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プロローグ③

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 俺はまた、次は親父と稽古場で定位置に立ってお互い向き合う。
 剣聖の特殊技能が親父の言った通り『追撃』なら、それを発動さえさせなきゃいいんだ。
 追撃の発動条件は、相手が防御していようが、攻撃を"当てる"ことが条件らしい。
 俺は今までウィットの攻撃を受け流してきたが、素早い攻撃を避ける身体能力も持っている。ギフトの力もあるからな。

「デューク、さぁ私の攻撃を避けてみろ。初めッ!」

 さぁ何処からでも掛かってこい親父ィ……もうその老いぼれた身体なんざ既に使えねえってことを証明してやる!

 と、俺が身構えていると親父は、俺に向かって来ることもなく、木剣を地面に勢いよく突き立てた。
 そうすると、地面に急速に亀裂が走り、その亀裂は俺の真下へくると、力強く地面が爆散した。

「はぁ!? ぐああっ! クソ! 卑怯だぞ! 魔法なんざ使いやがって!」

「魔法? 何を言っている。これも追撃だ。私がいつ追撃は人間に対して有効と言った?」

「なんだと!? おいおいおい。これは稽古だぜ? なに本気になってんだよ」

 追撃が人間ではなく、物に対しても発動するのは流石に盲点だった。でも今やっているのは実戦でもない稽古だ。
 わざと俺を嵌めて何のつもりだ?

「デューク。残念だが、もう私の家を出て行ってくれないか」

「は?」

「ずっとお前をいつ家から追放するか悩んでいた。だが、お前を追放するには弟のウィットがまだ幼かったからだ。
 今日、漸く決まった。ウィットが剣聖になった以上、これからの稽古は私に任せなさい。
 だがお前は剣のギフトも与えられず、卑劣なギフトを受け取り、そのせいで兵士にも呼ばれなかった。
 最後にはウィットの稽古相手にもならなければもう役に立たないだろう」

 漸く俺を追放する決心がついたってか……。

「は、ははは……おいおい親父」

「それと、もう私のことは親父と呼ぶな。この後にしっかり、親子の縁を切ろうと思っている。だからもう今から、お前は私の子では無い」

「なら糞爺ィ! こんな家、俺から出て行ってやるよ。ずっと、いつ追放されるか考えていたんだ。
 でも、一つだけ納得いかないことがある。何で今決めた? 俺が16の時に追放しなかった理由は分かったが……まるで俺が負ける瞬間を待っていたようじゃねぇか」

「あぁ、その通りだ。もし、お前がウィットと私のどちらかに勝つことが出来れば、ここに残すという選択肢もあったのだがな。
 恥晒しで、役立たずで、私の家に居る価値も無い程に弱い。
 そんな人間を残してなんの意味がある?」

「クソがァァァァァ! いちいち五月蝿えんだよ! もう良い! 今すぐ出て行ってやる! だがな……必ず後悔させてやる。
 外側からじわじわと、てめぇがどんなに力を上げても間に合わない程に、最後にてめぇと家族を全て潰してやる。
 せいぜい俺の悪あがきを、指を咥えてみていやがれ。必ず……やってやるからな」

 俺は家から出る前に、振り向き様に親父の顔を指差して警告した。
 これは復讐なんて生ぬるいものじゃない。報復だぁ……。お前の顔が日に日に歪んでいくのを見るのが、今からでも楽しみだぜ。
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