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信頼感
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※二人とも高校在学中、文化祭編続き
文化祭では、生徒会執行部メンバーほか役職持ちの生徒が前夜祭でパートナーを選び、後夜祭でベストコンビを決めるらしい。
らしい、というのは説明をした全校集会に出ていないからだ。
同性同士で付き合うことが珍しくないこの学園だが、文化祭は必ずパートナーを選出するため、必ずしも恋人同士をパートナーとして選出するという訳ではないらしい。
どこか他人事みたいに話しを聞いていた俺に五十嵐君は「楽しみだね」と言った。
でも、多分、あの人は俺は選ばないだろう。
一応恋人という位置に置かせてもらってはいるが、見目も良くなければ要領も良くない自分では力不足だろう。
「それより、五十嵐君は大変そうだよね。」
すでに何人からも声をかけられているのだろう。
五十嵐君の手からの伸びる糸は、ようやく一本だけになっていたのに、そこには数本の糸が絡んでいた。
五十嵐君は困ったような曖昧な笑みを浮かべた。
「もしかして……。」
聡い、五十嵐君のことだ、俺が何を考えているのか気がついたのかも知れない。
けれど、それ以上、五十嵐君は何も言わなかった。
俺も何も言えずじまいで、この話はそれきりだった。
◆
相変わらず、あの人は忙しいようだった。
けれど、文化祭まではこっちの部屋で暮らしてと言われているのもあり、夜は大体小西先輩の部屋で過ごす。
といっても、特にやることも無いので、一通りの家事をして、一人で食事をしてただ、あの人の帰りを待つだけだ。
テレビはあまり面白くもないし、一人で眠る気もならなかった。
大体、疲れた顔で帰ってくる小西先輩に「お帰りなさい」といって、風呂に入ってもらって、一緒にベッドで眠る。それだけだ。
あの人は大抵すぐ寝てしまって、会話らしい会話も無い。
けれど寝顔を見てから隣で眠れるだけで充分だった。
学校へ行くと文化祭準備期間の浮ついた雰囲気の中、一日を過ごす。
役職がパートナーに指名した人物の噂は毎日、毎日流れてきていた。
その中にあの人の話もあった。
小西先輩は、パートナーに親衛隊の隊長を指名予定らしい。
まあ、当たり前だと思った。
あの人の親衛隊の隊長さんは、とても美しい人だった。
他の親衛隊員にも慕われていた様子の隊長さんは、おそらく立ち回りも上手いのだろう。選ばれて当然だった。
友人には、気にするなといわれたが、元々選ばれるはずの無いことを知っていたので今更傷ついたりはしない。
けれど、前夜祭も後夜祭も出ないで何処か別のところで過ごそうと思った。
◆
理由をつけて、あの人の部屋にいくのをやめようかと思ったができなかった。
いつもどおりソファーに座ってぼーっとあの人の帰りを待っていた。
帰ってきたあの人に「お帰りなさい」というと、あの人の表情が曇る。
何故そんな表情をされたのか分からない。
「何かあった?」
何を聞かれたのか分からなかった。
「じゃあ、何か言われたとか?」
俺の隣に座る、小西先輩がまじまじとこちらを見た。
別に、機嫌も悪くなかった筈だし表情もいつもどおりだ。
いつもと違うことといえば、文化祭のパートナーの話を聞いたくらいだった。
けれど、頑張ってくださいとも、いやですとも言える筈がなく、口を小さく開閉するだけだった。
「俊介のそういうところ、可愛いとは思うけど、結構寂しいんだよ。」
そういうと、あの人は俺を持ち上げると自分の太ももの上に座らせた。
見かけより、力があることは知っていたが、こうも簡単に持ち上げられてしまうと、男として少し恥ずかしい。
後ろから抱きしめられて、耳元でもう一度「何があった?」と聞かれた。
言っていいのだろうか。困らせてしまっていいのだろうか。
駄目押しみたいに、「言って。」と囁かれて、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「……文化祭のパートナー、親衛隊長さんを指名するって。」
