生粋のクズ勇者が行く自由過ぎる異世界奇譚

１．フロイ・グレデニル

　この世界の彼の名はフロイト・グレデニル。愛称はフロイ。
　デュール王家直属のグレデニル公爵家に生まれ、『如何なる事にも全き者であれ』という意味で名付けられ、王族の中では次期王子とされた、期待の子である。

　それもその通りに母から産まれ、６才までに多くの事を学びながらも武術、魔力、剣術まで類まれな才能を発揮する。

　しかし７才の時に事故が起きる。父親と剣術の稽古と食糧の確保するとして、森へ獣狩りに向かった時に、何処からともなく突然矢が放たれ、矢はフロイの喉に直撃。
　完全なる奇襲だった。非常に優れた才能で次期王子にもなる筈だったという立場に何者かが嫉妬したのか、それとも良く思わない人間が居たのか。

　矢は喉を貫き、フロイからは大量の血が流れ、父は必死に助けようと館に帰るも、時は遅くフロイは死亡した。

　だが町の医師から死亡確認がされた翌日。フロイは奇跡的に首からの出血も嘘だったかのように消え、命を吹き返した。
　性格も何もかも変わり果てた姿で。