17 / 18
本編17
しおりを挟む
ぱちゅぱちゅという粘着質な音が聞こえる。
「大丈夫? もうやめようか?」
と言う安藤さんの言葉に首を横に振る。
オメガの匂いに誘われたアルファの性欲はとても強いと知識では知っていた。
だけどこれほどとは思わなかった。
喘ぎすぎた声はかすれた様になっているし、股関節のあたりは、重くだるい。
それにも関わらず安藤さんの昂りはもうすでに三回達しているのに萎える気配は全くない。
「や、です。おれまだ気持ちいいれすよ……?」
体の疲労とは裏腹に心と本能がこの人をまだ求めている。
だから多分これは一般的な営みの一種なのだ。安藤さんが気に病む必要は全くない。
「俺がもうちょっとだけ、したいだけ。で……ひゃあ。あ。あッ」
可愛いと睦言の様に言われて、面映ゆい気持ちがわいたのは一瞬だけだった。
すぐに暴力的にも思える快感に全身が塗りつぶされてしまう。
強すぎる快楽に目の前がパチパチと白む。
けれど、それはとてもとても幸せなものな気がして、自分の手を包み込むように重ねられた安藤さんの手を見る。
どくり。中で安藤さんが精液を出した感触がして、体が歓喜で震える。
ジワジワと広がる快楽に俺は意識を手放した。
◆◇◆
目を覚まして体を起こそうとした瞬間体中の関節がきしんだ気がして思わずもう一度ベッドに倒れ込む。
鈍い痛みを訴えた股関節に触れるとサラリとしていて目を覚ます前の行為の残渣は何もない。
ただ、体に残る鈍い痛みと、柔らかに香る安藤さんの匂いだけが先ほどまでの行為を思い起こさせる。
「おれ、ごほっ」
声を出そうとして、声が上手く出ない事に気が付く。
悲鳴のような声を長時間上げ続けたことを思い出して思わず羞恥に頬が熱くなる。
「あ、起きましたか?」
ベッドサイドで安藤さんが座って本を読んでいる。
外を見ると明るい。
「俺、どの位ねてしまってましたか?」
聞くと半日近く寝てしまっていたらしい。
「仕事の後だったのに、我慢できなくてごめん」
何故この人が謝るのかが俺には分からなかった。
「別に……。俺もしたかったことですし」
そう言ってそれから「体も綺麗にしてくれたんですか?」と聞いた。
安藤さんはその部分ははぐらかしつつ、「服は俺のを着てもらっちゃった」と言った。
「安藤さん、落ち着いた匂いになってますが……」
満足できましたか? も、体を洗ったからですか? もなんていうか少し違う気がした。
「穏やかな匂いでしょう?」
安藤さんはまるでそれを知っているように言った。
「運命の番の匂いだからね」
多分俺も、似たような匂いを感じてる。
そう安藤さんは言った。
「そういうものなんですか?」
俺が聞くと「そういうものらしいよ」と安藤さんが答えた。
もう一度肺いっぱいに安藤さんの匂いを吸い込む。
「この感覚は、獣って感じじゃないですね」
俺がかすれた声でそう言うと、安藤さんは面白そうに笑ってから穏やかな顔で「そうかもね」と言った。
「大丈夫? もうやめようか?」
と言う安藤さんの言葉に首を横に振る。
オメガの匂いに誘われたアルファの性欲はとても強いと知識では知っていた。
だけどこれほどとは思わなかった。
喘ぎすぎた声はかすれた様になっているし、股関節のあたりは、重くだるい。
それにも関わらず安藤さんの昂りはもうすでに三回達しているのに萎える気配は全くない。
「や、です。おれまだ気持ちいいれすよ……?」
体の疲労とは裏腹に心と本能がこの人をまだ求めている。
だから多分これは一般的な営みの一種なのだ。安藤さんが気に病む必要は全くない。
「俺がもうちょっとだけ、したいだけ。で……ひゃあ。あ。あッ」
可愛いと睦言の様に言われて、面映ゆい気持ちがわいたのは一瞬だけだった。
すぐに暴力的にも思える快感に全身が塗りつぶされてしまう。
強すぎる快楽に目の前がパチパチと白む。
けれど、それはとてもとても幸せなものな気がして、自分の手を包み込むように重ねられた安藤さんの手を見る。
どくり。中で安藤さんが精液を出した感触がして、体が歓喜で震える。
ジワジワと広がる快楽に俺は意識を手放した。
◆◇◆
目を覚まして体を起こそうとした瞬間体中の関節がきしんだ気がして思わずもう一度ベッドに倒れ込む。
鈍い痛みを訴えた股関節に触れるとサラリとしていて目を覚ます前の行為の残渣は何もない。
ただ、体に残る鈍い痛みと、柔らかに香る安藤さんの匂いだけが先ほどまでの行為を思い起こさせる。
「おれ、ごほっ」
声を出そうとして、声が上手く出ない事に気が付く。
悲鳴のような声を長時間上げ続けたことを思い出して思わず羞恥に頬が熱くなる。
「あ、起きましたか?」
ベッドサイドで安藤さんが座って本を読んでいる。
外を見ると明るい。
「俺、どの位ねてしまってましたか?」
聞くと半日近く寝てしまっていたらしい。
「仕事の後だったのに、我慢できなくてごめん」
何故この人が謝るのかが俺には分からなかった。
「別に……。俺もしたかったことですし」
そう言ってそれから「体も綺麗にしてくれたんですか?」と聞いた。
安藤さんはその部分ははぐらかしつつ、「服は俺のを着てもらっちゃった」と言った。
「安藤さん、落ち着いた匂いになってますが……」
満足できましたか? も、体を洗ったからですか? もなんていうか少し違う気がした。
「穏やかな匂いでしょう?」
安藤さんはまるでそれを知っているように言った。
「運命の番の匂いだからね」
多分俺も、似たような匂いを感じてる。
そう安藤さんは言った。
「そういうものなんですか?」
俺が聞くと「そういうものらしいよ」と安藤さんが答えた。
もう一度肺いっぱいに安藤さんの匂いを吸い込む。
「この感覚は、獣って感じじゃないですね」
俺がかすれた声でそう言うと、安藤さんは面白そうに笑ってから穏やかな顔で「そうかもね」と言った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
190
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる