうだな。」と応えた。
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