「は?」
返されたのは不機嫌な声で、思わずビクリと固まる。
まあ、そうだろう。いちいち、あの人の行動に口出ししていたら嫌だろう。
「済みません。」
立ち上がろうとすると、そのままわき腹をつかまれ元に戻される。
「ムカつくね。」
「済みません。」
「違うよ。何で、俺が俊介以外を選ぶと思ってるんだよ。」
自分の声が震えていて、まるで泣いているようで上手く話せない。
声はやや苛立っていて、わき腹をつかんでいた手が服の中に入り込んで、腹を撫でる。
驚いて、振り返るようにしてあの人を見上げた。
あの人の顔は、少し寂しそうで、それを見ただけで、こみ上げるものがあって泣きそうになる。
「俺、そんな信用ない?」
あの人はそういう。撫でる手は止まらない。徐々に上の方を撫で回す。
それから、手は前方に回って、乳首をつまんだ。
「んっ……。」
男なのにそんな甘えた声をだして恥ずかしい。
「だっ…、って、あぁッ。」
聞く気は無いとばかりに強くつままれて、声を上げる。
涙がぶわりとあふれた。それがあの人の顔の寂しそうな顔を見たからなのか、それとも体を触られた事による生理的なものなのかは分からない。
「どうせ、ふさわしく無いとか禄でもないこと考えてたんだろうけど、はっきり言って、俺を見くびりすぎだ。」
強い口調言われ、それから首元に吸い付かれた。
ピリリと首に刺激を感じる。多分跡が付いた事だろう。
両手は胸をしつこくいじっていて、思考が定まらない。
「早く、俺のことしか考えられなくなればいいのにね。」
快感で何処かぼおっとした頭では、遠くで言っているように聞こえた。
「そんなもん、とっくに……。」
きちんと言葉になっていたのかは知らない。ただ、涙で馬鹿みたいに震えた声になっていた事だけは確かだった。
ただ、その直後爪を立てられ、したたか喘いで。それから、押し倒されてしまったのでよく分からない。
「ほんとーに、俊介はっ……。」
はき捨てるのとは少し違う音色でいわれた言葉の意味がよく分からず、ただ俺に覆いかぶさったあの人の顔を見上げる事しかできなかった。
了
リクお題:けなげ、涙声、攻めが爆発
文化祭では、生徒会執行部メンバーほか役職持ちの生徒が前夜祭でパートナーを選び、後夜祭でベストコンビを決めるらしい。
らしい、というのは説明をした全校集会に出ていないからだ。
同性同士で付き合うことが珍しくないこの学園だが、文化祭は必ずパートナーを選出するため、必ずしも恋人同士をパートナーとして選出するという訳ではないらしい。
どこか他人事みたいに話しを聞いていた俺に五十嵐君は「楽しみだね」と言った。
でも、多分、あの人は俺は選ばないだろう。
一応恋人という位置に置かせてもらってはいるが、見目も良くなければ要領も良くない自分では力不足だろう。
「それより、五十嵐君は大変そうだよね。」
すでに何人からも声をかけられているのだろう。
五十嵐君の手からの伸びる糸は、ようやく一本だけになっていたのに、そこには数本の糸が絡んでいた。
五十嵐君は困ったような曖昧な笑みを浮かべた。
「もしかして……。」
聡い、五十嵐君のことだ、俺が何を考えているのか気がついたのかも知れない。
けれど、それ以上、五十嵐君は何も言わなかった。
俺も何も言えずじまいで、この話はそれきりだった。
◆
相変わらず、あの人は忙しいようだった。
けれど、文化祭まではこっちの部屋で暮らしてと言われているのもあり、夜は大体小西先輩の部屋で過ごす。
といっても、特にやることも無いので、一通りの家事をして、一人で食事をしてただ、あの人の帰りを待つだけだ。
テレビはあまり面白くもないし、一人で眠る気もならなかった。
大体、疲れた顔で帰ってくる小西先輩に「お帰りなさい」といって、風呂に入ってもらって、一緒にベッドで眠る。それだけだ。
あの人は大抵すぐ寝てしまって、会話らしい会話も無い。
けれど寝顔を見てから隣で眠れるだけで充分だった。
学校へ行くと文化祭準備期間の浮ついた雰囲気の中、一日を過ごす。
役職がパートナーに指名した人物の噂は毎日、毎日流れてきていた。
その中にあの人の話もあった。
