それを恋とは呼ばないから

渡辺 佐倉

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「どっちも、気持ちいいです……」

宗吾さんが喉の奥で笑った気がした。
馬鹿にされたんだろうかと不安になって、宗吾さんをまじまじと見る。

宗吾さんは僕の頭を撫でると、再び、乳首をこねる。

くりくり、カリカリ。
触れられてる場所が固くなって、もっともっといじって欲しい。

別に僕の胸を触っても、僕のお腹は膨れない。
食欲はもう収まっている。

だから、これは完全にただのはしたない行為だ。

この人の性的な興奮を満たすためならば、僕がここまで快楽を拾う必要はない。

それとも前の主の様に、僕を追い込むことで性的な興奮があるタイプの人なんだろうか。

「あっ、やぁっ、それっ……」

他に転嫁できない官能に体をよじる。

「乳首だけでイケそうだな」

その言葉が嘲りなのか、何なのかもよく分からない。

お腹が空いているから、精液を貰うために快楽を感じているのだということが事実ではない事を知る。
空腹の所為だと、諦めることも、逆にこの行為を心から楽しむこともできない。

僕が本当に好きかなんて本当に分かるのだろうか。

体を触られて、吐精して、それは好きなことになるのか。

滲む涙が官能から来たものなのか、それともそれ以外の感情があふれたものなのか自分でも分からない。

涙がボロボロと零れ落ちる。

泣き声を上げそうになってしまう。
声をこらえて涙をぬぐおうとする。

体はまだ確かに快楽を拾っているし、勃起もしている。

多分気持ちがいいのだろう。
何もかも忘れて淫蕩にふけってしまいたいと今回も、それこそ今だって思っている。

それなのに気持ちが駄目なのかもしれない。

宗吾さんが手を止める。

それから頭を撫で、涙のついた頬をそっと撫でられる。

体を起こされて、そっと抱きしめられた。
背中を撫でる手は熱い。

それに、抱きしめられた所為で、宗吾さんが興奮している証拠が体に当る。

そのために俺は買われたのに、何をしてるんだろうと思う。

「あの、すみません。続き……」

声をかけると僕を抱きしめられる手に力がこもる。

「大丈夫だから」

宗吾さんが、ゆっくり僕の背中を撫でる。

しゃくり上げそうになった呼吸が、少しずつ整っていく。


どの位背中をさすってもらっていただろうか、ようやく涙が止まって落ち着いて、宗吾さんの顔を見ると、困ったような笑顔を浮かべている。

なんと言って謝ればいいのか。
前の主の事を思い出す。

やっと、落ち着いた呼吸が乱れる。
手が小刻みに震える。

何をすれば許しを請えるのだろう。

「ごめんなさい……。」

土下座をして、冷ややかな目線で叩かれたことがある。
何日も食事を貰えず、ただ小さくなって震えていたことがある。

「大丈夫だ。何もしない。」

だから、はっきりと言われた宗吾さんの言葉の意味がよく分からなかった。
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