白露の蜘蛛はあなたを愛しましょう ~転生者以上にチート過ぎませんか~ (仮)

志位斗 茂家波

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出会いましょう、新しい世界と共に

第三十七話 シャケビジネス

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…巨大なシャケの魔獣は討伐されて、水上都市に迫りくる脅威は去った。
 だが、討伐後の魔獣の肉体というのは、量がすさまじいのももあって…


「…『乾燥シャケ干し』、『シャケ丼』、『シャケ活け造り』、『シャケ焼き』…色々と消費のために出されているなぁ」
【湖の上にある都市だからこそ、魚料理は豊富なようですが…出来れば旦那様に全部召し上がってほしかったですね】
「いや、流石にあの量は無理だからね?」

 巨大なシャケ、調理されても山のように大きな肉体全てを一人で喰らいつくすのは無理がある。
 そのため、必要な分をハクロが確保しつつ、余った分をここに全部寄付することにしたのだが、まともに食べていては腐りきってしまう。

 そのため、この水上都市では今、騒動を忘れるためにも全力で食の方面へ意識をそらそうとして、シャケの肉体を余すところなく利用しつくしまくった料理の提供が活発化したのであった。

 幸いなことに、湖で採れる魚などを使った料理の文化も発展していた都市であったからこそ、様々な種類のものが生まれたのだが…そのついでにもう一つ、シャケから別のものも見つかった。

「おそらく魔獣の元になったのが、ゴールデンシャケであり、卵を産むために栄養を卓話用としていたのもあったんだろうけれども…まさか、体内から黄金の卵ではなく、別の鉱物が見つかるとはなぁ」

 ゴールデンシャケは産む卵が黄金なことは知られているが、この魔獣化したシャケは材質が別のものになっていた。
 何をどうしてなのか、黄金の卵ではなく、同じ金色とはいえ別物でありつつも異世界ならではの希少金属…オリハルコンとかいう代物が埋蔵されていたのだ。

 ファンタジーない世界では定番の鉱石であり、他の貴金属と比較して様々な優れた性質を持ちつつも、発掘量は少ない。
 鉱山も中々見つからない中、まさかの魔獣のシャケの内部から出てきたことで、大騒ぎになったのである。
 そのため現在、この湖のあたりを治める領主に報告されて調査が行われる予定のようだが…大きなものが出てくると、その後の活用方法で苦労することになるだろう。
 
 良いものが出るとその地域の経済が活性化しそうだが、その分他の貴族とかに狙われるのが悩みどころになる。
 そのあたりはもう、領主へ任せることしかできないだろうなぁ…これ以上、俺たちがどうすることもできない。




 とにもかくにも、飛んだ騒動が起きたとはいえ、プチ旅行としては印象深い思い出にはなった。

「というか、そういえばこの危険を知らせてきた主って、結局なんだったろうか?」

 そろそろ帰りの馬車が来る時間に合わせて、馬車の停車駅へ向かう船に乗る中、ふと明日例得たことに関しての疑問が出た。
 あの巨大魔獣シャケの接近を知らせてきた謎の音の主。
 感覚的に、恐らくはゴールデンシャケを知らせてきた主と同じ類なのだろうが、結局あれは何だったのだろうか。

【んー、音を出しましたけど…変身がありませんでしたね。…でも、大体の正体はつかめていますよ】
「え、結局何だったの?」
【おそらくですが、魔獣になっているナマズですね】
「ナマズ?」

 ナマズといえば、地震を感知して暴れたりするイメージがあるが…それの魔獣版となると、どうやら様々な危険な事態を察知することが出来るようになるらしい。


【魔獣学の授業で、その例はいくつかあるのを見ましたからね。基本的に人を襲うことはなく、湖底でゆっくりと過ごすようですが、何かあれば知らせてくることがあるようです】

 それが、あの音で知らせてくる方法なのだろう。
 ハクロの場合は、人の肉体に近い部分があるゆえに、人の言葉のものとあまり大差ない様な声が出せるが、そうでない魔獣は連絡するには厳しいところ。

 そこで今回のような伝達手段を使用して、知らせてくることがあるようだ。

【まぁ、話しぶりからして湖底のほうでぐうたら生活を送っているようですが…相互に害はなく、利益しかないようですね】

 魔獣は基本的に、食べたもの全てを自身の生きるエネルギーに変換ができるらしい。
 水上都市とはいえ、いくつかのどうしようもないゴミを湖に捨ててしまう人もいるようだが、そういったものを湖底のナマズが喰らうことで湖の水質を悪化させることはない。
 
 ナマズは湖底でぐうたら生活しているだけで上から自然とエサが落ちてきて、人間のほうも湖の汚れを防げる。
 何かがあればナマズが伝わるように知らせて、人側のほうで被害も減らすことができて…困ったことが無い、良い関係になっているのだろう。


「そう考えると、中々くいっぱぐれのないぐうたら生活ができているのか…そりゃ、そういう言いかたになるよな」

 人と魔獣の関係はあちこちで変わることも多いようだが、この様子ならば悪化することもないだろう。
 良い旅行の思い出が出来たと思って、帰路へ着くのであった…



「…ところで、オリハルコンはどうなるのかな」
【販売するにしても、管理とか大変そうですよね】
「【こっち預かりせずに、都市に預けてよかったかも…】」

…面倒ごとは、手に持たずに押し付けたほうが楽である。
 

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