英雄の条件

渡辺 佐倉

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許し1

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レオニードは自分に何が起こったのかきちんと理解していた。
そして、今自分が夢を見ていることも自覚している。

別に自分の傷の事はどうでも良かった。
それよりも孤独な背中をした王様に、辛い選択を強いてしまっているのかもしれな事が気がかりだ。

暴虐王は友のために暴虐王となったのだ。

地下室の少女とそれを大切に思う友のために王となった。

友のために暴虐王の名を甘んじて受け入れている彼が、冷徹であろうとしている彼がレオニードは好きだった。

その冷徹さを貫き通すのであれば彼は友を殺さねばならないだろう。

友のために冷徹であった人間が、その友を殺さねばならない。

どんな事情があったのか、レオニードには知る由もないが劉祜に友人を手にかけて欲しくはなかった。

そのためにもレオニードはすぐにでも目を覚まさなければならない。
目を開けて劉祜に「こんなもの大したことない。」と笑いかけたいのだ。


その後、皇帝を続けるにせよ、降りるにせよ決めさせてやりたかった。

選択肢の無い中、友に手をかける事だけは回避させなければならない。

人質としてレオニードにどれほどの価値があるのかは知らない。
だからこそ、早く目を覚まさねばならなかった。



目を覚ましたレオニードはあたりを見まわす。
そこは知らない部屋だ。

けれど、豪華な調度品と、この部屋が纏っている雰囲気でここがどこなのかはすぐに分かった。
劉祜の部屋だ。

一度も入ったことは無いがここは劉祜の部屋なのだろう。

作法として王の部屋に自分がいていいものなのかは知らない。

けれど、ここに俺を連れて来たのは劉祜自身の意思だろう。
体は大丈夫かとレオニードは腹に触れる。強か痛くて思わず顔をしかめた。

起き上がれるだろうか。
人を呼ぶ方がいいだろうか。

今はどういう状態なのだろうか。

劉祜は大丈夫だろうか。

そう思って何とか体を起こしたところで悲鳴のような声がする。

「レオニード様!!」

ユーリィだ。
持っていた布のようなものを落として、それからレオニードの元に駆け寄る。

「誰か!すぐに陛下を!!」

ユーリィは扉に向って叫んだ。

「あれから、どの位経っている……?
それよりも、あの人は――」

口の中が乾いてしまっていて上手く言葉が紡げない。
咳き込んだところで慌ててユーリィがレオニードに水差しから移したコップを差し出した。

それを一気に飲み干す。

「陛下はご無事です。
レオニード様が全く目を覚まさないので、私はっ……」

嗚咽をもらしながらユーリィが言う。

バタバタと騒がしい音がする。
執務用の衣をまとった劉祜が息を切らしてこちらに駆け寄ってきた。
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