小西先輩は、パートナーに親衛隊の隊長を指名予定らしい。
まあ、当たり前だと思った。
あの人の親衛隊の隊長さんは、とても美しい人だった。
他の親衛隊員にも慕われていた様子の隊長さんは、おそらく立ち回りも上手いのだろう。選ばれて当然だった。
友人には、気にするなといわれたが、元々選ばれるはずの無いことを知っていたので今更傷ついたりはしない。
けれど、前夜祭も後夜祭も出ないで何処か別のところで過ごそうと思った。
◆
理由をつけて、あの人の部屋にいくのをやめようかと思ったができなかった。
いつもどおりソファーに座ってぼーっとあの人の帰りを待っていた。
帰ってきたあの人に「お帰りなさい」というと、あの人の表情が曇る。
何故そんな表情をされたのか分からない。
「何かあった?」
何を聞かれたのか分からなかった。
「じゃあ、何か言われたとか?」
俺の隣に座る、小西先輩がまじまじとこちらを見た。
別に、機嫌も悪くなかった筈だし表情もいつもどおりだ。
いつもと違うことといえば、文化祭のパートナーの話を聞いたくらいだった。
けれど、頑張ってくださいとも、いやですとも言える筈がなく、口を小さく開閉するだけだった。
「俊介のそういうところ、可愛いとは思うけど、結構寂しいんだよ。」
そういうと、あの人は俺を持ち上げると自分の太ももの上に座らせた。
見かけより、力があることは知っていたが、こうも簡単に持ち上げられてしまうと、男として少し恥ずかしい。
後ろから抱きしめられて、耳元でもう一度「何があった?」と聞かれた。
言っていいのだろうか。困らせてしまっていいのだろうか。
駄目押しみたいに、「言って。」と囁かれて、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「……文化祭のパートナー、親衛隊長さんを指名するって。」
「は?」
返されたのは不機嫌な声で、思わずビクリと固まる。
まあ、そうだろう。いちいち、あの人の行動に口出ししていたら嫌だろう。
「済みません。」
立ち上がろうとすると、そのままわき腹をつかまれ元に戻される。
「ムカつくね。」
「済みません。」
「違うよ。何で、俺が俊介以外を選ぶと思ってるんだよ。」
自分の声が震えていて、まるで泣いているようで上手く話せない。
声はやや苛立っていて、わき腹をつかんでいた手が服の中に入り込んで、腹を撫でる。
驚いて、振り返るようにしてあの人を見上げた。
あの人の顔は、少し寂しそうで、それを見ただけで、こみ上げるものがあって泣きそうになる。
「俺、そんな信用ない?」
あの人はそういう。撫でる手は止まらない。徐々に上の方を撫で回す。
それから、手は前方に回って、乳首をつまんだ。
「んっ……。」
男なのにそんな甘えた声をだして恥ずかしい。
「だっ…、って、あぁッ。」
聞く気は無いとばかりに強くつままれて、声を上げる。
涙がぶわりとあふれた。それがあの人の顔の寂しそうな顔を見たからなのか、それとも体を触られた事による生理的なものなのかは分からない。
「どうせ、ふさわしく無いとか禄でもないこと考えてたんだろうけど、はっきり言って、俺を見くびりすぎだ。」
強い口調言われ、それから首元に吸い付かれた。
ピリリと首に刺激を感じる。多分跡が付いた事だろう。
両手は胸をしつこくいじっていて、思考が定まらない。
「早く、俺のことしか考えられなくなればいいのにね。」
快感で何処かぼおっとした頭では、遠くで言っているように聞こえた。
「そんなもん、とっくに……。」
きちんと言葉になっていたのかは知らない。ただ、涙で馬鹿みたいに震えた声になっていた事だけは確かだった。
ただ、その直後爪を立てられ、したたか喘いで。それから、押し倒されてしまったのでよく分からない。
「ほんとーに、俊介はっ……。」
はき捨てるのとは少し違う音色でいわれた言葉の意味がよく分からず、ただ俺に覆いかぶさったあの人の顔を見上げる事しかできなかった。
了
リクお題:けなげ、涙声、攻めが爆発
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