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【夜行列車の向かう先】~終点には何が待つ。
しおりを挟む最終列車が終わると深夜の線路を走るのは乗客の居ない貨物列車の時間となる。
真夜中の線路を、四両編成の列車が駆け抜けてゆく。
寝静まった街の中を直走る列車。
汽笛は鳴らない。眠りこけた街を抜け、山間へと消えていく。
この路線はとうの昔に廃線の候補に挙げられていた。にもかかわらず、今もなお現役で走り続ける。理由は一つ。終点にある、奇怪な施設のためだ。
乗降客数に左右されない別の理由があるのだろう。
路線は商業用港から山間部の奥にまで延びる。
終点は第六病院と呼ばれる昭和初期にドイツと大日本帝国陸軍との合弁で作られた歴史ある病院となる。
正式名称は、ゼクスト クランケンハオス … 和名:第六病院。
この令和の世に明治時代の遺物へと夜行列車は走る。
第六病院は、山間部の小さな村落の奥にある。
村落には村営の病院は無い。
第六病院は地域貢献として村民向けに健康医療を行なっており病院のロビーは年寄り達の社交場と化している。
この病院は村人達の自慢。
医療技術が高く風邪だろうが腹痛だろうが病院で治療を受けると病院に来る前よりも元気になる。
医院長はじめ病院スタッフの半分はドイツ人。
病院の中は日本じゃ無いような空気感がある。
院長マリア・オルシック女史――燃えるような金髪に氷のような瞳。
「……グーテンターク。あら、間違えたわ。コンニチハ、ミナサン。
この村は、まだ“生きている”のね。」
口元は微笑んでいても、声は冷たい刃のように日本語を切り裂いた。
年齢は30代位だろうか。
ドイツ人のスタッフは実直なドイツ人の色合いが強く、軍隊の様にキビキビとした行動で見てて気持ちが良い。
あと半分の日本人スタッフの半分は国防省の医療部門からの派遣だろうか、此方もキビキビとしてドイツ人に負けては居ない。
残り半分は雑務係で雇われた村人となる。
国の施策のお陰で過疎の村なのに高度な医療技術の恩恵を得ている珍しい村落となる。
第六病院が建つ場所は羽黒山と呼ばれる昔修験道の修行者の修行の場であった。
建物は山の麓に大きな病院棟が4棟連結されて建っている。
少し前に村の中学生がグーグルアースの衛星写真で病院棟を観ると鉤十字型になっていると騒いでいた。
病院の敷地は周囲を3メータの高い塀に囲まれているので建物がそんな形状だとは誰も知らなかった。
そんな第六病院には不可思議な噂がある。
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